英王立協会が主催する今年の写真コンテストで、モルディブ沖の浅瀬で魚の群れを襲うサメを撮影したドローン(無人機)写真が大賞に輝いた。捕食者と獲物の力関係がむき出しの形で捉えられている。
王立協会の声明によると、撮影者は独マックスプランク動物行動研究所で博士研究員を務めるアンジェラ・アルビさん。ドローンの操縦士の助けを借り、銀色の魚と若いサメ4匹を捉えた受賞作を撮影した。
アルビさんは声明で「日没直後や日の出前、モルディブの浅瀬は澄んだ透明な表面に変わる」「これらの時間帯は、浅瀬に住むサメと獲物の攻防を最もはっきり観察できる瞬間でもある」と指摘した。
今年の審査委員に名を連ねたヒュー・タービー氏は「撮影者の俯瞰(ふかん)視点から見ると、自然のむき出しの本能が生彩(せいさい)を帯びる。魚の群れはほぼ完璧にシンクロして動いた後、サメを避けるために散り散りになっている」と解説する。
今回のコンテストには天文、行動、地球科学および気候学、生態学および環境科学、マイクロイメージングの5部門がある。アルビさんの写真は大賞のほか、行動部門でも受賞した。
天文部門では、写真家のムラン・スルタン氏がカシオペア座の二つの星雲に見られる入り組んだ細部を撮影した。
地球科学および気候学部門では、グリーンランドの融解する氷河上湖を捉えた1枚が受賞。マイクロイメージング部門では、樹皮に生息するサソリを至近距離から撮影した写真が受賞した。
生態学および環境科学部門では、バッタを捕食しようとするヘビクイワシを捉えた1枚が賞に輝いている。