知床しれとこ 観光かんこう船せん事故じこ 何なにが起おきたのか…【経緯けいい】

NHKが斜里しゃり町まちのウトロの港みなとに設置せっちしているカメラには、23日にち午前ごぜん9時じ50分ふんすぎに乗客じょうきゃくが次々つぎつぎと乗り込のりこみ、午前ごぜん10時じごろに港みなとから出発しゅっぱつする様子ようすが映うつされていました。

関係かんけい者しゃによりますと、この船ふねが観光かんこう船せん「KAZU 1」だということです。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、子こども2人にんを含ふくむ乗客じょうきゃく24人にんと船長せんちょうと甲板かんぱん員いんそれぞれ1人にんのあわせて26人にんが乗のっていたということです。

異変いへんがあったのは、港みなとに戻もどる予定よていだった、午後ごご1時じごろ。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、知床しれとこ半島はんとうの沖合おきあいから無線むせんや電話でんわで救助きゅうじょ要請ようせいがありました。

「船首せんしゅが浸水しんすいし、沈しずみかかっている。エンジンが使つかえない」という内容ないようでした。

その後そのご、午後ごご2時じごろには「船首せんしゅが30度どほど傾かたむいている」と運航うんこう会社かいしゃに伝つたえたのを最後さいごに連絡れんらくがとれなくなりました。

暗礁あんしょうの大おおきさはおよそ縦たて30メートル横よこ10メートルほどで、この場所ばしょを行き交いきかう観光かんこう船せんは十分じゅうぶんに注意ちゅういしながら航行こうこうしているということです。

またこの海域かいいきは北西ほくせいの風かぜが吹ふくと波なみが立たちやすく、操船そうせんが難むずかしくなるということです。

この時期じき、現場げんばはどういう状況じょうきょうなのか。3年ねん前まえの5月つきの連休れんきゅうに知床しれとこ遊覧ゆうらん船せんに家族かぞくで乗船じょうせんしたという30代だいの女性じょせいは「陸地りくちでは長袖ながそで1枚まいでも十分じゅうぶんでしたが、海うみに出でると昼間ひるまでもすごく寒さむかったのを覚おぼえています」と話はなし、ヒグマの親子おやこが見みえた際さいは、『岩場いわばがごつごつしていて危あぶないので、近ちかづかず観察かんさつになります』というアナウンスがあったということです。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、連絡れんらくが途絶とだえる前まえに、観光かんこう船せんの乗員じょういんは「エンジンが止とまっていて、自力じりきで航行こうこうできない」と話はなしていたことが海上かいじょう保安庁ほあんちょうへの取材しゅざいで分わかりました。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうは、観光かんこう船せんに何なんらかの異常いじょうが起おき、操船そうせんができなくなっていたとみて調しらべています。

乗客じょうきゃくについて、運航うんこう会社かいしゃは海上かいじょう保安庁ほあんちょうに対にたいし、全員ぜんいん救命きゅうめい胴衣どういを着用ちゃくようしていたと説明せつめいしているということです。

観光かんこう船せん「KAZU 1」は、第だい1管区かんく海上かいじょう保安ほあん本部ほんぶによりますと、去年きょねん6月つきにウトロ漁港ぎょこうを出港しゅっこうした直後ちょくごに浅瀬あさせに乗り上のりあげる事故じこを起おこしています。当時とうじは乗客じょうきゃく21人にんが乗のっていましたが、けが人けがにんはなかったということです。

この事故じこで、観光かんこう船せんの当時とうじ42歳さいの船長せんちょうが業務ぎょうむ上じょう過失かしつ往来おうらい危険きけんの疑うたがいで書類しょるい送検そうけんされました。

男性だんせいは「海うみが荒あれるのが分わかっていたので、きのうは行いくなと言いった。なぜ行いってしまったのかと思おもう」と話はなしていました。

NHKのヘリコプターで24日にち午後ごご0時じ15分ふんごろ、知床しれとこ岬みさきの先端せんたん付近ふきんの上空じょうくうから撮影さつえいした映像えいぞうでは、岩場いわばに「KAZU １いち」と書かかれたオレンジと白しろの浮うき輪わが打ち上うちあげられているのが確認かくにんできます。