ロシア軍はマリウポリから東部のほかの地域へ部隊を移動させるねらいとみられますが、イギリス国防省は23日「ロシア側がマリウポリを占領したと主張しているにもかかわらず激しい戦闘が続いて占領の試みが妨げられ、東部ドンバス地域でロシア側が想定していた進軍がさらに遅れている」と分析しています。
また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は22日、「ロシア軍は製鉄所に残る兵士や市民を飢えさせようとしている。市民を避難させようとはしていない」と指摘しています。
一方、ロシア国防省は23日、各地をミサイルなどで攻撃し東部ドネツク州でミサイルなどの貯蔵施設を破壊したほか、南部ミコライウ州でウクライナ軍の無人機15機を破壊したと発表し、東部や南部での攻撃を継続しています。
これに対しウクライナ国防省の報道官は22日、「ロシア軍は東部のドネツク州とルハンシク州の完全掌握と、南部クリミアからの陸上回廊の維持を目的に攻勢をかけている」という分析を示しました。
そのうえで「ロシアは南部へルソン州や南東部ザポリージャ州をロシアに併合しようと、いわゆる『住民投票』を準備している」と述べ、違法な手続きで領土を拡大しようとする動きに警戒を強めています。
ロシアのプーチン大統領は、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した来月9日の「戦勝記念日」に向けて国内向けに勝利を強調したい思惑があるとされ、当面は東部2州からロシアが一方的に併合した南部クリミアまでの地域を支配下に置くことをねらい、侵攻を継続するものとみられます。