帯状おびじょうほう疹ワクチン 来年度らいねんど定期ていき接種せっしゅへ 65歳さいになった高齢こうれい者しゃなど

帯状おびじょうほう疹は、体内たいないに潜伏せんぷくしている水みずぼうそうと同おなじウイルスが、加か齢よわいや疲労ひろうなどによる免疫めんえき力りょくの低下ていかで活性かっせい化かし、痛いたみを伴ともなう水みずぶくれが帯状おびじょうに現あらわれる皮膚ひふの病気びょうきです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、50歳さい以上いじょうの人ひとがかかりやすく患者かんじゃは70代だいが最もっとも多おおくなっていて、皮膚ひふの症状しょうじょうが治おさまっても神経しんけいの痛いたみが数すう年ねん残のこるケースがあります。

現在げんざいは、50歳さい以上いじょうの人ひとや感染かんせんリスクの高たかい人ひとを対象たいしょうに「生なまワクチン」や「組くみ換かえワクチン」の接種せっしゅが行おこなわれていますが、いずれも任意にんい接種せっしゅのため、基本きほんはおよそ8000円えんから4万まん円えんあまりの自己じこ負担ふたんが必要ひつようとなっています。

こうした中なか、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは18日にち開ひらかれた専門せんもん家か部会ぶかいで、帯状おびじょうほう疹のワクチンを来年度らいねんどから接種せっしゅ費用ひようを公費こうひで補助ほじょする定期ていき接種せっしゅに含ふくめる方針ほうしんを決きめました。

対象たいしょうは原則げんそく65歳さいになった高齢こうれい者しゃと、HIV＝ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルスに感染かんせんし、免疫めんえき機能きのうに障害しょうがいがある60歳さいから64歳さいの人ひとで、すでに65歳さいを超こえている人ひとについては、来年度らいねんどからの5年間ねんかんに接種せっしゅできる機会きかいを設もうける経過けいか措置そちを導入どうにゅうする方針ほうしんです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今後こんご、政令せいれいの改正かいせい手続てつづきを進すすめ、来年らいねん度ど以降いこう準備じゅんびが終おわった自治体じちたいから希望きぼうする人ひとに対にたいし定期ていき接種せっしゅを始はじめることになります。

“80歳さいまでに人口じんこうの3分ぶんの1が発症はっしょう” 研究けんきゅう結果けっかも

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、帯状おびじょうほう疹は神経しんけい痛つうや顔面がんめんがまひする合併症がっぺいしょうを引き起ひきおこす時ときもあり、発疹はっしんが治おさまった後のちもこうした症状しょうじょうが長ながい時ときには数すう年ねんにわたります。

感染かんせん力りょくは弱よわい一方いっぽうで、80歳さいまでに人口じんこうの3分ぶんの1が発症はっしょうするという研究けんきゅう結果けっかもあるということです。

死亡しぼうに至いたることはまれとされていますが、

▽高齢こうれい者しゃになるほど発症はっしょうしやすく、重症じゅうしょう化かしやすいほか

▽症状しょうじょうが残のこって長年ながねん、生活せいかつの質しつの低下ていかに苦くるしめられることもあるため

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは8年ねん前まえから高齢こうれい者しゃを対象たいしょうにワクチンの定期ていき接種せっしゅの検討けんとうを続つづけてきました。

合併症がっぺいしょうで突然とつぜん顔面がんめんまひに “再発さいはつの可能かのう性せい”も

帯状おびじょうほう疹のウイルスによって引き起ひきおこされる神経しんけい系けいの合併症がっぺいしょうを発症はっしょうしたという女性じょせいに話はなしを聞ききました。

65歳さいのこちらの女性じょせいは、5年ねん前まえ、突然とつぜん顔面がんめんの右みぎ半分はんぶんに力ちからが入はいらなくなり、口くちに含ふくんだ飲み物のみものをこぼしてしまう症状しょうじょうが出でて、受診じゅしんしました。発疹はっしんの症状しょうじょうはありませんでしたが病院びょういんで、帯状おびじょうほう疹のウイルスによって引き起ひきおこされる神経しんけい系けいの合併症がっぺいしょうだと診断しんだんされました。

顔かおのマッサージをしながら安静あんせいにした結果けっか、2か月かげつほどで顔かおのまひはなくなりましたが、医師いしからは再発さいはつする可能かのう性せいもあると言いわれており、不安ふあんが大おおきいといいます。

女性じょせいは「ずっと健康けんこうだったのに突然とつぜん、症状しょうじょうが出でて、本当ほんとうに大変たいへんだった。完治かんじしない可能かのう性せいもあるため予防よぼうでかからないようにすることが大事だいじだ」と話はなしていました。

帯状おびじょうほう疹ワクチン・定期ていき接種せっしゅの詳細しょうさい

今回こんかいの定期ていき接種せっしゅの対象たいしょうは原則げんそく65歳さいになった人ひとなどで、すでに65歳さいを超こえている人ひとについては5年間ねんかんの経過けいか措置そちとして70歳さい、75歳さい、80歳さい、85歳さい、90歳さい、95歳さい、100歳さいの時ときに接種せっしゅする機会きかいを設もうける方針ほうしんです。

100歳さい以上いじょうの人ひとは定期ていき接種せっしゅの初はつ年度ねんどとなる来年度らいねんどに限かぎって全員ぜんいんを対象たいしょうとする予定よていです。

ワクチンは「生なまワクチン」と「組くみ換かえワクチン」の2種類しゅるいあります。

このうち「生なまワクチン」は、接種せっしゅは1回かいで費用ひようは8000円えん程度ていどですが5年ねんから7年ねん程度ていどでワクチンの効果こうかが弱よわまるとされています。

また、「組くみ換かえワクチン」は、2回かい接種せっしゅする必要ひつようがあり、費用ひようは合あわせておよそ4万まん4000円えんかかりますが、10年ねんたっても高たかいワクチンの効果こうかがあるとされています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、副ふく反応はんのうについては臨床りんしょう試験しけんで接種せっしゅした部位ぶいの痛いたみやかゆみなどのほか、全身ぜんしんのけん怠けんたい感かんが報告ほうこくされていますが、重おもい症状しょうじょうはなく、安全あんぜん性せいは確認かくにんされているということです。

定期ていき接種せっしゅとなることで、国くにによる補助ほじょのほか自治体じちたいによっては独自どくじの助成じょせいを行おこなうところもあるとみられ、自己じこ負担ふたん額がくは自治体じちたいによって異ことなる見通みとおしです。

皮膚ひふ科かのクリニックでは

茨城いばらき県けん古河ふるかわ市しのクリニックでは、高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに帯状おびじょうほう疹の診療しんりょうに訪おとずれる患者かんじゃが年々ねんねん、増ふえているといいます。

患者かんじゃのなかには、最初さいしょは帯状おびじょうほう疹だと気付きづかず、診療しんりょう時じにはすでに体からだの広ひろい範囲はんいに発疹はっしんが広ひろがり治療ちりょうが難むずかしい人ひともいるということです。

そのため、クリニックではワクチンによる予防よぼうを積極せっきょく的てきに呼よびかけています。

接種せっしゅを受うけた男性だんせいは「周まわりでは、帯状おびじょうほう疹で入院にゅういんしている人ひともいて不安ふあんなので打うちました」と話はなしていました。

医師いし「甘あまい病気びょうきではない 予防よぼうに国くにの補助ほじょは重要じゅうよう」

「いけがき皮膚ひふ科か」の生垣いけがき英之ひでゆき院長いんちょうは「神経しんけいまひにずっと悩なやまされたり発疹はっしんの跡あとが残のこったりする人ひともいて、甘あまい病気びょうきではないと思おもう。予防よぼうはとても大事だいじなので、国くにが補助ほじょしてくれるのは重要じゅうようだ」と話はなしていました。