通信暗号化で検閲回避ロシア市民の「VPN」利用が急増 - Easy News

ロシア国内こくないでSNSや外国がいこくメディアのサイトへのアクセス制限せいげんが行おこなわれている中なか、市民しみんの間までは通信つうしんを暗号あんごう化かして検閲けんえつを回避かいひする「VPN」と呼よばれるサービスを利用りようしてインターネットにつなぐ動うごきが広ひろがっています。

このうち、日本にっぽんの筑波つくば大学だいがくが無償むしょうで提供ていきょうしているサービスは、先月せんげつ以降いこう、ロシアの利用りよう者しゃ数すうが急激きゅうげきに増ふえ、先月せんげつは、2月つきまでの平均へいきんの8倍ばいにあたる120万まん人にん以上いじょうの利用りようがあったことがわかりました。

「VPN」＝バーチャルプライベートネットワークは、暗号あんごう化かした通信つうしんの回線かいせんを仮想かそう空間くうかんに構築こうちくする技術ぎじゅつです。

暗号あんごう化かされた回線かいせんは機密きみつ性せいが高たかいとされ、外部がいぶから社内しゃないのシステムにつなぐリモート接続せつぞくなどで使つかわれているほか、世界せかいでは、政府せいふなどよるインターネットの検閲けんえつを回避かいひする目的もくてきでも利用りようされてきました。

ロシアでは、ツイッターやフェイスブックなどSNSのほか外国がいこくメディアのウェブサイトも見みられなくなっていますが、これはロシア国内こくないで通信つうしんに対にたいして検閲けんえつが行おこなわれ、特定とくていのサイトにアクセスできないよう「ファイアウォール」と呼よばれる「壁かべ」がつくられていることが要因よういんとみられています。

こうした中なか、通信つうしんを暗号あんごう化かしたうえで、海外かいがいのサーバーにつないで検閲けんえつを回避かいひする「VPN」と呼よばれる技術ぎじゅつを使つかったサービスの利用りようが広ひろがっています。

このうち世界中せかいじゅうで使つかわれているVPNの一ひとつで、日本にっぽんの筑波つくば大学だいがくがサービスを提供ていきょうしている「VPN Gate」というソフトウエアは、2月つき下旬げじゅんのロシアのウクライナへの侵攻しんこう以降いこう、ロシアでの利用りよう者しゃが急増きゅうぞうしています。

筑波つくば大学だいがくの登とう大だい遊客ゆうかく員いん教授きょうじゅが2013年ねんから学術がくじゅつ実験じっけんとして開発かいはつしたサービスで、ソフトは誰だれでも無料むりょうで使つかうことができます。

通信つうしんを暗号あんごう化かしたうえ、世界中せかいじゅうのボランティアが提供ていきょうする最大さいだい8000台だいのサーバーを経由けいゆしてウェブサイトにアクセスする仕組しくみとなっていて、ロシア国内こくないからでも国外こくがいのサーバーを選えらべば、自由じゆうにウェブサイトをみることができます。

登のぼりさんによりますと、2月つきまではロシアでの利用りよう者しゃは、月つきに平均へいきん15万まん人にんほどで推移すいいしていたということですが、ウクライナへの侵攻しんこう以降いこう、利用りよう者しゃが急増きゅうぞうし、3月つきが115万まん人にん余あまり、4月つきが123万まん人にん余あまりとおよそ8倍ばいになっているということです。

特とくにスマートフォンで利用りようしているケースが目立めだつということで、登のぼりさんは「職業しょくぎょう的てきに使つかわれているというよりも、普通ふつうの市民しみんが、日常にちじょう生活せいかつや経済けいざい活動かつどう、学問がくもんなどのために外国がいこくのページにアクセスする際さいに使つかっていると思おもわれる。日本にっぽんの技術ぎじゅつが役に立やくにたっているということはとてもうれしい」と話はなしています。

登のぼりさんはVPNの技術ぎじゅつが、正確せいかくな情報じょうほうを得える手段しゅだんとして活用かつようされることについて、「世界せかいのいろいろな国くにや地域ちいきで、通信つうしんを規制きせいしようとする勢力せいりょくがあるが、その国くにの人々ひとびとが学問がくもんを自由じゆうにしたいとか議論ぎろんに必要ひつようなニュースに読よみたいなど情報じょうほうを閲覧えつらんするにはさまざまなウェブサイトへのアクセスが必要ひつようだ。日本にっぽんをはじめ、プログラミングや通信つうしんの知識ちしきを学まなんだ技術ぎじゅつ者しゃのいる国くにが、それを可能かのうにする技術ぎじゅつを提供ていきょうする責任せきにんがあると思おもう」としています。

そのうえで、「学問がくもんや研究けんきゅう、事業じぎょうに必要ひつような知識ちしきや情報じょうほうを検閲けんえつがない状態じょうたいで手てに入いれられること。いつ誰だれがどのサイトを見みたのか、政府せいふによって、監視かんしされることがないこと。これを実現じつげんするために大おおいに使つかってほしい」と話はなしていました。

情報じょうほう得えるため欠かかせない手段しゅだん規制きせいも懸念けねん

ロシア国内こくないではインターネットで閲覧えつらんできるサイトが制限せいげんされ、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム、一部いちぶのユーチューブなど多おおくのSNSや外国がいこくメディアなどのサイトは見みることができません。

ロシアによるウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうやプーチン政権せいけんに対にたいして抗議こうぎの声こえを上あげているロシア人じんにとって、VPNは情報じょうほうを得えるためにも、意志いしを表明ひょうめいするためにも、欠かかせない手段しゅだんになっています。

モスクワに住すむ医療いりょう関係かんけいの仕事しごとに従事じゅうじする男性だんせい（40）は、VPNに接続せつぞくするため3つのアプリを使い分つかいわけています。

男性だんせいは、ロシア国内こくないでVPNは広ひろく使つかわれていると説明せつめいしたうえで、「1つがつながらなかったら、他たのアプリでつないでいます。ロシアのサイトを見みる時とき以外いがいはほとんどVPNを使つかっています」と話はなしています。

モスクワで法律ほうりつを学まなぶ女子じょし学生がくせい（21）も、5つほどのアプリを使い分つかいわけてVPNに接続せつぞくし、ツイッターやインスタグラムで友人ゆうじんとやり取やりとりをしたり、情報じょうほうを集あつめたりしています。

女子じょし学生がくせいは「家族かぞくや親したしい友達ともだちとは話はなせますが、そのほかの人ひととは話はなさなくなっています。人々ひとびとは生活せいかつを続つづけるために抗議こうぎの声こえを上あげなくなっているのです」と話はなし、政府せいふへの批判ひはんが次第しだいに困難こんなんになっていると説明せつめいしました。

またロシア第だい2の都市としサンクトペテルブルクに住すむ自営じえい業ぎょうの男性だんせい（52）は、VPNに接続せつぞくするため4つのアプリをスマートフォンやパソコンに入いれ、毎日まいにち、使つかっているといいます。

男性だんせいはロシア国内こくないの独立どくりつ系けいメディアが閉鎖へいさに追い込おいこまれる中なか、VPNを使用しようせずにアクセスできる情報じょうほうは政府せいふのプロパガンダばかりだとして、「誠実せいじつなジャーナリストはロシア国内こくないでは公おおやけには仕事しごとができず、国外こくがいに出でて発信はっしんしているため、VPNを使つかわないと記事きじが読よめません。私わたしの理解りかいや考かんがえはすべてVPNを使つかって得えた情報じょうほうに基もとづいています」と話はなしています。

またツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSに接続せつぞくする時ときにもVPNを使つかい、同おなじ考かんがえを持もつ人ひとたちとやり取やりとりしたり、プーチン政権せいけんへの批判ひはんなどを投稿とうこうしたりしています。

ロシア政府せいふがことし3月つきに法律ほうりつを改正かいせいし、「ロシア軍ぐんの活動かつどうについて、信頼しんらいできる報道ほうどうを装よそおい、うその情報じょうほうを拡散かくさん」した場合ばあい、最大さいだいで懲役ちょうえきもしくは禁錮きんこ15年ねんを科かすとしたことで、公共こうきょうの場所ばしょでのデモをはじめ抗議こうぎの声こえを上あげるのが一層いっそう難むずかしくなっているということです。

このためSNSの重要じゅうよう性せいはさらに増ましていますが、男性だんせいは、政府せいふがVPNにアクセスできないようさらに規制きせいを強つよめるのではないかと懸念けねんしています。

男性だんせいは「一部いちぶの抗議こうぎをしている人ひとを刑務所けいむしょに入いれることで他たの人ひとは怖こわがって抗議こうぎの声こえを上あげられなくなります。それがプーチンが考え出かんがえだした効果こうか的てきな方法ほうほうです。プーチン政権せいけんは言論げんろんの自由じゆうを終おわらせるために、普通ふつうではSNSを使つかえないようにしています。プーチン政権せいけんは多額たがくの資金しきんを投入とうにゅうしてすでにさまざまなVPNのアドレスをブロックしています。SNSはロシア人じんにとって有益ゆうえきな情報じょうほう源げんなので、使つかえなくなるのではないかと恐おそれています」と話はなしていました。