空港の保安チェックをすり抜けて、米ニューヨーク発フランス・パリ行きのデルタ航空国際便に密航していた女性が見つかった。空港の保安体制に深刻な懸念を浮上させるショッキングな出来事と受け止められている。
米運輸保安庁(TSA)によると、密航していたのは米国の永住権をもつ女性で、ニューヨークのJFK空港で保安検査を済ませて本人確認と搭乗状況確認をかわし、26日のデルタ264便に搭乗していた。機内への持ち込みが禁止されている品目は所持していなかった。
同機に搭乗していた乗客のロブ・ジャクソンさんによると、パリのシャルルドゴール空港に到着するまで、密航者のことは乗客に知らされていなかった。
「女性はJFKを出発してからずっと、後ろのトイレに隠れていたらしい」とジャクソンさんはCNNに語り、「乗客への発表で初めて問題があると知らされたのは、ゲートに到着した時だった。『深刻な保安問題』に対応するためフランス警察が来るので、座席にとどまるよう指示された」と話している。
同便は満員で、密航者が座れる空席はなさそうだったとジャクソンさんは言い、「操縦士と客室乗務員の会話が聞こえた。それによると、トイレにいた人物はそこを出てもう一つのトイレまで歩き、長時間こもっていた」と説明する。
パリの空港当局によると、女性は55~60歳で、ロシアのパスポートを持っていた。間もなく米国に送還される予定だという。
欧州に入る条件は満たしていなかったことから、現在はシャルルドゴール空港の待機ゾーンで足止めされている。当局によれば、女性は数年前、フランスに亡命を申請していた。
デルタ航空は、航空関係者や捜査機関と連携して徹底調査を行っていると説明した。