【詳しく】ロシアの侵攻を止めるには? 元NATO司令官に聞く - Easy News

ウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづけるプーチン大統領だいとうりょう。第だい2次じ世界せかい大戦たいせんで旧きゅうソビエトがナチス・ドイツに勝利しょうりしたことを記念きねんする5月つき9日にちの「戦勝せんしょう記念きねん日び」の演説えんぜつでは、今後こんごの方針ほうしんについては触ふれませんでした。

次つぎの軍事ぐんじ的てきな標的ひょうてき、そして最終さいしゅう目標もくひょうは何なになのか。核兵器かくへいきの使用しようの可能かのう性せいはあるのか。仮かりに使用しようされた場合ばあい、どう対応たいおうすべきなのか。

元もとNATO・ヨーロッパ連合れんごう軍ぐん最高さいこう司令しれい官かんで、任期にんき中ちゅう、ウクライナ南部なんぶのクリミアを一方いっぽう的てきに併合へいごうしたロシアと対たいじし、プーチン大統領だいとうりょうの手の内てのうちを最もっともよく知しるとされる人物じんぶつの1人にん、フィリップ・ブリードラブ氏しに聞ききました。

プーチン氏しを止とめるカギは「抑止よくしの主導しゅどう権けんを握にぎること」だと断言だんげんしました。

プーチン氏しが描えがく今後こんごの軍事ぐんじ的てきな標的ひょうてきは?

（元もとNATO・ヨーロッパ連合れんごう軍ぐん最高さいこう司令しれい官かんフィリップ・ブリードラブ氏し）

プーチン氏しには2つの当面とうめんの目標もくひょうがあります。

1つは、ウクライナ東部とうぶです。ドンバス地域ちいきに展開てんかいするウクライナ軍ぐんを南北なんぼくから挟み撃はさみうちし、包囲ほういすることです。

もう1つは、南部なんぶの海岸かいがん沿ぞいに軍ぐんを進すすめ、南部なんぶの港湾こうわん都市としオデーサを制圧せいあつすることです。

もし、東部とうぶマリウポリとオデーサを制圧せいあつできれば、ウクライナを海うみから切り離きりはなして内陸ないりくに閉じ込とじこめ、経済けいざい的てきに大おおきな打撃だげきを与あたえることができると考かんがえているのです。

経済けいざい的てきな打撃だげきでねらうのは？

プーチン氏しは当初とうしょ、首都しゅとキーウを軍事ぐんじ的てきに制圧せいあつし、ゼレンスキー大統領だいとうりょうの殺害さつがい、または、追放ついほうを望のぞんでいましたが、失敗しっぱいしました。

このため、別べつの方法ほうほうで、つまり、ウクライナ経済けいざいを破壊はかいすることで、ゼレンスキー大統領だいとうりょうを失脚しっきゃくさせたうえで、かいらい政権せいけんを樹立じゅりつし、自分じぶんの思おもうままにウクライナを操あやつろうとしているのです。

最終さいしゅう目標もくひょうは政権せいけん転覆てんぷく？

プーチン氏しの最終さいしゅう目標もくひょうは、間違まちがいなく、“ウクライナの先さき”にあります。それは、ロシアが軍事ぐんじ侵攻しんこうを始はじめる前まえに欧米おうべいに突つきつけたNATOの不ふ拡大かくだいなどを求もとめた文書ぶんしょからも明あきらかです。

プーチン氏しはソビエトを復活ふっかつさせ、NATOとの間まに軍事ぐんじ的てきな緩衝かんしょう地帯ちたいを設もうけたいと考かんがえているのです。つまり、ロシアの周辺しゅうへんからすべての兵器へいきをなくし、アメリカを追い出おいだし、NATOを遠とおくへ押し戻おしもどそうというわけです。

私わたしはモルドバがロシアの次つぎの軍事ぐんじ侵攻しんこうの標的ひょうてきになるのではないかと懸念けねんしています。モルドバ東部とうぶの沿ドニエストル地方ちほうに駐留ちゅうりゅうするロシア軍ぐんは、すでに警戒けいかいレベルを引き上ひきあげ、態勢たいせいを整ととのえています。

もし、私わたしたちがウクライナでロシアを食い止くいとめることができなければ、モルドバ、そしてモルドバで食い止くいとめることができなければ、次つぎに標的ひょうてきになるのはジョージアです。

核兵器かくへいき使用しようの可能かのう性せいは？

私わたしたちはこれを真剣しんけんに受け止うけとめなければなりません。

通常つうじょう兵器へいきが使つかわれている戦場せんじょうでロシアが核兵器かくへいきを使用しようすることは普通ふつうに起おこりうることです。これは、通常つうじょう兵器へいきの戦たたかいと核兵器かくへいきの使用しようには明確めいかくな線引せんひきがある欧米おうべいとは全まったく異ことなる考え方かんがえかたです。

プーチン氏しは何なん年ねんも前まえから文書ぶんしょや演説えんぜつを通をつうじて、通常つうじょう兵器へいきに対にたいしても核兵器かくへいきを使用しようすると脅おどすことで、欧米おうべい諸国しょこくの行動こうどうを抑止よくししようとしてきました。そして今いま、私わたしたちは、ほぼ完全かんぜんにウクライナでの行動こうどうを抑止よくしされてしまっています。

欧米おうべい諸国しょこくが「ウクライナで戦たたかわない」とか、「これもしない、あれもしない」と言いっているのは、すべて、プーチン氏しが核兵器かくへいきを使用しようすることを恐おそれているからです。

核兵器かくへいきを使用しようさせないためには？

「私わたしたちこそがプーチン氏しを抑止よくしする」と決断けつだんしなければなりません。

リスクを背負せおってでも先手せんてを打うち、プーチン氏しを抑止よくしするための行動こうどうをとるのです。

相手あいてに主導しゅどう権けんを握にぎられ、その対応たいおうに追おわれるのではなく、私わたしたちが主導しゅどう権けんを握にぎり、相手あいてに対応たいおうを強しいるのです。

今回こんかいの紛争ふんそうに関にかんしていえば、私わたしたちはいずれも達成たっせいできていません。私わたしたちに必要ひつようなことは、まず、こうした問題もんだいを克服こくふくすると決断けつだんし、そのうえで、プーチン氏しを抑止よくしし、私わたしたちに対応たいおうせざるを得えなくするような行動こうどうをとることなのです。