イギリスの保健当局は、今月18日までに「サル痘」の患者が合わせて9人確認されたと発表しました。
最初に確認された患者は西アフリカのナイジェリアへの旅行から帰ってきた人で、家族2人にも感染したとみられるということです。一方、残る6人の患者の感染経路は明らかになっておらず、現在調査が行われています。
【アメリカ】
アメリカのCDC=疾病対策センターは18日、東部マサチューセッツ州で「サル痘」の患者が確認されたと発表しました。
患者は最近カナダへ旅行したことがあるということですが、どこで感染したかは調査中としています。
【カナダ】
カナダ・モントリオールの保健当局は19日、「サル痘」に感染した疑いのある人が17人報告されたと発表しました。感染が疑われる人は全員が隔離されていて、これらの人と接触があった人も健康観察の対象になっているということです。
【フランス】
フランスの保健当局は19日、「サル痘」に感染した疑いのある人が国内で初めて報告されたと発表しました。
症状など詳しいことは明らかにされていませんが、感染が疑われる症例が報告されたのは首都のパリやその近郊を含む地域だということです。
この他、AP通信などによりますと、
▼ポルトガルで14人、
▼スペインで7人、
▼イタリアとスウェーデン、ベルギーでそれぞれ1人の感染が確認されているということです。
またオーストラリアでも患者ひとりが確認されたことがわかりました。
過去にアフリカで感染が起きた際には、致死率は数%から10%程度に上ったと報告されています。
ただ、WHOは、ヒトからヒトへの感染は密接な接触によるもので、比較的限られているとしています。 日本では「サル痘」の感染が報告された例はこれまでありません。
しかし1970年に今のコンゴ民主共和国で、ヒトへの感染が初めて確認されました。その後、中央アフリカや西アフリカの熱帯雨林地域で散発的に感染が広がっているとしています。
アメリカのCDCによりますと、この時はアフリカからペットを通じて持ち込まれた“サル痘ウイルス”がプレーリードックに感染しました。感染した人はプレーリードックと接触があったとしています。
また2003年のアメリカでのケースは、西アフリカ型の“サル痘ウイルス”によることが明らかになっているということです。
「モンキーポックスウイルス(=サル痘ウイルス)は、天然痘に似たウイルスで、ヒトに感染すると天然痘のような症状を出すことが知られています」 「2種類、大きく分けて強毒型のと、それほど強毒でない方があります。アフリカでは今も流行が続いて、毎年患者さんが出ています。アフリカから帰国した人とか、アフリカから来た人がイギリスとか海外で発症して、それで見つかるというケースが最近相次いでいるという状況だと思います」 Q.イギリスとかで見つかったウイルスはどちらのタイプなのか。 「ナイジェリアからイギリスに輸入症例として過去何年か出ているケースでは、ナイジェリアで今流行してる西アフリカ型という比較的病原性が低いとされている方のモンキーポックスウイルスであることがわかっています。強毒型は主にコンゴ民主共和国を中心に分布しているウイルスで、ヒトからヒトへも比較的容易に感染するようになってきていて、重症例では天然痘と区別のつかないような症状を出して死亡するケースも知られています」 Q.強毒型でなければあまり心配はないのか。 「西アフリカ型は、サルに対する病原性も低いとされていて、ヒトでは非常に軽症で済むと言われていましたが、ナイジェリアでここ数年流行が相次いでいる中では、かなり重症化しているケースもあります。弱毒型の西アフリカ型でも、ナイジェリアで流行している株は、少し強毒化している可能性が指摘されています」 Q.怖いウイルスということか。 「天然痘ほど強いウイルスであるというふうには今のところなっていません。昔は天然痘のワクチンを世界中の人が受けていたので免疫がありましたが、今の若い世代の人たちは天然痘がなくなったので天然痘のワクチンを受けていません。免疫力の低い基礎疾患のある方とかの場合は重症化するリスクがないとは言えないと思います。新型コロナウイルスのようなパンデミックを起こすようなウイルスではないと思います」 Q.なぜでしょうか。 「新型コロナウイルスは呼吸器感染で広がるウイルスなので、かなり広がりましたが、ポックスウイルスは主に接触感染、一部飛まつ感染しますけれども、それほど感染力が強いわけではないので、一気に世界中にひろがるものではないと思います」 Q.もし国内に入ってくるとしたらどういう状況が考えられるか。 「おそらく、その流行国で感染した人が潜伏期間中に帰国して、あるいは流行国の人が日本に訪問されたときに発症するケースで出ることが想定されます。もともとはリスが持っているウイルスで、輸入動物として感染した動物が入ってきた事例というのは、20年ほど前アメリカでありましたので、そういうリスクがゼロというわけではないです」 Q.私たちはどう気をつけたらいいのか。 「例えばナイジェリアとかコンゴ民主共和国では、感染者が出ていますけれども、そういう国に行っても、都会、首都みたいなところで知らないうちに感染するものではありません。リモートエリアで流行が起きてますから、そういうところに行かないっていうのはひとつあります。リモートエリアというのは要するに自然豊かな熱帯林のようなところとか野生動物がいるような所ですね」 「(海外の感染が広がっている地域で)野生動物にむやみに接触するようなことは避けるというのが重要、特に海外に行ったときは重要だと思います」
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