この中で野田元総理大臣は「先の通常国会で『裏金問題』の解明は進まず、改正政治資金規正法は『ざる法』になってしまった。『信なくば立たず』という深刻な状況で、汚れた政治の『うみ』を出し尽くしていかなければいけない」と述べました。
その上で政治改革の実現に向けて政治資金規正法をさらに改正し、企業・団体献金を禁止するほか、国会議員の世襲の制限や議員定数のさらなる削減を目指す考えを示しました。
また経済政策では「格差の拡大に歯止めをかけていくことが重要だ。医療や介護などベーシックサービスは国が供給しなければならない」と述べ、野田政権で掲げた「分厚い中間層の復活」に向け、
▽消費税の半額相当を所得税の額から控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」の導入や、
▽自治体の間で格差がある給食費を無償化するなどとしています。
さらにエネルギー政策では「足元での安定供給の確保を大前提に中長期的に原発に依存しない社会を実現する」としているほか、選択的夫婦別姓の速やかな実現も掲げました。
消費税については「軽々しく下げると言うことはできないが、経済がとても厳しい時には下げる議論もあってもいい。党内で丁寧に議論したい」と述べました。
そして、自民党の茂木幹事長が、4日「『増税ゼロ』の政策推進を行いたい」と述べたことに関連し「政権中枢の自民党幹事長が『ゼロでいい』と言うので、私どもも『防衛増税なし』の方向で考えていくべきだ」と述べました。
一方、かつて対立した小沢一郎・衆議院議員からの支援について「いちばん反目し合った仲だったが『政権をとるまで死んでも死にきれない』という 執念の共鳴があった」と述べました。
野田氏は「代表選挙が終わったあとに自民党総裁がすぐに決まり、新たな総理大臣のもとで、ほどなく衆議院の解散・総選挙が行われるだろう。『政権交代前夜』の位置づけの構想だ」と述べました。
今回の代表選挙には野田氏のほか、枝野前代表が立候補を表明しています。
けさは地元で声かけ
立憲民主党の代表選挙に立候補を表明している野田元総理大臣は、5日朝は、地元のJR津田沼駅で利用者への声かけをしました。
このあと記者団に対し、5日午後に行う記者会見について「これからどういう日本をつくるのかを中心に、一生懸命、伝えられるよう頑張りたい。通常国会で成立した改正政治資金規正法は抜け穴だらけで、本格的な改革の大玉が入っていないので抜本的な見直しをやりたい。議員定数削減にも取り組みたい」と述べました。
野田元首相プロフィール
野田佳彦氏は衆議院千葉4区選出の当選9回で、67歳。
松下政経塾出身で、千葉県議会議員を経て1993年の衆議院選挙に当時の日本新党から立候補して初当選しました。
2011年に民主党政権として3人目となる総理大臣に就任し、2012年には、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革の関連法を成立させましたが、直後の衆議院選挙で敗北し、政権を失いました。
その後、無所属などを経て、4年前の2020年に立憲民主党に参加しました。
2022年には、亡くなった安倍元総理大臣の追悼演説を行い、「再びこの議場で、あなたと魂と魂をぶつけ合う真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう」と呼びかけ、与野党からは名演説だったと称賛が相次ぎました。
今回の代表選挙では、当初は「『昔の名前で出てます』ではいけない」などとして立候補に慎重な姿勢を示していましたが、ベテランの小沢一郎・衆議院議員からの期待に加え、中堅・若手議員などから要請が相次いだことを踏まえ、立候補を決断しました。
野田氏は、政界でも屈指の酒豪として知られるとともに、平日はほぼ毎日、選挙区内の駅前に立って声かけなどの活動を行っています。
野田氏が最も忘れられないとしているのは2期目を目指した1996年の衆議院選挙で105票の僅差で敗れたあと、一睡もしないまま駅前に立った朝で、今でもその悔しさを胸に刻んでいるということです。
座右の銘は松下政経塾を設立した故・松下幸之助氏のことばで成功まで志を貫くという意味の「素志貫徹」です。