一方いっぽう、消息筋しょうそくすじがNHKの取材しゅざいに対にたいし明あきらかにしたところによりますと、北朝鮮きたちょうせん国営こくえいのコリョ（高麗こうらい）航空こうくうのイリューシン76型がた輸送ゆそう機き3機きが16日にち午前ごぜん、中国ちゅうごく東北とうほく部ぶ・瀋陽しんようの空港くうこうに着陸ちゃくりくし、その日ひの午後ごごに北朝鮮きたちょうせんへ戻もどったことが確認かくにんされ、中国ちゅうごくから医薬品いやくひんを搬入はんにゅうしたとみられるということです。

イリューシン76型がた輸送ゆそう機きは、かつてキム総そう書記しょきが米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんに出席しゅっせきした際さいなどに専用せんよう車しゃを運はこぶのにも使つかわれました。

キム総そう書記しょきは感染かんせんを徹底てっていして抑え込おさえこむ「ゼロコロナ」政策せいさくを進すすめる中国ちゅうごくを見習みならうよう指示しじしていて、北朝鮮きたちょうせんの医療いりょう体制たいせいがぜい弱ぜいじゃくで医薬品いやくひんが不足ふそくしていると言いわれる中なか、後うしろ盾たての中国ちゅうごくの支援しえんを仰あおいだとみられます。

ただWHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんは16日にちの声明せいめいで、北朝鮮きたちょうせんでは新型しんがたコロナウイルスのワクチンの接種せっしゅが始はじまっていないとして「早急そうきゅうに適切てきせつな対策たいさくを講こうじなければウイルスが急速きゅうそくに広ひろがるおそれがある」と懸念けねんを示しめしています。

これを受うけて韓国かんこく統一とういつ省しょうは、新型しんがたコロナのワクチンの提供ていきょうなどの支援しえんに向むけて、南北なんぼくの実務じつむ者しゃ協議きょうぎの提案ていあんを盛り込もりこんだ通知つうち文ぶんを送おくることを北朝鮮きたちょうせん側がわに打診だしんしました。

しかし、北朝鮮きたちょうせんはこれまでのところ、通知つうち文ぶんを受け取うけとるかどうかの意思いしを明あきらかにしていないということです。

一方いっぽう、北朝鮮きたちょうせんは17日にち、韓国かんこくとの窓口まどぐち機関きかんである祖国そこく平和へいわ統一とういつ委員いいん会かいのウェブサイトで、ユン大統領だいとうりょうが今月こんげつ10日にちの就任しゅうにん演説えんぜつで、北朝鮮きたちょうせんに対にたいし「実質じっしつ的てきな非核ひかく化かに転換てんかんするなら経済けいざいと市民しみん生活せいかつを画期的かっきてきに改善かいぜんできる大胆だいたんな計画けいかくを準備じゅんびする」と呼よびかけたことを非難ひなんしました。

この中なかで北朝鮮きたちょうせんは、核かくを放棄ほうきすれば大だい規模きぼな経済けいざい支援しえんを行おこなうとしたイ・ミョンバク（李り明博あきひろ）元もと大統領だいとうりょうの政策せいさくを挙あげて「そのまま書き写かきうつしたにすぎない。わが国わがくにの戦略せんりゃく的てき地位ちいは当時とうじと異ことなっていて、あきれざるをえない」と不快ふかい感かんをあらわにしています。

会談かいだんでは両国りょうこく関係かんけいや新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん対策たいさくに関にかんする協力きょうりょくなどについて協議きょうぎしたということです。

これに先立さきだってロシア大統領だいとうりょう府ふのペスコフ報道ほうどう官かんは13日にち「ロシアではさまざまなワクチン接種せっしゅが行おこなわれ、感染かんせん対策たいさくについて豊富ほうふな経験けいけんがある。北朝鮮きたちょうせんから要請ようせいがあれば速すみやかに検討けんとうされるだろう」と述のべ、ワクチンの提供ていきょうなど医療いりょう支援しえんの用意よういがあることを明あきらかにしました。