일본어 뉴스: イグ・ノーベル賞日本などの研究チームが「生理学賞」を受賞

ノーベル賞しょうのパロディーで、ユニークな研究けんきゅうなどに贈おくられる「イグ・ノーベル賞しょう」の受賞じゅしょう者しゃが発表はっぴょうされ、ことしは、ブタなどの動物どうぶつに「お尻しりから呼吸こきゅうする能力のうりょくがあることを発見はっけんした」として、日本にっぽんなどの研究けんきゅうチームが「生理学せいりがく賞しょう」を受賞じゅしょうしました。日本人にっぽんじんの受賞じゅしょうは18年ねん連続れんぞくです。

「イグ・ノーベル賞しょう」は、1991年ねんにノーベル賞しょうのパロディーとしてアメリカの科学かがく雑誌ざっしが始はじめた賞しょうで、人ひとをクスッと笑わらわせつつ考かんがえさせる研究けんきゅうに贈おくられます。

日本にっぽん時間じかんの13日にち、ことしの受賞じゅしょう者しゃが発表はっぴょうされ、東京とうきょう医科いか歯科しか大学だいがくと大阪おおさか大学だいがくで教授きょうじゅを務つとめる武部たけべ貴則たかのりさんらの研究けんきゅうチームが「生理学せいりがく賞しょう」を受賞じゅしょうしました。

研究けんきゅうチームは、肺はいによる呼吸こきゅうが難むずかしい状態じょうたいになったブタなどの動物どうぶつの腸ちょうに、高たかい濃度のうどの酸素さんそを含ふくんだ特殊とくしゅな液体えきたいをお尻しりから送り込おくりこむ実験じっけんを行おこないました。

その結果けっか、どの動物どうぶつも血液けつえき中ちゅうの酸素さんそが大幅おおはばに増ふえ、このうちブタでは一定いっていの条件じょうけんのもとで、呼吸こきゅう不全ふぜんの症状しょうじょうが改善かいぜんすることが確認かくにんできたということです。

主催しゅさい者しゃは「多おおくの哺乳ほにゅう類るいにお尻しりから呼吸こきゅうする能力のうりょくがあることを発見はっけんした」と評価ひょうかしていて、日本人にっぽんじんの受賞じゅしょうはこれで18年ねん連続れんぞくとなりました。

このほかにも

▽第だい2次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうなどに行おこなわれた研究けんきゅうで、標的ひょうてきを認識にんしきするよう訓練くんれんされたハトを弾頭だんとうの中なかに入いれて飛とばす誘導ゆうどうミサイルの研究けんきゅうを行おこなったアメリカの著名ちょめいな心理しんり学者がくしゃが「平和へいわ賞しょう」に、

▽投なげたコインの表ひょうと裏うらの出でる確率かくりつに偏かたよりがあること示しめすため、35万まん回かい以上いじょう、実際じっさいに投なげる実験じっけんを行おこなったオランダなどの研究けんきゅうチームが「確率かくりつ賞しょう」にそれぞれ選えらばれるなど、9つの研究けんきゅうが受賞じゅしょうしました。

武部たけべ教授きょうじゅ専門せんもんは「再生さいせい医学いがく」画期的かっきてき成果せいかを相次あいつぎ発表はっぴょう

今回こんかいの研究けんきゅうは腸ちょうからの呼吸こきゅうがテーマですが、武部たけべ貴則たかのり教授きょうじゅ（37）の専門せんもんは実じつは「再生さいせい医学いがく」です。世界せかいの研究けんきゅう者しゃがしのぎを削けずるこの分野ぶんやで、画期的かっきてきな成果せいかを相次あいついで発表はっぴょうしてきました。

共同きょうどう研究けんきゅう者しゃとともにヒトのiPS細胞さいぼうから肝臓かんぞうの機能きのうを持もつ細胞さいぼうのかたまりを作つくることに初はじめて成功せいこうし、世界せかいで注目ちゅうもくを集あつめたのは11年ねん前まえ、26歳さいのときでした。

その後そのご、2019年ねんにはヒトのiPS細胞さいぼうから肝臓かんぞうやすい臓すいぞうなど複数ふくすうの臓器ぞうきを同時どうじに作り出つくりだすことにも成功せいこうし、将来しょうらいの移植いしょくにつながる可能かのう性せいがあると期待きたいされています。

こうした臓器ぞうきや組織そしきの一部いちぶを再現さいげんした細胞さいぼうのかたまりは「オルガノイド」と呼よばれ、さまざまな病気びょうきの仕組しくみの解明かいめいや、薬くすりの候補こうほとなる物質ぶっしつの効果こうかを確たしかめる研究けんきゅうなどにも役立やくだてられています。

また、武部たけべ教授きょうじゅは若手わかての研究けんきゅう者しゃを支援しえんする活動かつどうも行おこなっています。

3年ねん前まえ、新あらたな法人ほうじんを立たち上あげて関心かんしんを持もつ企業きぎょうなどを募つのり、研究けんきゅう環境かんきょうを整備せいびするための支援しえんなどを行おこなってきました。

これまでの研究けんきゅうや取り組とりくみについて、武部たけべ教授きょうじゅは「基本きほん的てきに『人ひとと違ちがうことしか考かんがえない』ことを意識いしきしています。世界せかいを変かえる発見はっけんというのは普通ふつうと違ちがう着想ちゃくそうから出でてくると思おもうので、ほかの人ひとからはふざけていると思おもわれるようなことにも挑戦ちょうせんできる環境かんきょうが大事だいじだと思おもいます」と話はなしていました。

研究けんきゅうのきっかけは「ドジョウ」

武部たけべ貴則たかのり教授きょうじゅなどのグループが今回こんかいの研究けんきゅうを始はじめるきっかけとなったのは、田たんぼなどに生息せいそくする「ドジョウ」でした。

ドジョウは酸素さんそが少すくない環境かんきょうではえらだけでなく腸ちょうでも“呼吸こきゅう”できるという特徴とくちょうがあるため、哺乳ほにゅう類るいの中なかにも同おなじように腸ちょうから酸素さんそを吸収きゅうしゅうできるものがいるのではないかと考かんがえたのです。

実験じっけんでは肺はいの機能きのうが低下ていかしたブタのお尻しりから高たかい濃度のうどの酸素さんそを含ふくむ特殊とくしゅな液体えきたいを入いれ、体内たいないに酸素さんそがどれくらい取り込とりこまれるかを調しらべました。その結果けっか、血液けつえき中ちゅうの酸素さんその量りょうが大幅おおはばに増ふえたということです。

さらに▽酸素さんそを含ふくむ液体えきたいを注入ちゅうにゅうしたマウスは酸素さんそが少すくない環境かんきょうでも活発かっぱつに動き回うごきまわる様子ようすが確認かくにんできたほか、▽呼吸こきゅう不全ふぜんの症状しょうじょうのあるブタに酸素さんその液体えきたいを注入ちゅうにゅうしたところ、症状しょうじょうが改善かいぜんしたということです。

この研究けんきゅうの論文ろんぶんは3年ねん前まえの2021年ねん、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいによって各地かくちの医療いりょう機関きかんで重おもい肺炎はいえんの患者かんじゃが相次あいつぐ中なか、発表はっぴょうされました。

呼吸こきゅう不全ふぜんの新あらたな治療ちりょう法ほうとして、実用じつよう化かに向むけた研究けんきゅうは現在げんざいも進すすめられていて、ことし6月つきには武部たけべ教授きょうじゅが創業そうぎょうしたベンチャー企業きぎょうなどが安全あんぜん性せいなどを確認かくにんする臨床りんしょう試験しけんを始はじめています。

武部たけべ教授きょうじゅは「受賞じゅしょうの一報いっぽうを聞きいたときは複雑ふくざつな心境しんきょうでしたが、『人ひとを笑わらわせ、考かんがえさせる研究けんきゅう』という主催しゅさい者しゃの哲学てつがくを知しり、感動かんどうしました。人工じんこう呼吸こきゅう器きを使つかうのが難むずかしい患者かんじゃなどへの新あらたな治療ちりょう法ほうになる可能かのう性せいがあり、遅おそくとも4年ねん後ごの2028年ねんには医療いりょう機器ききとしての実用じつよう化かを目指めざしたいです」と話はなしていました。

主催しゅさい者しゃ「日本にっぽんの研究けんきゅうがこれからも受賞じゅしょうすることを願ねがっている」

1991年ねんにイグ・ノーベル賞しょうを立たち上あげて以来いらい、現在げんざいも主催しゅさい者しゃを務つとめるマーク・エイブラハムズさんが、NHKのインタビューに応おうじました。

日本にっぽんの研究けんきゅう者しゃの受賞じゅしょうが20年ねん近ちかく連続れんぞくしていることについて、エイブラハムズさんは「何なに世代せだいにもわたって、これほど多おおくの受賞じゅしょう者しゃを生み出うみだしている日本にっぽんに感謝かんしゃしたい。これまでに会あった日本にっぽんの受賞じゅしょう者しゃはみな、単たんに科学かがく的てきなアイデアだけでなく生き方いきかたそのものが個性こせい的てきなのが特徴とくちょうです」と話はなしていました。

また、日本人にっぽんじんに受賞じゅしょう者しゃが多おおい理由りゆうについては「日本にっぽんとイギリスは突出とっしゅつして多おおくの受賞じゅしょう者しゃを出だしていますが、それは日本にっぽんとイギリスでは、本当ほんとうに風変ふうがわりなアイデアを思おもいついた人ひとを排除はいじょすることなく大切たいせつにして、自分じぶんたちの中なかの1人にんとして受け入うけいれてきた結果けっかです。そうした小ちいさなことの積み重つみかさねがあって、両国りょうこくはいまや誰だれもが使つかっているさまざまな技術ぎじゅつの開発かいはつに大おおきな成功せいこうを収おさめてきたのです」と分析ぶんせきしていました。

そのうえで、エイブラハムズさんは「日本にっぽんの研究けんきゅうがこれからも受賞じゅしょうすることを願ねがっています。何なにであれ、いまやっていることを続つづけてください。みんなを楽たのしませるためにお願おねがいします」と日本にっぽんの研究けんきゅう者しゃにエールを送おくっていました。

このほか、エイブラハムズさんはイグ・ノーベル賞しょうの選考せんこう過程かていについても話はなしてくれました。

選考せんこうの対象たいしょうになる研究けんきゅうは世界中せかいじゅうから日々ひび、寄よせられる推薦すいせんの中なかから選えらばれています。

最近さいきんでは年間ねんかんおよそ1万まん件けんの推薦すいせんが届とどくということで、エイブラハムズさんはそのすべてに目めを通とおし、絞り込しぼりこむ作業さぎょうを行おこなっているということです。

「人ひとをクスッと笑わらわせつつ、考かんがえさせる研究けんきゅう」という賞しょうの基準きじゅんに従にしたがって、各国かっこくの研究けんきゅう者しゃやジャーナリスト、学校がっこうの先生せんせいなどが協力きょうりょくし、議論ぎろんを交かわしながら選考せんこうしているということです。

エイブラハムズさんは「本当ほんとうにおもしろいか、誰だれでも即座そくざに笑わらえるものか、そしてすぐに理解りかいでき、好奇こうき心しんを持もってもらえるか、本当ほんとうによく議論ぎろんします。難むずかしいのは英語えいご以外いがいの言語げんごでもそうなるかで、英語えいごから他たの複数ふくすうの言語げんごに翻訳ほんやくすることもあります。単たんに研究けんきゅうを選えらんでいるのではなくて、それを友達ともだちに話はなしたくなるように、正確せいかくかつ分わかりやすく表現ひょうげんできるかどうかにも、とても注意ちゅういしています」と話はなしていました。