このため、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、この世代せだいの男性だんせいを対象たいしょうに、来年らいねんからおよそ３さん年間ねんかん、予防よぼう接種せっしゅを原則げんそく無料むりょうとすることを決きめました。

妊婦にんぷへの感染かんせんを防ふせぐには、男性だんせいを含ふくめたすべての人ひとが十分じゅうぶんな免疫めんえきを持もつ必要ひつようがありますが、この世代せだいの男性だんせいは５ご人にんに１いち人にんが十分じゅうぶんな免疫めんえきを持もっていないとみられています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、まずは、十分じゅうぶんな免疫めんえきがあるかを調しらべる抗体こうたい検査けんさを受うけてもらい、免疫めんえきがないことが分わかった場合ばあいにワクチンを接種せっしゅする方針ほうしんで、抗体こうたい検査けんさの費用ひようについても原則げんそく無料むりょうとすることにしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、東京とうきょうオリンピック・パラリンピックが開催かいさいされ海外かいがいから多おおくの人ひとが訪おとずれる2020年ねんまでに国内こくないの風疹ふうしん患者かんじゃをゼロにする目標もくひょうを掲かかげています。

妊婦にんぷからは不安ふあん訴うったえる声こえ

風疹ふうしんの流行りゅうこうが続つづく中なか、患者かんじゃが多おおく出でている地域ちいきの産婦人科さんふじんかでは、風疹ふうしんの感染かんせんに不安ふあんを訴うったえる妊婦にんぷが相次あいついでいます。

このうち、名古屋なごや市し天白てんぱく区くにある産婦人科さんふじんかのクリニックでは、風疹ふうしんに感染かんせんしていないかや、感染かんせんを防ふせぐ抗体こうたいが十分じゅうぶんか、不安ふあんを訴うったえたり、相談そうだんしたりする妊婦にんぷが相次あいついでいます。

このクリニックを訪おとずれた30代だいの妊婦にんぷは、妊娠にんしん６ろく週しゅうのとき、職場しょくばで３さん時間じかんほど打ち合うちあわせをした50代だいの同僚どうりょうの男性だんせいが、数すう日にち後ご、風疹ふうしんを発症はっしょうしたことを知しりました。

女性じょせいは妊娠にんしん前まえの検査けんさで、すでに抗体こうたいがあってワクチン接種せっしゅの必要ひつようはないと判定はんていされていましたが、患者かんじゃの間近まぢかに長時間ちょうじかんいたため、心配しんぱいになって相談そうだんに訪おとずれました。

風疹ふうしんは、感染かんせんしても15％から30％は症状しょうじょうが出でないため、詳くわしい検査けんさの結果けっかが出でて感染かんせんの可能かのう性せいが極きわめて低ひくいことが分わかるまで、不安ふあんでしかたなかったということで、「私わたしのせいで、赤あかちゃんに重おもい障害しょうがいが残のこってしまうのではないかと不安ふあんで、眠ねむることもできなかった」と話はなしていました。

このクリニックの産婦人科さんふじんか医い、種村たねむら光代みつよさんは「不安ふあんを訴うったえる妊婦にんぷさんが増ふえている。最近さいきんは、働はたらく女性じょせいが増ふえているので、職場しょくばでの感染かんせんに注意ちゅういしなければならない。成人せいじん男性だんせいがワクチンを接種せっしゅして流行りゅうこうをなくさないと、妊婦にんぷの不安ふあんはいつまでたっても消きえない」と話はなしています。

患者かんじゃ数すうは今いまの統計とうけいで２に番目ばんめの多おおさに

ことしの国内こくないの風疹ふうしんの患者かんじゃは、今月こんげつ２に日にちまでに合あわせて2400人にんを超こえ、10年ねん前まえに現在げんざいの形かたちで統計とうけいを取とり始はじめて以降いこう、大だい流行りゅうこうした平成へいせい25年ねんに次つぐ２に番目ばんめの多おおさとなりました。

全体ぜんたいの７なな割わりは首都しゅと圏けんの患者かんじゃですが、近畿きんき・東海とうかい地方ちほうなどでも増ふえていて、国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょは、妊娠にんしん前まえの女性じょせいや、流行りゅうこうの中心ちゅうしんとなっている30代だいから50代だいの男性だんせいなどに、ワクチン接種せっしゅを呼よびかけています。

風疹ふうしんは発熱はつねつや発疹はっしんなどの症状しょうじょうが出でる感染かんせん症しょうで、患者かんじゃのせきやくしゃみを通をつうじて広ひろがり、妊娠にんしん中ちゅうの女性じょせいが感染かんせんすると赤あかちゃんの目めや耳みみ、それに心臓しんぞうなどに障害しょうがいが出でる先天せんてん性せい風疹ふうしん症候しょうこう群ぐんとなるおそれがあります。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、今月こんげつ２に日にちまでの１いち週間しゅうかんに報告ほうこくされた風疹ふうしんの新あらたな患者かんじゃは118人にんで、ことしの国内こくないの患者かんじゃ数すうは合あわせて2454人にんとなりました。

患者かんじゃ数すうは平成へいせい24年ねんを上回うわまわり、10年ねん前まえに現在げんざいの方法ほうほうで統計とうけいを取とり始はじめて以降いこう、大だい流行りゅうこうした平成へいせい25年ねんに次つぐ２に番目ばんめの多おおさとなりました。

全体ぜんたいの患者かんじゃのおよそ７なな割わりは首都しゅと圏けんで報告ほうこくされていますが、近畿きんき地方ちほうや東海とうかい地方ちほう、福岡ふくおか県けんなど各地かくちで出でています。

都道とどう府県ふけん別べつでは、東京とうきょう都とが前まえの週しゅうから27人にん増ふえて834人にん、神奈川かながわ県けんが23人にん増ふえて342人にん、千葉ちば県けんが８はち人にん増ふえて334人にん、埼玉さいたま県けんが８はち人にん増ふえて166人にん、福岡ふくおか県けんが17人にん増ふえて112人にん、愛知あいち県けんが６ろく人にん増ふえて110人にん、大阪おおさか府ふが６ろく人にん増ふえて105人にん、などとなっています。

また、患者かんじゃのうち、男性だんせいはおよそ2000人にんと女性じょせいの４よん倍ばい余あまりになっていて、男性だんせい患者かんじゃ全体ぜんたいの８はち割わりを30代だいから50代だいが占しめています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょは、女性じょせいは妊娠にんしんする前まえに２に度ど、ワクチンを接種せっしゅしておくほか、流行りゅうこうの中心ちゅうしんとなっている30代だいから50代だいの男性だんせいなどにも抗体こうたいがあるか検査けんさを行おこなったうえで、ワクチンを接種せっしゅするよう呼よびかけています。

夜間やかん・休日きゅうじつの接種せっしゅで医療いりょう機関きかんに協力きょうりょく要請ようせいへ

予防よぼう接種せっしゅを原則げんそく、無料むりょうとする対象たいしょうが39歳さいから56歳さいまでの働はたらく世代せだいのため、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、夜間やかんや休日きゅうじつでも接種せっしゅできるよう医療いりょう機関きかんに協力きょうりょくを求もとめることにしています。

また、企業きぎょうに対にたいしては、職場しょくばで実施じっししている定期ていき的てきな健康けんこう診断しんだんで、十分じゅうぶんな免疫めんえきがあるかを調しらべる抗体こうたい検査けんさを実施じっしするよう、要請ようせいしていくことにしています。

根本ねもと厚あつし労相ろうしょう「追加ついか対策たいさくで抗体こうたい保有ほゆう率りつ90％以上いじょうに」

根本ねもと厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで、「今回こんかいの新あらたな対策たいさくによって、2020年ねん７月しちがつまでに、現在げんざい、39歳さいから56歳さいまでの男性だんせいの抗体こうたい保有ほゆう率りつを85％以上いじょうに引き上ひきあげ、風疹ふうしんの感染かんせん拡大かくだいを収束しゅうそくさせる」と述のべました。

そのうえで、「さらに、今後こんご、同様どうようの感染かんせん拡大かくだいが起おこらないように対策たいさくをさらに進すすめる。必要ひつようなワクチンを増産ぞうさんするほか、事務じむ手続てつづきに関にかんするガイドラインを作成さくせいするなどして自治体じちたいを支援しえんし、対策たいさくの普及ふきゅう・啓発けいはつを徹底てっていしていく。今年度こんねんど中ちゅうに速すみやかに追加ついか対策たいさくを実施じっしし、2021年度ねんど末まつまでに、この世代せだいの男性だんせいの抗体こうたい保有ほゆう率りつを90％以上いじょうにまで引き上ひきあげることを目指めざす」と述のべました。

自民じみん 小泉こいずみ厚生こうせい労働ろうどう部会ぶかい長ちょう「新あらたな１いち歩ほ」

風疹ふうしん対策たいさくの強化きょうかを政府せいふに求もとめてきた自民党じみんとうの小泉こいずみ進すすむ次郎じろう厚生こうせい労働ろうどう部会ぶかい長ちょうは「予防よぼう接種せっしゅの原則げんそく無料むりょう化かや、事業じぎょう所しょなどの健康けんこう診断しんだんで抗体こうたい検査けんさが行おこなわれる体制たいせいが整備せいびされることは、新あらたな１いち歩ほだ。アメリカが、妊娠にんしん中ちゅうの女性じょせいに日本にっぽんへの渡航とこう自粛じしゅくを呼よびかけるなど、緊急きんきゅうの事態じたいとなっていることを踏ふまえ、スピード感かんを持もって対応たいおうしてもらった」と述のべました。