裁判が開かれないまま事件が終結したことについて、亡くなった女性の弟がNHKの取材に応じ、「なぜ事件を起こしたのか知りたかったが、気持ちを持っていく場がなくなってしまった」と今の心境を語りました。
おととし11月、東京 渋谷区のバス停で、路上生活をしていた大林三佐子さん(当時64)が休んでいたところ頭を殴られて死亡し、近所に住んでいた48歳の元被告が傷害致死の罪で起訴されました。
裁判は17日、初公判が予定されていましたが、元被告は保釈中の先月自宅近くの路上で倒れているのが見つかり、その後死亡が確認されました。
警視庁によりますと現場の状況から自殺とみられるということです。
このため東京地方検察庁は先月起訴を取り消し、裁判が開かれないまま事件は終結しました。
これについて、亡くなった大林さんの64歳の弟がNHKの取材に応じ、今の心境を語りました。
この中で、弟は元被告の死亡を知った時は驚きを隠せなかったとしたうえで「なぜ事件を起こしたのか知りたかったし、罪をしっかり受け止めたうえで更生してほしかった。しかし裁判が開かれなくなったことで気持ちを持っていく場がなくなってしまった」と話しました。
元被告側からは最後まで連絡や謝罪などはなかったということです。
弟は「姉の死はあまりにも突然で、いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。ただ1人のきょうだいで生きていればこれからいろいろな話もできたのに、もういなくなってしまいました。このような結果になったのでしかたがないと思う一方、姉のことを思うとこれで終わってしまっていいのかと感じます。謝罪もなくただ現実を突きつけられただけというのは本当に悔やまれます」と話していました。