国連こくれんの機関きかん「UN Women」は、ロシアによる軍事ぐんじ侵攻しんこうが続つづく中なかでも現地げんちに残のこり最前線さいぜんせんで働はたらくウクライナの女性じょせいたちの姿すがたをSNSなどで伝つたえています。

そのうちの1人にん、医師いしのイリナ・ホンツァさん（49）はルーマニア国境こっきょう近ちかくにある都市とし、チェルニウツィの病院びょういんで、入院にゅういん患者かんじゃ200人にん余あまりの治療ちりょうにあたっています。

これまでに空爆くうばくは起おきていないものの、一いち日にちに何なん度ども空襲くうしゅう警報けいほうが鳴り響なりひびき、そのたびに患者かんじゃをシェルターに避難ひなんさせる状況じょうきょうが続つづいているといいます。

戦闘せんとうが激はげしい地域ちいきから、多おおくの患者かんじゃががん治療ちりょうを求もとめて来きているということです。

イリナさんは「マリウポリから来きた女性じょせい患者かんじゃは寒さむさに耐たえ、おなかをすかせていて、精神せいしん的てきなトラウマはひどいものだった。キーウから来きた若わかい女性じょせいは、長ながい間まシェルターに隠かくれていて体重たいじゅうは35キロしかなく、1人にんで歩あるくこともできない状態じょうたいだった。ハルキウから来きた高齢こうれい女性じょせいは家いえが破壊はかいされたショックで泣なきやむことができず、ミサイルが近ちかくで爆発ばくはつし、一時いちじ的てきに聴力ちょうりょくを失うしなっていた。がん患者かんじゃとしてすでに大おおきな痛いたみと恐怖きょうふを抱かかえているにもかかわらず、爆撃ばくげきや戦闘せんとうのせいでさらに心理しんり的てき、精神せいしん的てきな負担ふたんを負おっていた」と厳きびしい状況じょうきょうを伝つたえました。

イリナさんは、知人ちじんから国外こくがいに逃のがれるよう声こえをかけられたものの、現地げんちにとどまる選択せんたくをしたということで、「この悲惨ひさんな状況じょうきょうの中なかで、いかにして患者かんじゃを守まもり治療ちりょうを続つづけるか。私わたしたちの国くにで起おこっている戦争せんそうとは別べつに、医師いしとして治療ちりょうの最前線さいぜんせんで闘たたかっている」と思おもいを話はなしました。

イリナさんは「誕生たんじょう日びや記念きねん日びに『平和へいわな空そらがありますように』という言葉ことばをおくりあうが、それがどれほど大切たいせつなことか、奪うばわれてはじめてその価値かちに気付きづいた。ウクライナが経験けいけんしていることは、ほかの誰だれにも経験けいけんしてほしくない」と、一刻いっこくも早はやく平和へいわが戻もどってほしいと訴うったえていました。