国を
挙げて
独自のワクチン
開発を
進めてきた
中国は、
このところ
途上国向けに
中国製のワクチンを
供給する
などして
外交関係を
強化する
動きを
活発化させています。
新型コロナウイルスの
感染拡大の
初期に
マスクなど大量の
医療物資を
各国に
輸出した「マスク
外交」に
続く「ワクチン
外交」を
展開し、
国際社会での
影響力の
拡大を
図るねらいが
あるものとみられます。
習近平国家主席は
去年9
月の
国連総会で、
中国がワクチン
開発に
成功した
場合、「
世界の
公共財にする」と
述べ、
自力での
調達が
困難な
途上国に
優先的にワクチンを
提供する
意向を
示していました。
王毅外相は、今月4日から9日にかけて、アフリカ5か国を訪問し、ワクチン提供に向けた協力を約束し、このうちインド洋の島国セーシェルでは、10日から中国国有の製薬会社「シノファーム」が開発したワクチンの接種が始まりました。
さらに、今月11日から16日まで東南アジア4か国を訪問し、このうちミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー国家顧問らとの一連の会談の中で、ワクチン30万回分の無償提供を表明しました。
また、中国製ワクチンの大規模な接種開始のタイミングに合わせて訪問したインドネシアでは、ルトノ外相との会談後の記者会見で「中国はワクチンの国内需要が急増する中でも、最も早い段階でインドネシアの友人にワクチンを提供した」と述べたうえで、ワクチンの研究開発と調達に継続的に協力する意向を示しました。
こうしたワクチンをめぐる協力の一方で、中国は相手国に対して、みずからが掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」への協力や、「核心的利益」と位置づける台湾などの問題で中国の立場への支持を求めるなど、政治的な思惑もかいま見えます。
また、アメリカのバイデン次期政権が発足する前に東南アジア各国に接近し、アメリカが関与を強める南シナ海問題をめぐる対立をやわらげたいねらいもあるとみられます。
一方、中国国営の新華社通信は、評論で「中国が新型コロナウイルスの協力を進めるうえでは、いかなる地政学的な目標や経済的利益の計算もない」として「ワクチン外交」という指摘は「雑音だ」と反論しています。