中国ちゅうごくでは１いち日にちの記念きねん日びを前まえに、共産きょうさん党とうの指導しどうのもとでいかに中国ちゅうごくが発展はってんしたかが展覧てんらん会かいやテレビ番組ばんぐみなどを通をとおして大々的だいだいてきに宣伝せんでんされているほか、スローガンが書かかれた横断幕おうだんまくが街まちじゅうに掲かかげられ、愛国あいこく主義しゅぎと党とうのもとでの団結だんけつが呼よびかけられています。

中国ちゅうごくでは去年きょねん、憲法けんぽう改正かいせいで国家こっか主席しゅせきの任期にんきの制限せいげんが撤廃てっぱいされ、習主席しゅせきに権力けんりょくが極きわめて集中しゅうちゅうした政治せいじ体制たいせいが完成かんせいしましたが、その後そのご、経済けいざい成長せいちょうの減速げんそくに加くわえ、アメリカとの貿易ぼうえき摩擦まさつの激化げきかや長引ながびく香港ほんこんでの抗議こうぎ活動かつどうなど、政治せいじの安定あんていを揺ゆるがしかねない問題もんだいが積み重つみかさなってきています。

北京ぺきんでは、軍事ぐんじパレードに続つづいて、10万まん人にんの市民しみんらが参加さんかするパレードが行おこなわれるほか、夜よるには花火はなびなどの祝賀しゅくが行事ぎょうじも行おこなわれる予定よていで、習近平ちから指導しどう部ぶは、一連いちれんの行事ぎょうじを盛大せいだいに行おこなうことで国威こくい発揚はつようを図はかり、共産党きょうさんとうによる一いち党とう支配しはいの正当せいとう性せいを誇示こじすることにしています。

「国くに慶けい節ぶし」 共産きょうさん党とうの正当せいとう性せい 内外ないがいにアピール

10月つき１いち日にちは、1949年ねんに建国けんこくの父ちちとされる毛沢東もうたくとうが北京ぺきんの天安門てんあんもん広場ひろばで、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの成立せいりつを宣言せんげんした建国けんこく記念きねん日びに当あたります。

中国ちゅうごくでは「国くに慶けい節ぶし」と呼よばれ、旧きゅう正月しょうがつの「春節しゅんせつ」に次つぐ国民こくみん的てきな祝日しゅくじつです。

各地かくちで祝賀しゅくが行事ぎょうじが行おこなわれ、日にち中ちゅう戦争せんそうのあと、国民党こくみんとうとの内戦ないせんに勝利しょうりし政権せいけんを握にぎった共産党きょうさんとうにとっては、国くにを統治とうちする正当せいとう性せいを内外ないがいにアピールする政治せいじ的てきに極きわめて重要じゅうような日ひです。

軍事ぐんじパレード 威信いしん誇示こじのねらいも

中国ちゅうごくでは、10月つき１いち日にちの建国けんこく記念きねん日びに合あわせて、人民じんみん解放かいほう軍ぐんによる軍事ぐんじパレードが行おこなわれてきました。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくが成立せいりつした1949年ねんから59年ねんまで毎年まいとし行おこなわれていましたが、その後そのご、文化ぶんか大だい革命かくめいによる混乱こんらんなどで、長ながく途絶とだえました。

改革かいかく開放かいほう路線ろせんを歩あゆみ出だした1984年ねんに当時とうじの最高さいこう実力じつりょく者しゃ、トウ※小平こだいらのもと、25年ねんぶりに軍事ぐんじパレードが復活ふっかつし、その後そのごは建国けんこく50年ねんの1999年ねん、建国けんこく60年ねんの2009年ねんと10年ねんごとの節目ふしめの年としに、歴代れきだいの最高さいこう指導しどう者しゃが閲兵えっぺいしてパレードが行おこなわれてきました。

※「登とう」に「おおざと」

一方いっぽうで2013年ねんに習近平ちから国家こっか主席しゅせきが就任しゅうにんしてからは、2015年ねん９月くがつに「抗日こうにち戦争せんそう勝利しょうり70年ねん」を記念きねんする軍事ぐんじパレードが北京ぺきんで行おこなわれたほか、おととし７月しちがつには人民じんみん解放かいほう軍ぐん創設そうせつから90年ねんになるのに合あわせて、内モンゴル自治うちもんごるじち区くで大だい規模きぼな閲兵えっぺい式しきが行おこなわれています。

絶対ぜったい的てきな権力けんりょくの掌握しょうあくを進すすめる習主席しゅせきとしては、軍事ぐんじパレードや閲兵えっぺい式しきを通をつうじてみずからの威信いしんを誇示こじするねらいがあるとみられます。

今回こんかいの軍事ぐんじパレードは“過去かこ最大さいだい規模きぼ”

今回こんかいの軍事ぐんじパレードには、およそ１いち万まん5000人にんの兵士へいしらが動員どういんされるほか、航空こうくう機き160機き余あまりと、戦車せんしゃなど580台だいが披露ひろうされるということで、過去かこ最大さいだい規模きぼだとしています。

パレードではまず、軍ぐんのトップでもある習近平ちから国家こっか主席しゅせきがオープンカーに乗のって部隊ぶたいを観閲かんえつしたあと、中国ちゅうごくの国旗こっきを掲かかげた航空こうくう機きの編隊へんたいに続つづき、兵士へいしの行進こうしん、戦車せんしゃやミサイルなどの兵器へいきを積つんだ車両しゃりょうの行進こうしん、航空こうくう機きの編隊へんたいの飛行ひこうの順じゅんで、天安門てんあんもん広場ひろばの前まえを通過つうかする予定よていで、全体ぜんたいでおよそ１いち時間じかん20分ふん行おこなわれるということです。

さらに、軍事ぐんじパレードのあと、およそ10万まん人にんの市民しみんによるパレードが１いち時間じかん余あまりにわたって行おこなわれ、70台だいの山車だしも参加さんかするということです。

習主席しゅせき「今世紀こんせいき半なかばまでに世界せかい一流いちりゅうの軍隊ぐんたいを」

中国ちゅうごく軍ぐんである人民じんみん解放かいほう軍ぐんは、「中央ちゅうおう軍事ぐんじ委員いいん会かい」が指導しどう・指揮しきしていて、そのトップにあたる主席しゅせきは、習近平ちから国家こっか主席しゅせきが務つとめています。

習主席しゅせきは、「今世紀こんせいき半なかばまでに世界せかい一流いちりゅうの軍隊ぐんたいを作り上つくりあげる」という目標もくひょうを掲かかげ、４よん年ねん前まえから、建国けんこく以来いらい、最大さいだいとも言いわれる大だい規模きぼな軍ぐんの改革かいかくに取り組とりくんでいます。

具体ぐたい的てきには、陸海空りくかいくうなど種類しゅるいの異ことなる軍ぐんの部隊ぶたいを一体いったい的てきに指揮しきする「統合とうごう運用うんよう」の体制たいせいへの移行いこうを進すすめるとともに、中国ちゅうごく全土ぜんどを７ななつに分わけて設置せっちしていた陸軍りくぐん偏重へんちょうの「軍ぐん区く」を、東西とうざい南北なんぼくと中央ちゅうおうの合あわせて５いつつの「戦せん区く」に再編さいへんしました。

習近平ちから指導しどう部ぶは、こうした一連いちれんの改革かいかくを、来年らいねんまでに進すすめるとしていますが、およそ30万まん人にんの兵力へいりょくの削減さくげんも進すすめていて、軍ぐん内部ないぶの不満ふまんが募つのっているという見方みかたも出でています。

軍ぐんの近代きんだい化か加速かそく 軍事ぐんじ力りょく強化きょうかの方針ほうしん鮮明せんめいに

中国ちゅうごくの習近平ちから国家こっか主席しゅせきは、陸海空りくかいくうと各かく軍ぐんの装備そうびを急速きゅうそくに増強ぞうきょうさせています。

とりわけ、海洋かいよう権益けんえきの確保かくほなどを目的もくてきに海軍かいぐん力りょくの強化きょうかに力ちからを入いれていて、国産こくさんで初はじめての空母くうぼが建造けんぞうされ、近ちかく就役しゅうえきするとみられているほか、９月くがつには大型おおがたの強襲きょうしゅう揚陸ようりく艦かんも進水しんすいし、海洋かいよう進出しんしゅつを進すすめる姿勢しせいが鮮明せんめいとなっています。

また、中国ちゅうごく空軍くうぐんも活動かつどう範囲はんいを広ひろげていて、レーダーに探知たんちされにくいステルス性能せいのうを持もつとされる新型しんがた戦闘せんとう機きの「殲20」を去年きょねん、作戦さくせん部隊ぶたいに配備はいびしたほか、新型しんがたの長距離ちょうきょり爆撃ばくげき機きも開発かいはつしているとされています。

このほか核かく弾頭だんとうを搭載とうさいし、アメリカ全土ぜんどを射程しゃていに収おさめるとされる新型しんがたのＩＣＢＭ＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル「東風こち41」など最さい新鋭しんえいのミサイルの開発かいはつも進すすめているとされています。

各種かくしゅの兵器へいきの拡充かくじゅうに加くわえ、サイバーや宇宙うちゅう、それにＡえいＩあい＝人工じんこう知能ちのうなどの分野ぶんやでも巨額きょがくの投資とうしを続つづけていて、軍ぐんの近代きんだい化かを加速かそくさせています。

軍事ぐんじ力りょくを増強ぞうきょうする背景はいけいには、主権しゅけんをめぐる問題もんだいで妥協だきょうしない強つよい姿勢しせいを国内外こくないがいに示しめすとともに、核心かくしん的てき利益りえきと位置いちづける台湾たいわんや南シナ海みなみしなかいの問題もんだいなどに関与かんよを続つづけ、安全あんぜん保障ほしょうをめぐって対立たいりつするアメリカに対抗たいこうするねらいがあるとみられます。

中国ちゅうごく政府せいふがことし発表はっぴょうした国防こくぼう白書はくしょでは、平和へいわ発展はってんの道みちを堅持けんじし、防御ぼうぎょ的てきな国防こくぼう政策せいさくをとり続つづけると強調きょうちょうした一方いっぽうで、軍事ぐんじ力りょくを強化きょうかしていく方針ほうしんも鮮明せんめいにしていて、各国かっこくから警戒けいかいする声こえも出でています。

国防こくぼう費ひは世界せかい２に位い

中国ちゅうごくの国防こくぼう費ひは、1989年ねん以降いこう、ほぼ毎年まいとし、前まえの年としを10％以上いじょう上回うわまわるペースで増加ぞうかし続つづけ、軍事ぐんじ力りょくを急速きゅうそくに拡大かくだいしてきました。

ここ数すう年ねんの伸のび率りつは、１いち桁けた台だいとなっていますが、ことしの国防こくぼう費ひの予算よさんは去年きょねんより7.5％増ふえた１いち兆ちょう1900億おく人民元じんみんげん近ちかくと発表はっぴょうされ、日本にっぽん円えんでおよそ18兆ちょう円えんに上のぼっています。

アメリカに次ついで世界せかい第だい２に位いの額がくとなっていて、2019年度ねんどの日本にっぽんの防衛ぼうえい費ひの予算よさんの５ご兆ちょう2574億おく円えんと比くらべると３さん倍ばい以上いじょうに上のぼっています。

中国ちゅうごく政府せいふが４よん年ねんぶりに発表はっぴょうしたことしの国防こくぼう白書はくしょでは、国防こくぼう費ひについて、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんに占しめる割合わりあいは低ひくく、アメリカの４よん分ぶんの１いち以下いかだとして合理ごうり的てきな水準すいじゅんだとしています。

ただ、国防こくぼう費ひの詳細しょうさいな内訳うちわけは公表こうひょうされておらず、実際じっさいの額がくはさらに多おおいとも指摘してきされていて、国際こくさい社会しゃかいから透明とうめい性せいが不十分ふじゅうぶんだなどと懸念けねんする声こえも出でています。

経済けいざい成長せいちょうが鈍化どんか 転換てんかん迫せまられる中国ちゅうごく

中国ちゅうごくの経済けいざいは、建国けんこくから70年ねんで、ＧＤＰじ-でぃ-ぴ-＝国内こくない総そう生産せいさんが世界せかい第だい２に位いの規模きぼとなるなど驚異きょうい的てきな成長せいちょうを実現じつげんした一方いっぽう、足元あしもとでは経済けいざい成長せいちょうが鈍化どんかし、産業さんぎょう構造こうぞうの転換てんかんを迫せまられています。

建国けんこくから間まもない1950年代ねんだいはじめの中国ちゅうごくのＧＤＰじ-でぃ-ぴ-は600億おく人民元じんみんげん余あまり。それが、1978年ねんに「改革かいかく開放かいほう」にかじを切きってからは、世界せかいでも例れいを見みないほどの急速きゅうそくな成長せいちょうをとげました。

海外かいがいの資本しほんや技術ぎじゅつを取り入とりいれたうえで国内こくないの豊富ほうふな労働ろうどう力りょくを活用かつようして、安やすい製品せいひんを輸出ゆしゅつする「世界せかいの工場こうじょう」として発展はってんし、2010年ねんには日本にっぽんを抜ぬいて世界せかい第だい２に位いの経済けいざい規模きぼとなりました。

去年きょねんはＧＤＰじ-でぃ-ぴ-が初はじめて90兆ちょう人民元じんみんげんを超こえて、中国ちゅうごく政府せいふは、建国けんこく当初とうしょと比くらべると物価ぶっかの変動へんどうをのぞいた実質じっしつで170倍ばい以上いじょうに成長せいちょうしたとしています。

しかし、足元あしもとでは経済けいざい成長せいちょう率りつの鈍化どんかが鮮明せんめいで、ことし４月しがつから６月ろくがつまでの成長せいちょう率りつは6.2％と、四半期しはんきごとのデータが公表こうひょうされている1992年ねん以降いこうでは最もっとも低ひくくなりました。

背景はいけいにあるのは、長年ながねん続つづけてきた大だい規模きぼな投資とうしのツケとも言いえる過剰かじょうな債務さいむの問題もんだいで、中国ちゅうごくの政府せいふや企業きぎょうなどが抱かかえる債務さいむはＧＤＰじ-でぃ-ぴ-のおよそ2.5倍ばいに膨ふくらんでいます。

中国ちゅうごく政府せいふは金融きんゆう取り引とりひきへの規制きせいを強つよめるなど、債務さいむ削減さくげんの取り組とりくみを積極せっきょく化かしていますが、その反動はんどうで中小ちゅうしょう企業きぎょうなどが事業じぎょう資金しきんを調達ちょうたつしづらくなり、景気けいきにブレーキをかける要因よういんとなっています。

さらにアメリカのトランプ政権せいけんとの「貿易ぼうえき戦争せんそう」が景気けいきの減速げんそくに追い打おいうちをかけています。

米べい中ちゅう両国りょうこくが、互たがいの輸入ゆにゅう品ひんに関税かんぜいを上乗うわのせする応酬おうしゅうを繰り返くりかえすなか、企業きぎょうの間まには先行さきゆきが見みえないと設備せつび投資とうしを手控てびかえる動うごきが広ひろがり、生産せいさん拠点きょてんを東南アジアとうなんあじあなどに移うつす動うごきも出で始はじめています。

一方いっぽう、人件じんけん費ひの上昇じょうしょうで従来じゅうらいの成長せいちょうモデルが限界げんかいとなっていることもあり、中国ちゅうごく政府せいふはＥＶ＝電気でんき自動車じどうしゃや５ごＧぎがに代表だいひょうされる次世代じせだい通信つうしんなどのハイテク分野ぶんやを次つぎの成長せいちょうの柱はしらにしようと、産業さんぎょう構造こうぞうの転換てんかんを進すすめています。

ただ、これに対にたいしてもトランプ政権せいけんは警戒けいかいを強つよめています。

通信つうしん機器きき大手おおて「ファーウェイ」とアメリカ企業きぎょうとの取り引とりひきを厳きびしく制限せいげんしたのをはじめ、中国ちゅうごくの半導体はんどうたいメーカーや原子力げんしりょく発電はつでんの会社かいしゃにも同様どうようの措置そちを科かすなど、締しめつけは幅広はばひろい分野ぶんやに及およんでいます。

中国ちゅうごく政府せいふはことし７月しちがつ、ハイテク分野ぶんやのベンチャー企業きぎょうを対象たいしょうに新あらたな証券しょうけん市場しじょうを創設そうせつして、資金しきん調達ちょうたつを支援しえんするなど、自前じまえで産業さんぎょうを育成いくせいする施策しさくを打ち出うちだしていますが、深ふかまるアメリカとの対立たいりつが中国ちゅうごくが目指めざす産業さんぎょう構造こうぞうの転換てんかんにも影かげを落おとしています。