アメリカのシンクタンクは、この1週間でロシア軍が東部や南部のクリミアに加え、第2の都市ハリコフがある北東部、そして首都キエフに向かう北部一帯を掌握したと分析しています。
2日にはロシア国防省が「南部の都市ヘルソンを完全に掌握した」と発表しましたが、アメリカ国防総省は「激しい戦いがまだ続いていると見ている」と否定。ただ、ロシア軍はハリコフなど各地で攻撃を激化させています。
当初、アメリカ側もキエフ陥落は時間の問題などと危機感を強めていたにもかかわらず、なぜ、キエフへの侵攻は停滞しているのか。
そのうえで「戦車と歩兵の統合運用ができておらず訓練が足りていないほか、燃料などの補給も十分でない」などとして、「軍事のプロから見れば信じられないような基本的なミスを犯している」と分析しています。 そして、「こうした軍事的には説明のつかない判断ミスをしていることなどから、クレムリンでプーチン大統領に適切な助言が届かなくなっている可能性がある」と指摘しています。
そして「ロシアがキエフを包囲しているのに奪取しないのは意図的かつ計画的なことだ」として、キエフ包囲はゼレンスキー政権に圧力をかけることがねらいだという見方を示しました。
しかし、国連人権高等弁務官事務所は2日、この1週間で市民227人の死亡が確認されたと発表しました。犠牲者の中には子どもたちも含まれ、その数はさらに増えるとしています。
蘇生措置を行った医師は「この状況をプーチンに見せろ!」とカメラに向かってロシア語で叫び、強い憤りを表していました。
ウクライナのゼレンスキー大統領はフェイスブックにメッセージ動画を投稿し「ロシア軍による攻撃のたびに死傷者が出ている。あなたたちは何のためにウクライナに来たのか、何をしているのか。武器を捨てて帰りなさい」とロシア語も交えて非難しました。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は2日現在で、ウクライナから国外に避難した人の数が前日からさらに30万人余り増え、100万人以上に上ったと明らかにしました。 このうち、半数を超える50万人以上が避難したポーランドでは、首都ワルシャワの駅のホームに国境から来た大勢の人たちが詰めかけ、別の国などに向かう列車に次々に乗り込んでいました。 2人の孫を連れて避難してきた63歳の女性は次のように話しています。 「町は破壊されて、息子は地域の防衛組織に参加しました。心配ということばでは足りないほど心配です」
反対したのは、ロシアとベラルーシに加え、シリア、北朝鮮、東アフリカにあるエリトリアの5か国。 また、棄権したのは中国やインド、イランなど、35か国でした。
今回の決議案はロシアを名指しして非難する中、賛成国がどこまで増えるかが焦点でしたが、8年前を大きく上回る141か国が賛成に回り、ロシアの国際的な孤立が一層際立つ形となりました。
場所はベラルーシ西部のポーランドとの国境付近で行われる見通しで、もともと「2日にも行われる」という情報がありましたが、1日か2日延期される可能性も伝えられていました。 ただ、そもそも会談を通じて事態の打開を図れるかは難しい状況です。 ロシア側が停戦の条件としてウクライナの「中立化」や「非軍事化」などを要求している一方、ウクライナ側もロシアの国際的な孤立が深まる中、圧力に屈せず交渉に臨むことが予想され、交渉を通じて停戦を実現できるかは依然、見通せない情勢です。
首都キエフの状況はどうなっている?
軍事戦略上の大きなミス?
計画どおり都市を包囲?
増え続ける市民の犠牲
国外に逃れる人たちは
国際社会でロシアの孤立 際立つ形に
2回目の交渉はいつ?