宮内庁は8日夜、手術の結果について発表することにしています。上皇后さまは、ことし7月の健康診断で左の乳腺に腫りゅうが見つかり、その後の検査で比較的早期の乳がんと診断されました。
このため、7日から東京・文京区の東京大学附属病院に入院し、8日午前10時ごろから乳がんの摘出手術を受けられました。
手術は、県立静岡がんセンターと東大病院の乳腺外科の医師が協力して全身麻酔のうえで行われ、宮内庁によりますと、およそ4時間ほどで無事に終了して、上皇后さまは手術室から特別病室に戻られました。
8日は手術に先立って、上皇さまと長女の黒田清子さんが上皇后さまの病室を訪れ、手術室に向かわれる上皇后さまに付き添われました。
上皇さまは、いったん皇居のお住まいに戻っていて、このあと夕方、再び病院を訪れ、上皇后さまを見舞うとともに、手術の結果について医師から説明を受けられることになっています。
宮内庁は、8日夜、手術の結果について発表することにしています。
乳がんの治療に詳しい専門家
国立がん研究センターが、4年前にがんの拠点病院などで治療を受けた患者のデータを分析した結果によりますと、乳がんで上皇后さまと同じ、がんの進行度がステージ1の場合、75歳から84歳だとおよそ93%、85歳以上でもおよそ73%の人が手術を受けています。
乳がんの治療に詳しい昭和大学の中村清吾教授は、「最近では、手術時間も短く、必要最小限にとどめることができるようになり、術後の体への負担も減ってきている。高齢の人でも安全にできるようになっていて80代や90代前半でも自立して生活している人では、手術を選ぶことが多くなっている」としています。
早期の乳がんの手術では、がんが広がっていない場合には、がんがある部分とそのまわりだけを取り除く「乳房温存手術」という方法で対応します。
中村教授は、「早期の乳がんであれば、手術そのものは2時間前後で終わる。翌日には、麻酔の影響もほぼなくなっているので、多くの場合は食事もふつうにできるし、歩くこともできる。手術そのもののリスクは若い人と比べても高くはない。最近では、早期の乳がんの10年後の生存率は90%前後で、治癒が期待できる」と話しています。