多くの兵士らが親ロシア派が支配する町などに移送されたということで、マリウポリの攻防戦は大きな節目を迎えています。
そのうえで、「兵士の中には重傷を負っている者もいる。英雄たちが生きることがウクライナにとってなによりも必要だということを強調したい」述べ、兵士の避難を急ぐ考えを示しました。 また、ウクライナのマリャル国防次官は16日、「53人の重傷者がアゾフスターリ製鉄所から医療施設に搬送され、211人が避難ルートを通じて、移送された」と述べ兵士の移送にあたってウクライナ軍が拘束したロシア軍の捕虜との交換が行われる可能性も示唆しました。 マリャル国防次官によりますと、重傷の兵士が搬送されたのは、東部ドネツク州にある親ロシア派の武装勢力側の医療施設だということです。
アンデション首相は、「スウェーデンの安全保障が強化されるだけでなくNATO全体の安全保障にも寄与できる」などと述べ、隣国フィンランドとともに近く申請を行う計画だと説明しました。 首都ストックホルムの市民からは、「今の状況を考えると、正しい道だ。去年だったらNATOへの加盟は必要ないと思っていたが、状況は変わった」とか、「長年、NATOへの加盟を支持してきたが、200年にわたってこうした同盟には加わってこなかったので本当に特別なことだ」などと、決定を歓迎する声が聞かれました。 一方で、「スウェーデンのNATO加盟はヨーロッパでの対立を加速させかねない。政治家はもっと市民の声を聞くべきで拙速な判断だ」と懸念する声もありました。
チョルノービリ原発は、ことし2月下旬から1か月余りにわたってロシア軍に占拠され、周囲では、ロシア軍が放射性物質を含む土を掘り返してざんごうを作るなどしたため放射性物質による汚染が広がったのではないかと懸念されています。 16日の調査では、担当者2人が原発から12キロほど離れたチョルノービリにある建物で、計測器を使って放射線量を調べていました。 研究所職員のアレクサンドル・バルスコフさんは「ロシア軍は、悪いことをした。きちんと調査を行うことで明らかにできる」と話していました。
会議のあとの記者会見でEUの外相にあたるボレル上級代表は、ウクライナに対して5億ユーロ、670億円余りの追加の軍事支援を行うことで合意したと明らかにしました。 一方、協議が難航しているのが、EUが今月4日に加盟国に提案したロシアからの石油の輸入を年内に禁止することを含む、ロシアへの追加制裁案です。 制裁を実施するにはすべての加盟国の同意が必要ですが、ロシアからパイプラインで石油の供給を受けているハンガリーが反対を続けています。 外相会議でも、輸入禁止に対応するためにハンガリーが必要だとする期間やコストなどをめぐって話し合いが行われたということですが、合意には至りませんでした。 見通しについてボレル上級代表は「これ以上長くかからないことを願うが、あと1週間かかるのか2週間かかるのか言うことはできない」と述べ、引き続き協議を行う考えを示しました。
このうち、ロシアと関係が深いベラルーシのルカシェンコ大統領とも会談し、ベラルーシの大統領府によりますと、両首脳は▽ロケット弾の製造など両国の軍事産業分野での協力について話し合い、▽近い将来、再び会談することで合意したということです。 一方、今回の首脳会議で、プーチン大統領は、加盟国の首脳たちに対して、ウクライナでの軍事作戦の状況を説明していて、個別の会談では、各国の首脳に作戦への協力を求めた可能性があります。 しかし、ロシアの軍事侵攻をめぐってはカザフスタンなど、一部の加盟国はロシアと距離を置いているともみられています。
死亡、またはけがをした子どもが最も多いのは ▽東部ドネツク州で140人、 次いで ▽首都があるキーウ州で116人 ▽東部ハルキウ州で100人 ▽北部チェルニヒウ州で68人などとなっています。 また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1748か所にのぼり、このうち144か所は完全に破壊されたということです。
このうち245人は子どもだとしています。 地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で2014人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1654人の死亡がそれぞれ確認されているということです。 また、けがをした市民は3896人に上るとしています。 ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりしていて、実際は大きく上回るという見方を示しています。
また、アメリカ国防総省のカービー報道官も会見で、「NATOは防衛のための同盟であり、ロシアを含むほかのいかなる国にも脅威を与えてはいない。NATOに加盟するかどうかについてプーチン大統領やそのほかの第三者が拒否することはできない」と述べました。 そのうえでカービー報道官はプーチン大統領が将来、対抗措置を取ることも辞さない構えを示していることについて、「誰が本当の侵略者なのか、そして誰の行動がフィンランドとスウェーデンにNATOに加盟したいと思わせたのか、われわれは忘れてはならない。それはプーチン大統領とロシア自身だ」と述べて、ロシア側をけん制しました。
これについて、トルコのエルドアン大統領は16日、首都アンカラで会見し、「彼らは来週月曜日に説得しにくるというが、そんな手間は必要ない。我々に制裁をかしている国のNATO参加にイエスとは言えない」と述べ、両国の加盟の動きに重ねて否定的な立場を示しました。 そのうえで、両国がトルコがテロ組織に指定しているクルド人武装組織のメンバーの引き渡し要請に応じていないとして、「どうやって彼らを信頼すればいいのか」と述べ、クルド人武装組織への対応をめぐり不満をあらわにしました。
そのうえで「両国のNATOへの加盟はその強力な防衛力によりバルト諸国やヨーロッパ、そして大西洋地域の安全保障をより強化することになる。フランスはハイレベルの戦略協議や軍事的な交流を通じて、両国との安全保障上の協力を強化する用意がある。主権国家に対する侵略や脅しによってヨーロッパの連帯を試そうとする国は、フランスが両国の側に立つことを確信しなければならない」として、ロシアをけん制しました。
この高官によりますと、ハルキウではロシア軍が空爆や砲撃を続けていますが、ウクライナ軍が周辺で占領された地域を取り戻し続けているということです。そして周辺に展開していたロシア軍の部隊を北に押し返し、ロシアとの国境までおよそ3キロから4キロの位置にまで後退させたと指摘しました。 またウクライナ東部ではロシア軍とウクライナ軍との間で砲撃の応酬が続いていて、ロシア側が大きく支配地域を拡大することはできていないとの見方を示しました。東部ルハンシク州ではロシア軍の部隊がウクライナ側の抵抗でドネツ川にかかる橋を渡ることができずにいるとしたうえで、この高官は「ロシア軍は部隊を再配置するか、川を渡るためにウクライナ側の守りの手薄な地域を見つけるまで東部地域で大きな成果を上げることは難しい」と述べました。 一方、この高官によりますと東部ドネツクの近くでは激しい戦闘の末、ロシア軍の部隊がわずかに前進したということです。この部隊が前進している方向には東部マリウポリを離れて北上したあと動きを停止しているロシア軍の部隊がいるということで、これらの部隊に合流しようとしている可能性があると指摘しました。
この中でゼレンスキー大統領は「感謝の気持ちでいっぱいです。あなたたちは素晴らしい仕事をしている」などと述べ、軍の部隊をたたえました。
そのうえで「国境近くでのベラルーシ軍の存在によってウクライナ軍の部隊は足止めされ、東部ドンバス地域での作戦支援のために展開することが難しくなる可能性が高い」と分析しています。 一方、ベラルーシ領内はロシア軍が当初、ウクライナの首都キーウなどに侵攻する際の中継地点や、空爆やミサイル攻撃の拠点として使われたものの、「ベラルーシ軍はこれまで戦闘に直接関与はしていない」という見方を示しています。 これについてイギリス国防省は、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアの軍事侵攻への支持と、欧米の制裁やウクライナ側の報復といったリスクを伴う直接的な軍事参加は避けたいという思惑とのバランスをとっていると見られるとしています。
ゼレンスキー大統領“マリウポリ兵士の救出作戦開始”
スウェーデン NATO加盟申請決定 “近くフィンランドとともに”
【詳しく】フィンランドとスウェーデン NATO加盟なぜ目指す?
チョルノービリ原発 汚染の実態調査始まる
EU外相会議 ロシアからの石油輸入禁止 合意に至らず
プーチン大統領 CSTO加盟国首脳と相次ぎ個別会談
ウクライナ検察当局 子ども229人死亡(16日時点)
国連 ウクライナ市民 3668人死亡(今月15日まで)
米 北欧のNATO加盟「歓迎する」
トルコ大統領 北欧のNATO加盟 重ねて否定的な立場示す
フランス大統領府 NATOへの加盟申請決定を支持
米国防総省 “ロシア軍 ハルキウ周辺から国境近くまで後退”
ゼレンスキー大統領 ロシア国境に到着した部隊に感謝
英国防省 “ベラルーシ 軍の特殊作戦部隊を国境に展開”
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ウクライナ軍“製鉄所での戦闘任務終了” マリウポリ攻防戦節目