15日午前6時すぎに山に入り、理稀くんがいなくなった場所から歩いておよそ15分、距離にしておよそ600メートルほど離れた山の中の沢で理稀くんの名前を呼ぶと、「おじちゃん、ここ」という声が聞こえたということです。
尾畠さんが声の方向へ進むと、沢の近くの石に座っていた理稀くんを見つけました。
呼びかけに対し理稀くんは「はい」とはっきり答え、尾畠さんが持っていたあめをかみ砕いて食べたということです。
尾畠さんは10数年前からボランティア活動に力を入れ、東日本大震災などの被災地のほか、先月の豪雨で大きな被害を受けた広島県呉市でも復旧作業にあたりました。
また、おととし大分県佐伯市で当時2歳の女の子が一時、行方不明になり21時間後に無事、保護された際にもボランティアで捜索に参加していて、このときの経験を頼りに今回、山に入ったということです。
尾畠さんは「見つけた瞬間はびっくりして頭が真っ白になり、心臓が止まるかと思いましたが、尊い命が助かってよかったです。あれぐらいの幼い子なら泣き叫んでいてもおかしくないのに、とても落ち着いていました」と話していました。
各地にボランティア
山口県で行方が分からなくなっていた2歳の男の子を発見した大分県日出町の尾畠春夫さんは、これまでにも東日本大震災など全国各地の災害の被災地にボランティアとして駆けつけてきました。
7年前に発行された日出町の広報誌では、尾畠さんが東日本大震災で被災した宮城県南三陸町で、がれきの中からアルバムや写真など被災者の思い出の品を探す活動にあたったことが紹介されています。
また、去年7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けた大分県日田市の社会福祉協議会やボランティア団体の関係者によりますと、豪雨のあとも何度も被災地に足を運び、車に泊まりながら水につかった住宅から泥をかき出す作業などにあたっていたということです。
災害ボランティアの経験が豊富で、現場では、ほかのボランティアに作業のポイントを教えるなどリーダーシップを発揮していたということです。
このほか、山に登って登山道にベンチや道案内の標識を設置するボランティアも長年、行ってきました。
尾畠さんによりますと、2年前、大分県佐伯市で母親らと一緒に畑にいた2歳の女の子が行方不明になり、およそ21時間後に山の斜面で無事に保護された際にも、捜索に参加したということです。
「スーパーボランティアだ」ネット上でも称賛の声
藤本理稀くん(2)を見つけたボランティアの尾畠春夫さん(78)について、ネット上では「スーパーボランティアだ」などと称賛の声が上がっています。
このうち、ツイッターでは「ボランティアのおじいさんがヒーローすぎる!かっこよすぎる!」「国民栄誉賞に値する」「ファンになりそう」などといった書き込みが相次いでいます。
さらに、尾畠さんが東日本大震災の被災地など各地でボランティア活動をしてきたことに触れ、「ボランティアのスペシャリストだ」「ただ者じゃない」といった投稿のほか、「スーパーボランティアの尾畠さんがすごい」などと、これまでの活動も含めて称賛する声が目立っています。