上皇ご夫妻が、26年余り暮らした皇居のお住まいをあとにして、東京 港区の仮住まい先に移られたのはおととし3月。
側近によりますと、ご夫妻は、地域の人たちの温かい歓迎に感謝し、つながりを大切にされてきました。
お住まいの敷地内を散策中、近くのマンションのベランダにいる住民から声をかけられ、応じられることもありました。
また、近所の保育園の園児からはご夫妻の誕生日やクリスマスなどに手作りのカードや花束が届けられました。
おととし11月に仮住まいの敷地に落ちていたどんぐりを、園児たちが受け取ったことがきっかけだったということで、12日も見送りに訪れていました。
上皇ご夫妻はこの2年間、花々に彩られた庭の四季の移ろいを楽しみ、静かで穏やかな日々を規則正しく過ごしたということで、懐かしく思い起こされる生活になったと話されているということです。
園児たちが見送りを行った愛星保育園の村岡恵美子園長は「子どもたちは、楽しそうに手を振ってお見送りができました。上皇ご夫妻も、子どもたち一人一人の顔を見られていて、子どもたちもうれしかったと思います。贈り物を受け取ってもらえるとは思っていませんでしたが、職員の方から、お二人がとても喜ばれていたという話を聞いていたので、こうしたつながりを持てたことは本当にありがたいです」と話していました。
港区の武井雅昭区長は、上皇ご夫妻の出発の前にご夫妻にあいさつをしました。
その時の様子について「感謝の気持ちを込めて、上皇后さまに花束を渡すと、お二人で『きれいですね』と話され、喜んでいただきました。ご夫妻がこの場所で2年間を過ごされたことを、喜びに感じ、誇りに思っていますと伝えると、上皇さまは、私たちに対して『健やかに幸せに過ごすことを願います』と話してくださいました」と話していました。