取組とりくみ前まえから視線しせんをそらさず、互たがいに何なん度どもにらみ合にらみあう白しろ鵬おおとりと朝ちょう青龍せいりゅうの横綱よこづな2人にんは、1敗はいで相あい星ほし決戦けっせんを迎むかえました。

強烈きょうれつな引ひきつけ合あいなど力ちからを出だし尽つくした取組とりくみ。

最後さいごは白はく鵬ほうが勝かって6回かい目めの優勝ゆうしょうを果はたしました。

この偉大いだいな記録きろくに最もっとも迫せまったのが白はく鵬ほうでした。「63」まで伸のばした連勝れんしょう記録きろくを止とめたのが当時とうじ、平幕ひらまくだった稀まれ勢ぜいの里さと。

土俵どひょう下かに落おちて観客かんきゃくの中なかに倒れ込たおれこんだあと、首くびをかしげていた白はく鵬ほうの姿すがたを覚おぼえている人ひとは多おおいのではないでしょうか。

相手あいての顔かおの前まえで両手りょうてをたたく、いわゆる「猫ねこだまし」。

横綱よこづなとしては異例いれいの奇襲きしゅう策さくでした。

当時とうじの北の湖きたのうみ理事りじ長ちょうは「勝かてないと思おもう側がわがやる技わざ。横綱よこづながやるべきではない」と苦言くげんを呈ていしました。

進退しんたいをかけて臨のぞみ、千秋楽せんしゅうらくでは照あきらノ富士ふじを破やぶって45回かい目めの優勝ゆうしょうを成し遂なしとげました。

これが現役げんえき最後さいごの取組とりくみとなりました。

通算つうさんの勝ち星かちぼしは、平成へいせい13年ねん春場所はるばしょの初はつ土俵どひょうから積み重つみかさねた1187勝しょう。2位い、大関おおぜき 魁皇かいおうの1047勝しょうを大おおきく上回うわまわり断然だんぜんトップです。

幕内まくうちでの勝ち星かちぼしは1093勝しょう。

幕内まくうちの通算つうさん出場しゅつじょうは1282回かいで、歴代れきだい8位いにとどまる中なか、幕内まくうちでの勝ち星かちぼしは、ただひとり1000勝しょうを超こえていて、勝率しょうりつは8割わり5分ふんと非常ひじょうに高たかい率りつを誇ほこっています。

6年ねん前まえ、平成へいせい27年ねんの初はつ場所ばしょでは33回かい目めの優勝ゆうしょうを果はたし、昭和しょうわの大だい横綱よこづな 大鵬たいほうの32回かいの優勝ゆうしょう回数かいすうの最多さいた記録きろくを44年ねんぶりに塗り替ぬりかえました。

最後さいごの優勝ゆうしょうはことし7月つきの名古屋なごや場所ばしょで、最多さいた記録きろくを45回かいにまで伸のばしました。

このうち15戦せん全勝ぜんしょうでの優勝ゆうしょうは16回かい、双葉ふたば山さんと大鵬たいほうの大だい横綱よこづな2人にんの通算つうさん8回かいの2倍ばいとなる歴代れきだい1位いです。

さらに平成へいせい22年ねん春場所はるばしょから平成へいせい23年ねん5月つきの技量ぎりょう審査しんさ場所ばしょまで7場所ばしょ連続れんぞく優勝ゆうしょうの記録きろくも横綱よこづな 朝あさ青龍せいりゅうと並ならぶ歴代れきだい1位いです。

朝あさ青龍せいりゅうが引退いんたいした平成へいせい22年ねんには、初はつ場所ばしょから九州きゅうしゅう場所ばしょにかけて、双葉ふたば山さんの69連勝れんしょうに次つぐ歴代れきだい2位いの63連勝れんしょうを記録きろくしました。

さらに平成へいせい21年ねんと22年ねんは年間ねんかん6場所ばしょ、90戦せんのうち86勝しょうし年間ねんかんで4回かいしか負まけないという圧倒的あっとうてきな強つよさを2年間ねんかんも見みせつけました。朝あさ青龍せいりゅうが平成へいせい17年ねんに記録きろくした年間ねんかん勝利しょうり数すうの84勝しょうを上回うわまわる、こちらも歴代れきだい1位いの記録きろくです。

秋場所あきばしょの時点じてんで幕内まくうちに103場所ばしょ在籍ざいせき、歴代れきだい1位い、魁皇かいおうの107場所ばしょまであと4場所ばしょまで迫せまっていました。

このうち、横綱よこづな在位ざいいは84場所ばしょ、横綱よこづな在位ざいい中ちゅうの出場しゅつじょう回数かいすうは1019回かい、さらに横綱よこづな在位ざいい中ちゅうの勝ち星かちぼし899勝しょう、これらも歴代れきだい1位いで、まさに記録きろくずくめの相撲すもう人生じんせいでした。