埼玉県内に住む50代の女性は、新型コロナウイルスに感染し、現在も入院していますが、症状が落ち着いてきたため、医師が病棟内で代理で話を聞く形で取材に応じてくれました。
女性は1月上旬、発熱やのどの痛みを感じ、近くの医療機関で検査を受けたところ、新型コロナへの感染が確認されました。
感染した際の状況について、女性は「飲食店で知人と集まって会話していたので、そこで感染したと思います。お店で換気もしていたし、それぞれマスクも着用していましたが、お酒を飲んだときに気が緩み、マスクをつけて話す、というのが緩くなってしまったと思います」と振り返りました。
当初、女性は自宅で療養していましたが、数日後、腹部の持病の状態が悪化し、救急搬送されました。
女性は「はじめに熱が39度くらいまで上がって翌日に医療機関で陽性が確認されたのですが、そのときは熱は下がっていたので、このままどんどん楽に治っていくのではないかと思っていました。しかし、意外とそうではなく、感染によって体はダメージを受けていたようです」と話していました。
そして、病院で検査したところ、オミクロン株への感染の疑いがあることが分かりました。
一方、家族への影響も大きく、夫は職場に行けず自宅待機となり、息子は大学受験でしたが、陰性の結果を受けて別室で受験する形になったということです。
女性は「今まで感染していなかったし、ワクチンを2回接種していることもあり、気が緩んでいたと思います。いつどこで感染するのか分からず、体へのダメージも大きいので、“オミクロン株はただのかぜだ”という意見も見かけますが、やっぱり油断しないほうがいいと思います。これまで我慢してきて、人に会いたいという気持ちはあると思いますが、今はもう一息、我慢したほうがいいとつくづく思います」と話していました。
コロナの症状は軽症のケースが多いものの、その感染力の高さから本来受けたい治療が受けられないという、思わぬ影響も出ています。 埼玉医科大学総合医療センターには、先週、「外科の手術をしようとしたところ、コロナの感染が判明したので手術ができない。コロナ病棟があるそちらで患者を引き受けて手術してもらえないか」といった相談が、埼玉県や東京都から相次いで寄せられたということです。 感染症科の岡秀昭教授によりますと、具体的なケースとしては次のようなものでした。 患者が、別の病院で腸の病気の緊急手術を受けるため、新型コロナの検査を行ったところ、感染が判明したということです。 コロナの症状はほとんどありませんでしたが、この病院ではコロナの感染対策を行ったうえで手術を行う準備ができないなどとして、岡教授の病院で対応できないか依頼があったということです。 岡教授は「コロナ自体はすでに“コモンディジーズ”(commondisease)よくある病気。これだけ感染者が増えると、いちばんありふれた病気になっている。盲腸で来たけれども実はコロナがあった、そういうことは十分あり得る。軽いコロナはインフルエンザ症状なので、どの病院でも診ることができるようにしないといけないと思うし、急いで手術をしなければ患者の命に関わることもある。感染対策を取りながらどの病院でも診れるようにしなければいけない」と指摘しています。
感染で本来の治療受けられず