フランスの首都パリで26日に行われたオリンピック(五輪)開会式で、神経疾患「スティッフパーソン症候群」と闘病中の歌手セリーヌ・ディオンさん(56)が鮮烈なステージ復帰を果たす一幕があった。
ディオンさんは聖火台点火の直後、エッフェル塔のステージからエディット・ピアフの名曲「愛の讃歌」を熱唱して開会式を締めくくった。
この日のディオンさんは絶好調で、ビーズを散りばめた房飾り付きの白いガウンを身にまとい、澄んだ歌声を高らかに響かせた。
このパフォーマンスの直後、NBCテレビで開会式のコメンテーターを務めていたケリー・クラークソン氏は一瞬言葉を失い、続けてディオンさんを「声のアスリート」と呼んだ。
ディオンさんがコンサート形式で歌を披露するのは、スティッフパーソン症候群を公表してから初めて。米国立神経疾患・脳卒中研究所によると、スティッフパーソン症候群は「まれな進行性の神経性疾患で、特に脳や脊髄(せきずい)に影響を及ぼす」とされる。
ディオンさんは診断公表後の2022年12月、プロの歌手生活を休止して健康に専念すると発表した。当時、ディオンさんは疾患が原因で「以前のように歌えなくなった」と吐露していた。
ディオンさんが前回ライブ公演を行ったのは20年3月、米ニュージャージー州でのことだった。
スティッフパーソン症候群は不随意のけいれんや筋肉の硬直を引き起こす。ディオンさんは先月、アマゾンの新ドキュメンタリー「アイ・アム セリーヌ・ディオン~病との闘いの中で~」の宣伝に姿を見せ、病の影響でどれだけ人生が困難になったかを語っていた。