一方、ロシア国営メディアは14日、ロシア国防省の話として「黒海艦隊の巡洋艦『モスクワ』が、火災の結果、弾薬が爆発し、深刻な損傷を受けた」と伝えました。ロシアメディアは乗組員は避難したとも伝えていますが、ウクライナ軍の攻撃によるものかについては言及していません。
さらにボイチェンコ市長は、ロシア側が市内の占領した地域を閉鎖したと述べたうえで「ロシア側が遺体を焼却する移動式の施設を13台、市内に導入したことを確認した。ロシアが戦争犯罪の証拠を消すための準備を進めている」と訴えました。
そして「われわれはウクライナ側と話し合い、彼らが何を必要としているかを確認している」と述べて、追加の軍事支援について速やかに現地に送る考えを示しました。
このうちウクライナと国境を接するベラルーシやロシア国内では、引き続きロシア軍の部隊を再編成する動きがみられ、ヘリコプターや追加の砲撃システムなどの装備を整えているのが確認できるとしています。 また東部ハルキウ州にあるイジュームの南側で、兵器などの戦力を増強していると指摘し、東部のなかでもウクライナ軍との激しい戦闘が続く地域への投入を目指しているとの見方を示しました。 さらにロシア軍がロシア西部のバルイキなどで部隊の再編成や補給などを行ったあと、東部ルハンシク州の北部に侵攻させているのが確認できるということです。 この高官は、ウクライナ東部では引き続き集中的な空爆が続いているほか、東部の要衝マリウポリではロシアの激しい攻撃にウクライナ側が応戦しているとの認識を示しました。
ウクライナで市民の犠牲が増え続ける中でアメリカは相次いで軍事支援を発表していて、ことし2月下旬にロシアが軍事侵攻を開始して以降、ウクライナへの軍事支援は合わせて25億ドル以上にのぼっています。
さらに先月16日、マリウポリで大勢の人が避難していた劇場が破壊されたことについては、破壊したのはウクライナ側だとするロシア側の主張を裏付けるものはないとしたうえで「目に余る国際人道法の違反の可能性が高く、それを命じたか実行した者は戦争犯罪を犯した」と指摘しています。
今月13日に公開された映像では、ウクライナ東部のハルキウ州で文化会館や学校、それに住宅が爆撃されたことで火災が発生し、このうち学校の建物は半分が破壊されたなどと伝えています。 また、けがをして病院で手当てを受けている子どもたちの映像とともに、検察当局の発表として子どもの被害についても伝えています。それによりますと、13日の時点で191人が死亡、349人がけがをしていて、今後、さらに増えるだろうとしています。 けがをした子どもの人数を地域別にみると、最も多いのはロシア軍の激しい攻撃が続く東部のドネツク州で、全体の3割余りにあたる113人、次いでキーウ州が102人、東部のハルキウ州が79人などとなっています。
このうちリトアニアの大統領府によりますと、4人の大統領は、ロシア軍による攻撃で大きな被害が出たとされる首都キーウ北西のボロジャンカを訪れたあと、キーウでゼレンスキー大統領と会談しました。 会談のあと、5人の大統領がそろって会見し、ウクライナに対する軍事支援の強化や、ロシア産の石油や天然ガスの禁輸を含むロシアへの制裁強化、それにウクライナが申請しているEU=ヨーロッパ連合への加盟の手続きの迅速化などが重要だという考えを強調しました。 会見の中で、ポーランドのドゥダ大統領は「住宅地を砲撃し、市民を殺害するために戦闘機や兵士を送り込むのならば、それは戦争ではない。残忍なテロだ。兵士のみならず、命令したり許可したりしたすべての加害者が罪を問われ、国際法廷で罰せられるべきだ」と述べ、ロシアを非難しました。 また、エストニアのカリス大統領が「ウクライナの居場所はヨーロッパにある」と述べたほか、ラトビアのレビツ大統領も「私たちの今回の訪問は、ヨーロッパや民主主義のために戦っているウクライナとの緊密な関係や絶対的な連帯を示すものだ」と述べ、ウクライナとの連帯を強調しました。 このほか、リトアニアのナウセーダ大統領は「ウクライナが遅かれ早かれNATOに加盟すると信じている」と述べ、軍事面での関係強化の必要性を訴えました。 今回の訪問は、今月8日のEUのフォンデアライエン委員長や9日のイギリスのジョンソン首相らに続くもので、ヨーロッパでは首脳らがウクライナを訪問して連帯や支援を表明する動きが相次いでいます。
アメリカのバイデン政権は、ウクライナへの軍事侵攻を受け、ロシア議会の下院議員328人に対し、資産凍結などの制裁を発表していて、これを受けてロシア外務省は、アメリカ議会の下院議員398人に対し、同様の報復措置をとるとしています。そして今後もアメリカの制裁に応じて、追加の報復措置を検討していくと警告しています。 また、ロシア外務省はカナダに対しても議会の上院議員87人に制裁を科したほか、チェコに対してはモスクワに駐在する外交官を追放する処分を発表するなど、相次いで報復措置を打ち出しています。
ルーマニアではウクライナから逃れてきた人たちが70万人を超えていて、言葉や文化の違いから精神面での支援が課題となっています。首都ブカレストでは、レストランでの食事を楽しんでもらいたいと、およそ30の飲食店が避難してきた人たちに無料で料理を提供する取り組みを行っています。 このうちイタリア料理のレストランでは、特別な日替わりメニューを用意していて、13日も、訪れた人たちが会話を楽しみながらチーズソースのパスタを味わっていました。首都キーウから避難している22歳の女性は「とてもおいしく、気持ちが明るくなりました」と話し、62歳の母親は「いつも娘と2人だけで過ごしていますが、外に出ておいしい料理を食べると悪いニュースを忘れることができます」と話していました。 レストランには、連日、30人前後が訪れていて、スタッフのコルネリウ・ラドゥレスクさんは「戦争で苦しむ人たちに対し、連帯を示したいです。ウクライナの人たちの苦しみを考えれば、店の損得は関係ありません」と話していました。
内訳は ▼宗教施設が44 ▼歴史的建造物が25 ▼記念碑が11 ▼博物館が6 ▼劇場が3 ▼図書館が1となっています。 エリア別に見ますと、ロシア軍の激しい攻撃が続いているウクライナ東部のハルキウ州で、最も多い被害が確認されているということです。 ユネスコの広報担当者はNHKの取材に対し、「現時点で確認されている数字であり、件数は今後もさらに増えるだろう」としています。一方、首都キーウにある聖ソフィア大聖堂など、ユネスコの世界遺産に登録されている7つの施設などでは、今のところ被害は確認されていないということです。
ロシア軍の攻撃をめぐっては、マリウポリの防衛にあたっているウクライナ軍のアゾフ大隊も12日、SNSにビデオメッセージを投稿し、現地の部隊の司令官が「有毒物質を使った攻撃は人からは離れた場所で行われ、有毒物質への接触は最小限に抑えられ死者は出なかった」などと述べていました。
そのうえでカーン主任検察官は、国際刑事裁判所としても法医学の専門家などからなるチームを現地で捜査にあたらせることを明らかにしました。
ビクトルさんは、ロシア軍の侵攻が始まってからおよそ2週間にわたって自宅脇にある食品などを保管する地下の倉庫に妻と娘とともに隠れて過ごしていました。ところが先月上旬、自宅近くで銃声などが聞こえたため、外をのぞくと、何人もの住民がロシア軍に殺害されていたということで、スマートフォンでその現場を撮影しました。 そのほかにも、自宅前の道路で自転車に乗っていた女性が銃で撃たれて死亡したり、車が攻撃されて炎上し、乗っていた男性が死亡したりしたということです。じゃがいもを運ぶため歩いていただけの若い男性が撃たれたときは男性の叫び声が聞こえたと言います。先月11日になって脱出する決断をしたビクトルさんは、市民であることを示すため家族3人で白い布をまとい、「避難するだけだ」などと説明してロシア軍の兵士の追及を逃れ、歩いたり、車を乗り継いだりしながら、ブチャから離れたということです。 ビクトルさんは「市民には何の落ち度もない。今起きているのは戦争ではない、殺人だ」などと怒りをあらわにしていました。 隣に住むアンディリさん(37歳)も13日、NHKの取材に応じました。ロシア軍の侵攻が始まってからまもなく一家4人で市外に避難していたということですが、ブチャに戻ってきて目にしたのは破壊され、焼けた自宅と、ロシア軍の戦車が入り込んだ痕の残る庭でした。 アンディリさんは「何を言えばいいかわからない。とてもつらい。1日で全部失った」と話し、ため息をついていました。
このうち157人は子どもだということです。 死亡した人のうち1234人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、698人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。 また、けがをした人は2589人にのぼるということです。 多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。 今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。
マリウポリ市長「10万人以上 避難できるのを待っている」
米報道官 “追加の軍事支援 速やかに現地に”
ロシア軍 ウクライナ東部の戦力増強の動き アメリカ国防総省高官
米大統領 8億ドルの追加軍事支援行うことを明らかに
⇒「バイデン大統領 8億ドルの追加軍事支援明らかに」詳細記事はこちら
ロシア軍の攻撃「戦争犯罪にあたる」OSCEが初の報告書
⇒「OSCEが初の報告書」詳細記事はこちら
ウクライナの公共放送 191人の子ども死亡と伝える
ポーランドとバルト3国の大統領 ウクライナ訪問
ロシア外務省 アメリカとカナダ議員に制裁
ルーマニア 避難してきた人たちに無料で料理を提供する取り組み
ロシア大統領府報道官 バイデン大統領発言に強く反発
ウクライナで90の宗教施設や歴史的建造物などが被害
マリウポリ市長「ロシア軍 化学物質使った攻撃試みた 分析必要」
国際刑事裁判所検察官 ウクライナ ブチャ視察 戦争犯罪捜査へ
⇒「国際刑事裁判所検察官 ブチャ視察」詳細記事はこちら
「子どもたち」と書かれた車にも銃弾の痕
ブチャの住民は
ウクライナで少なくとも1932人の市民が死亡と発表
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
“ロシア軍艦艇にミサイル攻撃 深刻な被害” オデーサ州知事