その上で10回も続投してマウンドに上がったことについては「9回を投げ終わった時に監督に『代わるか』といわれたんですけど、柳投手だったら絶対投げるだろうと思ったんで『僕も投げます』と言いました」と話しました。
その上で「これからどんどん勝っていって、チームをどんどん上位に上げていけるように、最後まで投げ切れる試合を1つでも増やしたい」とさらなる活躍を誓いました。
そのうえで「今夜の敗戦はベンチと打線の責任です」と話していました。 また、30人目の打者として迎えた10回に唯一のヒットとなるツーベースを打った佐藤輝明選手は「大野投手は、コントロールがよかった。10回は、速い球に合わせていった。いいピッチャーなので、しっかりコンパクトにとコーチから言われていた」と話していました。 9回無失点と好投しながら10回に1点を奪われ、負け投手となった青柳晃洋投手は、「大野投手がすばらしいピッチングをしていたので、それに乗せられていいピッチングができた。回を増すごとに大野さんを見ていたら、1点が負けにつながると思い、緊張感があった。最後はサヨナラ負けとなり、そこだけは情けない」と話していました。
名古屋市の34歳の男性は「10回にヒットは打たれましたが相手に点が入らなくてよかったです。大野投手は素晴らしい投球をしていたのでもうちょっと打線に頑張ってほしかったです。完全試合は達成できませんでしたが僕は大野投手と同じ年なのでこのようなピッチングを見れて励みになります」と話していました。 三重県四日市市の53歳の男性は「完全試合が達成できず残念でしたけどよく頑張ったと思います。もう少し打線がつながっていればよかったんですが、幻の完全試合でした」と話していました。 愛知県一宮市から来たという中学1年生の男子生徒は「あと一歩で完全試合だったと思うとすごいです。ヒットを打たれた瞬間、ドームの中はあーっとため息が出ていました。なかなかこういう試合は経験がないので、見ることができてうれしいです」と話していました。
それでも1安打完封という完璧なピッチングを見せ負ければ勝率が5割を切る試合でチームに貴重な白星をもたらした。 この3年間、打線の援護がなく、勝ちがつかない試合は幾度もあった。 そんな時も大野投手は決して感情をあらわにすることなく「チームが勝つことが大事。自分たちが打線に助けられることもある」と冷静に語ってきた。 この試合、10回ツーアウトまで29人を完璧に抑える投球を続けながら、ツーベースで大記録の夢は絶たれた。 並のピッチャーなら気持ちがプツンと切れて失点につながってもおかしくない場面だが、大野投手は「自分は大丈夫だ」といわんばかりに冷静に両手をあげてチームメートに落ち着くように促した。 そこにあったのは「勝つことが最も大事」というチームへの純粋な思いだ。 その証拠にヒーローインタビューで出てきたのは「チームが勝てたから」という言葉だった。 思いの源はドラフト指名を受けた2010年にまでさかのぼる。 当時、大野投手はケガをかかえていたが、中日からドラフト1位で指名を受けた。 その時のことを多くは語らないが大野投手がどれだけ恩義を感じているのかは2020年にフリーエージェント権を取得した際、権利を行使せずに残留を決めたことでもよく分かる。 昨シーズンは3年ぶりに負け越したエースは、今シーズンからキャプテンに就任しキャンプから率先してチームをひっぱてきた。 ここまで6試合で2勝3敗とまだ納得のいく数字ではないかもしれないが、求めるのは自分の数字ではなく、このチームが勝つことだ。 大記録を逃しても涼しくそのあとを抑え、ヒーローインタビューでは自分の記録よりもチームの勝ちを喜んだ大野投手は最後にこう締めくくった。 「勝ち星を伸ばしていってチームをどんどん上位に上げていけるよう、これからも腕を振って最後まで投げきれる試合を1つでも増やせるようにやっていきます」。 エースの言葉はいつもチームに向けられる。 改めてそう思わされた完全試合を逃した夜だった。
阪神 唯一のヒット 佐藤「速い球に合わせていった」
西武 西口ファーム監督「僕と一緒ですね」
ファン「ヒットを打たれた瞬間 あーっとため息」
大野雄大 チームへの純粋な思い