カタールで開ひらかれている世界せかい選手権せんしゅけん、かつてないほどの期待きたいを受うけ男子だんし100メートルに出場しゅつじょうした日本にっぽんの「９きゅう秒びょう台だいトリオ」サニブラウンアブデル・ハキーム選手せんしゅ、桐生きりゅう祥さち秀しゅう選手せんしゅ、小池こいけ祐ゆう貴き選手せんしゅはそろって準決勝じゅんけっしょう敗退はいたい。本来ほんらいの力ちからを発揮はっきできず、悔くやしさの残のこる結果けっかとなりました。

準決勝じゅんけっしょう１いち組くみで５ご位いに終おわったサニブラウン選手せんしゅはスタートで大幅おおはばに出遅でおくれたことが最後さいごまで響ひびきました。サニブラウン選手せんしゅは「スタートの音おとが全然ぜんぜん聞きこえなかった」と考かんがえられない理由りゆうを口くちにしました。

スタートの反応はんのう時間じかんは、同おなじ組くみの８はち人にんの中なかで最もっとも遅おそい０ぜろ秒びょう206。半数はんすうの選手せんしゅが０ぜろ秒びょう150台だいで反応はんのうした中なかでこの遅おくれは致命ちめい的てきでした。

後半こうはん、必死ひっしに追い上おいあげましたが10秒びょう15の５ご着ちゃく。２に着ちゃくまでに入はいれば自動じどう的てきに決勝けっしょうに進すすむことができるレースで２に着ちゃくのタイムが10秒びょう12だったことを考かんがえれば、痛恨つうこんのスタートのミスでした。

サニブラウン選手せんしゅは「マイクの雑音ざつおんがざーっと聞きこえていた。そこから小ちいさく『パン』と聞きこえて、あれ？と思おもった。一瞬いっしゅん考かんがえちゃうくらい聞きこえなかったので、そこでちょっと反応はんのうしていれば」と悔やしがりました。

中盤ちゅうばん以降いこうの追い上おいあげは世界せかいを相手あいてに全まったく引ひけを取とらなかっただけに東京とうきょうオリンピックに向むけてこうしたミスをどう防ふせぐか、集中しゅうちゅう力りょくと対応たいおう力りょくという課題かだいが明確めいかくになりました。

今こんシーズン急きゅう成長せいちょうした小池こいけ選手せんしゅは自己じこベストから０ぜろ秒びょう３さんも遅おそい10秒びょう28のタイムで、その組くみの７なな着ちゃくと惨敗ざんぱいしました。原因げんいんはやはりスタートにありました。

「隣となりの選手せんしゅのカチャという音おとに反応はんのうして体からだが動うごいてしまった。フライングを取とられると思おもった」と振り返ふりかえった小池こいけ選手せんしゅ。スタートからの加速かそくが見みられず「走はしったんだか、走はしってないんだか」と、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうのまま最後さいごまで持ち味もちあじの力強ちからづよい加速かそくは影かげを潜ひそめました。

初はつ出場しゅつじょうの世界せかい選手権せんしゅけんでプレッシャーが大おおきかったとはいえ、自国じこく開催かいさいの大だい応援おうえん団だんの中なかの東京とうきょうオリンピックではさらに大おおきなプレッシャーが予想よそうされます。

大だい舞台ぶたいで結果けっかを残のこすために、この苦にがい経験けいけんを今後こんごにどう生いかせるか、小池こいけ選手せんしゅは試ためされることになります。

対たいしてスタートが成功せいこうしたのが、最終さいしゅう３さん組くみに出場しゅつじょうした桐生きりゅう選手せんしゅでした。意外いがいにも世界せかい大会たいかいの準決勝じゅんけっしょうは初はじめての桐生きりゅう選手せんしゅは「走はしる前まえからワクワクしてスタートラインに立たっていた。負まける気きがしなかった」と、気力きりょく十じゅう分ふんでレースに臨のぞみました。

「予選よせんからスタートを変かえないと勝負しょうぶできないと思おもっていた」ということばどおり、スタートから勢いきおいよく飛び出とびだしました。

反応はんのう時間じかんは組くみの中なかで２に番目ばんめに速はやい０ぜろ秒びょう125と、50メートルまでは世界せかいと互角ごかくの戦たたかいをしました。

しかし、後半こうはんの50メートルで世界せかいの強豪きょうごうに差さをつけられ終おわってみれば10秒びょう16のタイムで６ろく着ちゃくで、決勝けっしょうの高たかい壁かべを痛感つうかんしました。

桐生きりゅう選手せんしゅは「中盤ちゅうばんのレベルが上あがれば絶対ぜったいいける」と強気つよきなことばで中盤ちゅうばん以降いこうのスピードという課題かだいをみずからに言い聞いいきかせていました。

次つぎの大だい舞台ぶたいは東京とうきょうオリンピックです。日本にっぽん選手せんしゅにとってかつては夢ゆめだった100メートルの決勝けっしょうは手ての届とどくところまで来きています。

今こん大会たいかいで味あじわった悔くやしさを１いち年ねん後ごの笑顔えがおにつなげることができるか、選手せんしゅたちに残のこされた時間じかんはあと10か月かげつです。