このため、コンビニやスーパーなど小売り各社では、1日の税率引き上げを前に、値札を差し替えるなど、新しい税率への準備を進めています。
また、午前0時をまたいで営業している大手スーパーやファミリーレストランの中には、準備のため、いったん閉店して、レジのシステムの更新などを行うところもあります。
さらに、JRや私鉄、地下鉄、バスの各社は、消費税率の引き上げに伴って運賃を改定します。
営業終了後に、一斉に券売機などのシステムを切り替えたうえで、1日の始発から新たな運賃で運行することにしていて、各業界で1日の税率引き上げに向けた準備が大詰めを迎えます。
鉄道・バス
JRや私鉄、地下鉄、バスの各社は、消費税率の引き上げに伴って運賃を改定しますが、税率が変わるのは1日の始発からです。
営業終了後に一斉に券売機などのシステムを切り替えるためで、30日夜遅くから午前0時をまたいで運行される列車も終電までは8%の税率が適用されます。
一方、定期券や回数券は、法律に基づいた経過措置が適用され、10月以降の利用であっても、30日中に購入すれば、8%の税率となります。
タクシー
消費税率の引き上げに伴ってタクシーの運賃は、10円単位で値上げされます。
初乗り運賃の上限や走行距離に応じた加算の方法は地域ごとに異なりますが、例えば東京23区などでは、普通車の場合、初乗り運賃は、現在1キロ余りで410円となっているのが10円引き上げられて420円に、加算運賃は、237メートルごとに80円加算されているのが、233メートルごとの加算に変わります。
タクシー各社は、車が営業所に戻ってから料金メーターの設定を更新するため、1日に営業所を出る車から新しい運賃に切り替わります。
このため、1日の未明にかけては値上げ前の運賃が適用されるケースが多くなりそうです。
高速道路
高速道路の料金は、インターチェンジの入り口を通過する日付が基準になり、1日午前0時以降に高速に入れば、新しい料金が適用されます。
郵便料金
日本郵便は、消費税率の引き上げに合わせて1日から郵便料金を値上げし、はがきは今の62円から63円に、手紙は、25グラム以下の定形郵便物の場合で今の82円から84円になります。
新しい料金が適用されるのは、窓口の場合は、郵便物を差し出した時点で、1日午前0時を過ぎれば新たな料金になります。
また、郵便ポストに投かんする場合は、1日の最初の回収分までは前日に差し出されたと見なして値上げ前の料金になり、2回目の回収から値上げ後の料金が適用されるということです。
通信料金
固定電話や携帯電話の通話料は、どの時点で10%の税率を適用するかは会社によって対応が異なります。
NTT東日本と西日本は、月々の料金を計算する期間が1日から末日まで、6日から翌月5日まで、などと契約者によって異なります。
計算期間の始まりが9月であれば、法律に基づいた経過措置により税率は8%で、計算期間の始まりが10月になると10%が適用されるということです。
携帯電話会社では、NTTドコモとauのKDDIは、日をまたいで電話をしていた場合、通話が終了した時点での消費税率が適用されるため、30日夜遅くから通話を始めても、1日に終わった場合、10%の税率が適用されるということです。
一方、ソフトバンクは、料金を計算する期間が月末締めになっている場合、通話が始まった時点での税率を適用するとしていて、通話の終了が日をまたいで1日になっても8%の税率が適用されるということです。
ATM手数料
三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行の大手3行は、消費税率引き上げに合わせて、ATM=現金自動預け払い機の利用手数料や振込手数料を値上げします。
例えば、ATMの利用料は、108円が110円に、216円の時間帯は220円に引き上げられます。
また、振り込みなどの手数料も引き上げられます。
引き上げられるのは1日の午前0時です。
銀行によって異なりますが、引き出したり振り込んだりする金額を最終的に確認する画面で、「確認」や「はい」といった部分を押した時刻で判断されるということです。
ネット通販
ネット通販で商品を購入する場合にかかる消費税は、多くの場合、商品を発送した時点での税率が適用されます。
このため、30日中に出荷されれば消費税は8%ですが、30日に注文しても1日以降の出荷だと10%になります。
このうち楽天では、出店する店舗が税込みの価格を決めて表示していて、各店舗に対して、出荷日を逆算して価格に反映させるよう呼びかけています。
8%の税率が適用されたあと、仮に出荷が遅れて10月にずれ込んだ場合、差額分を利用者と店舗のどちらが負担するかは、店舗の判断に任されるということです。
またヤフーでも、9月中の注文でも、1日以降に出荷されれば10%の税率が適用されるということです。
一方、アマゾンは、もともと税込みで価格表示をしており、みずからが販売する商品では、出荷が1日以降になった場合でも注文時の価格から変わることはないとしています。
ただ、アマゾンを通じて事業者が出品する商品の価格は、各事業者が決めるとしています。
小売り・外食
午前0時をまたいで営業している店舗で会計を行う際に適用される消費税率は、各企業によって対応が分かれています。
コンビニ各社のうち、セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップは、午前0時をまたいでレジで会計を行う際、1つ目の商品のバーコードをスキャンするタイミングが30日のうちであれば、引き上げ前の消費税率が適用されるとしています。
また、大手スーパーのうち、西友は330店舗余りのうち、約7割の店舗が24時間営業を行っていますが、30日夜にいったん閉店してレジのシステムの変更作業を行うことにしています。
ファミリーレストランのうち、ガストやジョナサン、それにロイヤルホストでは、1日未明に閉店する店舗の場合、閉店までは引き上げ前の8%の税率が適用されます。
また、24時間営業の店舗では、1日未明に一度、8%の税率で会計をしてもらい、その後の追加注文からは引き上げ後の10%の税率が適用されます。
一方、デニーズは、ふだんは午前0時以降も営業している店舗でも、1日午前0時に閉店し、8%の税率で会計をします。
そしてレジのシステムやメニューの変更作業を行い、1日朝の開店後は10%の税率を適用するということです。
また、牛丼チェーンでは、売り上げを集計するタイミングまでは8%の税率が適用されるということで、原則として、すき家が1日の午前9時まで、吉野家が1日午前10時まで、松屋が1日午後3時まで税率は8%となります。
居酒屋チェーンでは、白木屋や魚民などを展開するモンテローザは、1日未明の営業時間終了までは8%の税率を適用するということです。
電気・ガス
電気・ガス料金は、法律に基づいた経過措置が適用されます。
9月から継続して契約している場合、10月に検針した料金は、使用した期間に9月が含まれます。
こうした場合、消費税率は8%のままで据え置かれます。
10%の消費税が本格的に反映されるのは、電気、ガスともに11月分の料金からとなります。