参加者らは、民主的な普通選挙の実施など香港政府に対する5つの要求を訴えるともに、「香港を取り戻せ、時代の革命だ」などとシュプレヒコールを上げていました。
香港では、政府トップの林鄭月娥行政長官が、非公開の会合で「もし選択肢があるなら辞任して謝罪したい」などと述べたと伝えられ、林鄭長官が3日の記者会見で辞任を改めて否定する事態となりました。
これについて、参加者からは反発の声が聞かれました。
このうち20代の女性は「責任を取って辞めるべきだが、背後に中国政府がいるので、辞めたくても辞められないのだろう。だからこそ普通選挙を実現すべきだ」と話していました。
また、27歳の男性は「長官は中国の言うことを実行することしかできない操り人形だ。香港を立て直すことも辞任することもできないだろう」と話していました。
抗議活動の参加者からは、今月13日までに香港政府が要求に応じない場合、行動をエスカレートさせると主張する動きも出ていて、緊迫した状態が続いています。
デモなどの呼びかけにSNSを駆使
抗議活動を続ける若者たちがデモなどの呼びかけを行う際、連絡手段として駆使しているのがSNSです。
中でも、広く使われているのが、ロシアの起業家らが開発したスマートフォンの通信アプリ「テレグラム」です。
通信内容を暗号化して送受信できるため機密性が高いとされ、当局の監視の目が届きにくいとされています。
香港メディアによりますと、テレグラム上のチャットグループには最も多いもので数万人が登録し、抗議活動に特定のリーダーがいないとされる中、デモの日時や場所のほか、警察の取締りから身を守る方法などさまざまなやり取りが交わされています。
中国や香港の情勢に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は、「今回の抗議活動は人々がゲリラ的にインターネット上でつながっているのが特徴で、5年前の『雨傘運動』で挫折したことを教訓に、若者たちがさまざまなツールを駆使していることがうかがえる」と指摘しています。
香港政府や中国政府は、こうしたSNS上でのやり取りに警戒感を強めているものとみられます。
テレグラムは、一連の抗議活動が本格化したことし6月、何者かが大量のデータを送りつけるサイバー攻撃を受けたことを明らかにし、発信元の大半が中国本土だったことから、香港メディアは中国当局が抗議活動に対抗するため、攻撃を仕掛けた可能性があると伝えています。
「雨傘運動」主導の女性もSNSで支持呼びかけ
5年前の「雨傘運動」を主導し民主化運動の“女神”とも呼ばれた大学生の周庭氏(22)もSNSを通じて国際社会に抗議活動への支持を呼びかけています。
流ちょうな日本語で日本メディアの取材に応じている周氏はツイッターでも日本語で発信していて、フォロワーの数は12万人以上に上ります。
ツイッターでは抗議活動やデモの参加者に対する警察の暴力的な取締りの様子などを写真や動画を添えて投稿し、香港で起きている状況に関心を寄せてほしいと訴えています。