ことし7
月に
熱海市の
伊豆山地区で
起きた
土石流を
巡って、
県と
市は
上流部の
起点にあった
盛り土への
行政側の
対応の
経緯を
調査していて、
市は19
日経過報告として880
枚余りの
過去の
公文書を
公表しました。
この中には、10年前の平成23年に、市が盛り土を造成した会社側に対する行政処分を検討しながら発出を見送った文書も含まれ、安全対策の計画書の提出と速やかな実施、土砂の搬入中止を命じるとしたうえで、その理由として「土砂の崩壊、流出等により災害の恐れがあるため」と記されています。
また当時、県も文案を作成していて、市と県が危険性の認識を共有しながら具体的な協議を進めていたことがうかがえます。
行政処分を見送ったことについて、熱海市の斉藤栄市長は19日、当時、会社側が対策工事に取りかかっていたとして「一定の安全性が担保されたと判断した。当時の判断は正しかった」と述べています。
また、静岡県の難波副知事は「私は命令を出すべきだったと思うが、なぜ市が発出をしなかったのかまだよく分かっていない」と述べ、検証したいという考えを示しています。
「行政代執行」の検討も
熱海市が19
日公表した
盛り土をめぐる
対応の
記録では、
過去に
崩落を
止めるために
市が
盛り土を
造成した
会社側に
代わって
対策を
取る「
行政代執行」を
検討していたこともうかがえます。
平成21年12月1日付けの市と県の対策会議の記録では、協議事項として「土砂の崩落または流出により何かあったときに行政として責任を問われかねない。崩落を止める努力が必要だ」と記されています。
さらに「最悪のことを考えて、行政代執行、市がやる場合の見積もりを用意したほうがいいのではないか」として、崩落を止めるために市の負担で会社側に代わって対策を取る「行政代執行」を検討していたこともうかがえます。
一連の記録には市が長年にわたって盛り土を問題視し検討を重ねていたことが記されており、その対応の是非についても今後、議論となりそうです。