パフォーマンスの“一貫いっかん性せい”

選手せんしゅたちは、アイルランド戦せんの歴史れきし的てきな勝利しょうりから気きを緩ゆるめず、引き続ひきつづき粘り強ねばりづよい守備しゅびを見みせ、攻撃こうげきでは、磨みがいてきたキックの戦術せんじゅつを存分ぞんぶんに発揮はっきし、チームとしての進化しんかを証明しょうめいしました。

この試合しあいで問とわれたのは、日本にっぽんがテーマとして掲かかげている「パフォーマンスの一貫いっかん性せい」でした。アイルランド戦せんは驚異きょうい的てきな粘り強ねばりづよい守備しゅびや素早すばやい展開てんかいの攻撃こうげきから、少すくないチャンスを得点とくてんにつなげ歴史れきし的てき勝利しょうりをつかみ取とりました。

しかし、サモア戦せんを控ひかえ、ウイングの福岡ふくおか堅けん樹じゅ選手せんしゅは「歴史れきし的てき勝利しょうりと言いわれるが、その後そのごの試合しあいがいかに大事だいじか前回ぜんかい大会たいかいを経験けいけんして、いちばんわかっている」と話はなし、気きを引き締ひきしめ直なおしていました。

なぜなら前回ぜんかいのイングランド大会たいかいで日本にっぽんは、南アフリカみなみあふりか戦せんで「世紀せいきの番狂ばんくるわせ」と言いわれる勝利しょうりをあげたものの、次つぎの試合しあいで大敗たいはいしたこともあり、決勝けっしょうトーナメント進出しんしゅつを逃のがしました。

また去年きょねん６月ろくがつ、強豪きょうごう、イタリアとの２に連戦れんせんでも、初戦しょせんに勝かったものの、２に戦せん目めは敗やぶれ、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、どんな相手あいてでも、試合しあい中ちゅうのどんな状況じょうきょうでも、同おなじパフォーマンスを発揮はっきする一貫いっかん性せいを持もつよう選手せんしゅたちに繰り返くりかえし指導しどうしてきました。

意識いしきした“ゼロ”からのスタート

このため、サモア戦せんに向むけて選手せんしゅたちは「ゼロからのスタート」を意識いしきして、これまでと同おなじトレーニングや、心構こころがまえで準備じゅんびを進すすめてきたと言いいます。

そして試合しあいでは、前半ぜんはん、強つよみである戦術せんじゅつの柔軟じゅうなん性せいを生いかし、アイルランド戦せんとは変かわってキックを積極せっきょく的てきに使つかって攻せめ、密集みっしゅうでボールを奪うばうと一気いっきに攻撃こうげきに転てんじて、トライを奪うばうなど得点とくてんを重かさねました。

また守備しゅびでは鋭するどい出足であしから１いち人にんに対にたいして２に人にんでタックルすることを繰り返くりかえし、トライを許ゆるしませんでした。

後半こうはんはゴール前まえのピンチの場面ばめんでも、粘り強ねばりづよい守備しゅびを続つづけ、相手あいてボールのスクラムにプレッシャーをかけて、その後そのごの密集みっしゅうでボールを奪うばうなどトライを１ひとつしか許ゆるしませんでした。

一方いっぽうで、厳きびしい強化きょうか合宿がっしゅくで磨みがいてきたスタミナも光ひかりました。

試合しあい終了しゅうりょうまで10分ふんを切きったところから素早すばやい攻撃こうげきを展開てんかいしトライを奪うばって突き放つきはなすと、さらに最後さいごのワンプレーでウイングの松島まつしま幸みゆき太朗たろう選手せんしゅがこの試合しあい、チーム４よっつ目めとなるトライを決きめて、貴重きちょうなボーナスポイントも加くわえた勝かち点てん５ごを手てにしました。

日本にっぽんは歴史れきし的てきな勝利しょうりのあとの試合しあいでも気きを緩ゆるめず引き続ひきつづき粘り強ねばりづよい守備しゅびを見みせ、磨みがいてきたキック戦術せんじゅつを存分ぞんぶんに発揮はっきしてチームとしての進化しんかを大だい舞台ぶたいで証明しょうめいしました。

一方いっぽうで、前半ぜんはんからペナルティーが目立めだったのは修正しゅうせい点てんとなりそうです。

１いち次じリーグ最後さいごの相手あいては、前回ぜんかい大会たいかいで大敗たいはいしたスコットランドです。雪辱せつじょくを果はたして、決勝けっしょうトーナメントに進すすむためには、再ふたたび「一貫いっかん性せい」を発揮はっきすることが求もとめられています。

控ひかえ選手せんしゅが存在そんざい感かん

日本にっぽんは、サモア戦せんで控ひかえ選手せんしゅたちが存在そんざい感かんを示しめし、ベスト８はち以上いじょうを目標もくひょうに掲かかげるなか、選手せんしゅ層そうの厚あつみに手応てごたえをつかむ一いち戦せんとなりました。

試合しあいでは今こん大会たいかい初はつ先発せんぱつとなったフッカーの坂手さかて淳史あつし選手せんしゅが、前半ぜんはんのみの出場しゅつじょうながらマイボールのスクラムやラインアウトで、いずれも成功せいこう率りつが100％と安定あんていしたプレーを見みせました。

また後半こうはんに途中とちゅう出場しゅつじょうしたフォワードのヘル ウヴェ選手せんしゅとツイ ヘンドリック選手せんしゅも献身けんしん的てきなプレーで、終盤しゅうばんの勢いきおいのある攻撃こうげきにつなげボーナスポイント獲得かくとくに貢献こうけんしました。

坂手さかて選手せんしゅは「これまで何なん年間ねんかんもかけて準備じゅんびをしてきたし、この１いち週間しゅうかんも充実じゅうじつした準備じゅんびができた。チームの目標もくひょうを達成たっせいするためにもっと存在そんざい感かんを出だしてチームを支ささえたい」と話はなしました。

元もと代表だいひょう 小野おの澤さわ宏ひろし時じさん “精神せいしん面めんの成長せいちょう”を評価ひょうか

日本にっぽんがサモアに勝かち、１いち次じリーグを３さん連勝れんしょうとしたことについて、元もと日本にっぽん代表だいひょうでＮＨＫえぬえいちけいの解説かいせつを務つとめる小しょう野澤のざわ宏ひろし時じさんは「前回ぜんかい大会たいかいの経験けいけんが生いきたと思おもう。４よん年ねん前まえに強豪きょうごうの南アフリカみなみあふりかに勝かったあと次じの試合しあいで負まけた経験けいけんがあったことで、この１いち週間しゅうかんのいい準備じゅんびを生み出うみだした」とチームの精神せいしん面めんの成長せいちょうを評価ひょうかしました。

そのうえで「残のこり10分ふんを切きってからトライ２ふたつをあげられる精度せいどの高たかさがあった。ボーナスポイントをとるために４よっつ目めのトライを奪うばわなければいけないという焦あせりをコントロールし、実際じっさいにもぎ取もぎとるところがすごく頼たのもしい。最終さいしゅう戦せんで対戦たいせんするスコットランドにプレッシャーをかけることができた。ディフェンスでもリアクションの速はやさがあった。タックルしたあと、すぐに起き上おきあがって次つぎの壁かべを作つくっていた。地味じみだが大事だいじなことだ」と話はなしました。

そしてスコットランド戦せんに向むけた課題かだいとして、この試合しあいでふたケタだった反則はんそくの数かずをどれだけ減へらせるかをあげ、「スコットランドにはいいキッカーがいるので、簡単かんたんに３さん点てんを与あたえてしまうのではなく、反則はんそくをしないマネージメントをしっかりすることで日本にっぽんが確実かくじつに勝利しょうりをもぎ取もぎとる80分ふんにしたい。残のこり１いち週間しゅうかんで疲つかれをとり、いつものように準備じゅんびをし、いつものように試合しあいに入はいっていくことが、いい結果けっかをもたらす最大さいだいの要素ようそだと思おもう」と話はなしていました。