米アップルが導入したばかりの人工知能(AI)機能で英BBC記事を誤って要約した速報ニュースが通知されるトラブルがあり、国際NGO「国境なき記者団」がアップルに対してこの機能の削除を求めている。
問題のニュース速報は先週、「Apple Intelligence」で生成されてユーザーにプッシュ通知された。BBCの記事が誤って要約され、米医療保険大手ユナイテッドヘルスケアの最高経営責任者(CEO)射殺事件のルイージ・マンジオーニ容疑者が、自分を銃で撃ったという内容になっていた。
BBCはアップルに連絡を取ってこの機能に関する懸念を伝え、問題の修正を求めたと報じた。アップルが苦情に対応したかどうかは確認できなかったとしている。
国境なき記者団のバンサン・ベルティエ氏は18日、「責任を持ってこの機能を削除するよう」アップルに要求。「報道機関を引用した偽情報の自動生成は、その報道機関の信憑性に打撃を与え、時事問題について信頼できる情報を入手する公衆の権利を危険にさらす」と強調した。
その上で、新しいAIツールが報道機関に及ぼすリスクを強く懸念していると述べ、AIについて「信頼できる情報を生成するにはあまりに未熟であり、そうした使用は許されるべきではない」実態が今回の出来事で浮き彫りになったと指摘した。
アップルにコメントを求めたが、返答はなかった。
アップルは6月から米国で、コンテンツを分かりやすい形で要約できるとうたった生成AI機能の提供を開始。ユーザーはiPhone、iPad、Macでニュースの一覧をまとめたプッシュ通知を受信できる。
10月にこの機能が一般に公開された後は、ニューヨーク・タイムズ紙の記事が誤って要約され、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が逮捕されたというニュースになった事案も伝えられた。実際には国際刑事裁判所(ICC)がネタニヤフ氏の逮捕状を発行したというニュースだったが、画面に表示されたのは「ネタニヤフ氏逮捕」の文字だった。