ウクライナのベネディクトワ検事総長は地元メディアの取材に対し「最悪の人的被害だ」と述べ、多くの市民が殺害されているのが見つかっている首都近郊のブチャを上回る被害が出ているとしています。
ウクライナが緊急に必要としている対戦車ミサイル「ジャベリン」の追加供与にあてるとしています。 アメリカは今月1日にも3億ドル相当の追加の支援を発表したばかりで、バイデン政権発足以降、ウクライナに対する軍事支援は合わせて24億ドル以上(日本円にして2900億円以上)に上るとしています。
そのうえで「この段階になるとロシア軍はより計画的になり、多くの火力を集められるので暴力性は一段と高まるだろう」と述べて、ウクライナ東部などでロシア軍の攻撃性が増すという見方を示しました。
対象は、ロシアの政府高官やその家族、金融機関、それに国営企業になるということで、ロシアへの圧力を一段と強めていく考えを強調しました。
5日に公開された放送では、首都があるキーウ州で警察がロシア軍による戦争犯罪に関する住民の話や証拠を記録していると伝えています。 また、ロシア軍が撤退したあと、多くの市民の遺体が見つかった首都キーウの北西ブチャでは、道路や住宅の庭などであらたに複数の市民の遺体が見つかったとしたうえで、頭部を撃たれて横たわる男女3人の姿の映像を伝えています。 さらに、ロシア軍が撤退した地域では多数の地雷や爆発物が残されているとして、専門の部隊が1000を超える爆発物の処理にあたったとしています。 一方、東部ドネツク州では住宅や学校、企業など合わせて55の民間施設がロシア軍による攻撃を受け、子ども2人を含む多くの死傷者が出ていると伝えています。
これについてイギリス国防省は5日、ロシア軍が撤退する前の3月21日にブチャを撮影した衛星写真を分析し「少なくとも8人の遺体が路上に横たわっているのを確認した」と明らかにしました。 アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズも4日、ブチャで撮影された衛星写真や動画を独自に分析した結果を報じていて、ロシア軍が撤退する前の3月11日の時点で少なくとも11人の遺体を確認し、その後およそ3週間にわたってそのままにされていたとしていて、ロシア側の主張には矛盾があると指摘しています。
フランス大統領府によりますと、会談の中でマクロン大統領は市民の殺害などロシア軍による戦争犯罪が疑われている行為についてウクライナ政府が行うとしている捜査に協力する意向を伝え、その一環として、国際刑事裁判所に専門の職員を送る方針を説明したとしています。 そのうえで、ロシア軍による性的暴行の報告が相次いでいることについて、今後の捜査のため早急に資料を取りまとめる必要があるという発言があったということです。
このうち、首都キーウ北西の町ブチャで多くの市民の遺体が路上などで見つかった今月4日以降には、ドイツやフランスなど7か国が合わせて140人以上に対し追放の措置を決めています。
チェコ政府は詳細を明らかにしていませんが、地元メディアは、ウクライナに供与するのは、旧ソビエト製の戦車を含む数十両の戦闘用の車両だと伝えています。 これについてアメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、5日付けの電子版でロシアによる軍事侵攻が始まってから外国政府がウクライナに戦車を提供するのは初めてだと伝えています。
そのうえで「明らかに敵対的な国に対する輸出について注視する必要がある」と述べ、農水産物の輸出を制限する可能性を示唆しました。 ロシアはウクライナ情勢を受けて、経済制裁を強化した国などを「非友好的な国と地域」に指定していて、日本も含まれています。 ロシアは世界最大の小麦の輸出国として知られるなど農産物の輸出も盛んですが、輸出制限を実施した場合、食料価格の高騰など、影響が懸念されています。
EUはロシアから年間40億ユーロ、5400億円にのぼる石炭を輸入していて、EUはこの禁輸措置によってロシアの重要な収入源が断たれるとしています。 またEUは、ロシア国内2位のVTBバンクなど、4つの金融機関との取り引きを完全に禁止するとしています。 さらに、ロシアの船舶のうち農産物やエネルギー資源を積んだ船以外は、EU域内の港に入ることを禁止するとしています。 一連の制裁措置は今後、EUの加盟国間での議論を踏まえ、正式に決定されることになっています。
ジョンソン首相は「市民が手を縛られたうえ射殺されるなど虐殺された。女性は、子どもたちの前で暴行された」などと述べ「あなたたちの大統領がこうした状況を隠そうとしているのは無理もない。大統領はあなたたちが知ったなら、彼が行っている戦争は支持されないことをわかっている」と述べました。 そしてロシア人に対し、通信データを暗号化して接続を可能にするVPNと呼ばれるサービスを利用して正しい情報を得て、真実を広げてほしいと呼びかけました。 そして最後にロシア語で「あなたたちの大統領は戦争犯罪を行ったとして非難されている。だが、私は彼があなたたちの名前のもとに行動したとは信じていない」と締めくくりました。
ロシアは4日、日本円で2400億円を超える国債の利払いや償還期限を迎えていて、事前に70%余りを自国通貨ルーブルで買い戻したとしているものの、残りはドルによる支払いが必要な状況になっています。 今回の措置は制裁強化の一環とみられ、アメリカ財務省の広報担当者は「ロシアには、手元に残る貴重なドルを放出するか、新たな資金を獲得するかの選択肢しかなく、それができなければデフォルト=債務不履行を迫られる。プーチン大統領が戦争を続けるための資金を枯渇させる」と強調しています。 4日を期限とする国債の償還や利払いには30日間の猶予期間がありますが、市場関係者の間では、ロシア国債がデフォルトに陥る可能性が高まったと受け止められています。
そのうえで「世界各国は、こうした行いをした者とその命令を下した者に責任をとらせるという決意を新たにしている」と述べ、今月6日から2日間の日程でベルギーで開かれる一連の外相会合で、ロシアの責任を追及していく考えを強調しました。
このうち123人は子どもだということです。 死亡した人のうち ▽1006人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、 ▽474人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。 また、けがをした人は2195人にのぼるということです。 多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。 今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。
具体的な被害の状況は明らかにしていませんが、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部のマリウポリや、首都キーウ近郊のホストメリなど3か所で、無抵抗のフランス人が攻撃されたり、生存に不可欠な水や食料などが手に入らなくなったりした疑いがあるとしています。 当局によりますと、現場がフランス国外でも戦争犯罪の被害者や加害者がフランス人の場合などには、現地の政府の合意のもと、捜査が可能になるということです。 また、このほかにも、フランス国籍のジャーナリストが3月16日、ウクライナで死亡したことを受け、戦争犯罪の疑いで捜査を開始したとしています。
主な避難先はポーランドがおよそ246万人、ルーマニアがおよそ64万人、モルドバがおよそ39万人、ハンガリーがおよそ39万人、などとなっています。 また、ロシアに避難した人は、3月29日の時点でおよそ35万人となっています。
ドイツのベアボック外相は4日、声明を出し、首都ベルリンのロシア大使館に勤務するかなりの数の外交官を追放する措置をとると発表しました。 その人数について、ドイツメディアの多くは「40人にのぼる」と伝えています。 また、フランスの外務省は4日「多くのロシアの外交官の追放を決定した」と発表しました。 地元メディアは追放の対象となるのは35人の外交官だと伝えています。 このほか、イタリアのディマイオ外相は5日、ロシアの外交官30人を追放したと明らかにしました。 さらにスペインはロシアの外交官や大使館職員合わせておよそ25人を追放すると明らかにしたほか、デンマークは大使館の職員15人を追放するとし、スウェーデンも外交官3人を追放すると発表しました。
⇒「ボロジャンカ 倒壊建物から多くの遺体」詳細記事はこちら
アメリカ国防総省 ウクライナに1億ドルの追加軍事支援
アメリカ国防長官 “ウクライナ東部などでロシア軍攻撃性増す”
ホワイトハウス報道官 “G7・EUと連携しロシア追加制裁へ”
ウクライナの公共放送 ユーチューブで現地の状況を連日発信
イギリス国防省が衛星写真を分析 “撤退前に遺体確認”
仏大統領とゼレンスキー大統領が電話会談 今後の対応意見交わす
ロシア外交官など追放措置 少なくとも16か国 300人超
NATO事務総長 “チェコがウクライナ軍に戦車供与”
⇒「NATO事務総長 “チェコがウクライナ軍に戦車供与”」詳細記事はこちら
プーチン大統領 農水産物の輸出制限の可能性を示唆
EU 石炭の輸入禁止 追加制裁へ
イギリス ジョンソン首相 “真実を知るべき”ロシア語で呼びかけ
アメリカ財務省 ロシアの国債 ドル払い認めない措置
アメリカ ブリンケン国務長官 “責任とらせる決意”
国連 “少なくとも1480人の市民が死亡”
フランスの検察当局 “フランス人に対し3件の戦争犯罪”捜査開始
国連 “ウクライナから424万人が国外避難”
ヨーロッパ各国 ロシア外交官追放措置 相次ぎ発表
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア軍撤退後のボロジャンカ 倒壊した建物から多くの遺体