18日、NHKのインタビューに応じたペトレアス氏は、ウクライナに侵攻したロシア軍部隊について「驚くほど動きが悪い。歩兵部隊と戦車や大砲、攻撃ヘリコプターなどが、統合的に運用されておらず、ばらばらに動いている」と指摘したうえで「多くが精密に誘導できない武器で、民間の施設にも無差別的な攻撃をしている」と分析しました。
また、ペトレアス氏は、欧米から支援も受けているウクライナ軍の抵抗によってロシア側の死傷者が増大し、指揮官レベルでも戦死者が出ているとして「兵士が投降したり逃亡したりする小規模な部隊が現れるだろう」と予測しました。
そのうえで「プーチン大統領の政治的な目標は、ゼレンスキー大統領を交代させることだが、ゼレンスキー氏は、首都キエフにとどまり、軍を鼓舞し続けており、実現は難しい」と指摘し、ウクライナを軍事的、政治的に掌握しようというプーチン大統領のもくろみは「達成できないことは明らかだ」との見方を示しました。
そして今後の戦闘の見通しについては「もっとも可能性が高いのは、激しい戦闘が続き、手詰まりになる展開だ」と述べ、ロシア軍がいくつかの都市を制圧したあと、ゲリラ戦が始まるなど戦闘が長期化する可能性を指摘しました。 その一方で、停戦に向けたロシアとウクライナによる交渉についても言及し「交渉を通じて結果を出すことが大事だ。結果とはすなわち停戦であり、ロシア軍の撤退だ」と述べました。 そして事態を収束させる方法についてペトレアス氏は「プーチン大統領と主要な側近に金融や経済面などで最大限の圧力をかけることだ。ただ、認識しておかなければならないのは、プーチン大統領を『もうこれ以上、失うものがない』というところまで、追い詰めないことだ。大量破壊兵器が使用されるおそれがある以上、彼に、勝利を授けないレベルでの出口を提供することを考えなければならない」と強調しました。
「プーチン大統領に勝利を授けないレベルの出口提供を」