埼玉県に
住む娘のもとに
先月、
避難してきた
夫妻は
日本での
生活の
長期化を
見据え、
在留資格を
変更し、25
日、
市役所で
住民登録を
行う予定です。
一方、避難生活が1か月を超えるなか、日本語が話せない人たちを受け入れている親族も、手続きへの付き添いや生活のサポートに疲労やストレスを感じ始めています。
ウクライナ東部に住んでいたリボフ・ヴィルリッチさん(59)は、のセルヒィ・ヴィルリッチさん(66)、孫のブラッド・ブラウンさん(12)とともに埼玉県坂戸市に住んでいる娘の根本ユリアさん夫妻を頼って、先月10日に入国し、一緒に生活しています。
3人は、住民登録や銀行口座の開設などに必要な在留資格の変更を先月下旬に申請し、およそ1か月たった22日、変更が認められました。
そして、ユリアさん夫妻の車で、およそ1時間かけてさいたま市にある入国管理局の出張所に向かうと、窓口で3時間待ったあと、在留カードを受け取ることができました。3人は25日、市役所で住民登録を行う予定です。
リボフさんは「少し時間がかかりましたが、ようやく在留カードを手にすることができました。何か仕事をやりたい気持ちが強いので本格的に仕事を探したいです」と話していました。
一方、ユリア
さんは5
歳の
子どもの
育児にも
追われていて、
避難生活が1
か月を
超えるなか、
日本語が
話せない
両親たちのサポートと
育児の
両立に
疲れや
ストレスを
感じています。
両親が病院や役所の手続き、買い物などに出かける際には、必ず付き添っているということです。
ユリアさんは「家族の命が一番大事なので、近くいて無事でいてくれるのはうれしいですが、常にサポートが必要な状態なのでストレスや疲れがたまっている部分もあります。少しでも支援があると負担が少なくなると思います」と話していました。
東京23区 支援の現状は
ウクライナから
避難してきた
人への
支援などについて、
今月21
日と22
日に
東京23
区に
聞いたところ、「
避難者の
人数などの
把握ができないため
支援策がつくれない」といった
声が
出ていて、
避難してきた
人を
把握し
支援につなげるために
必要と
なる在留資格の
変更などが
進んでいない
状況が
浮き彫りになっています。
このなかで、ウクライナから避難してきた人がいるか東京23区に聞いたところ、7つの区が「居住している」と回答した一方、16の区は「居住していない」「把握していない」などと回答しました。
そして避難してきた人への区独自の支援については「ある」が10の区、「検討中」または「ない」が13の区となっています。
「ある」とした区は独自の支援としてウクライナ語の通訳を置いた相談窓口の設置や一時金の支給、自動翻訳機の貸し出しなどを挙げています。
また、独自の支援を「検討中」または「ない」とした区からは「避難者の人数などの把握ができないため支援策がつくれない」といった声が出ていて、自治体が避難してきた人を把握して支援するために必要となる在留資格の変更などが進んでいない状況が浮き彫りになっています。
江戸川区生活振興部の後藤隆部長は「独自に友人や知人を頼ってきた人は把握が難しい状況にあり、支援につなげにくい。在留資格を変更し住民登録をしてもらえれば病気やけが、子どもの学校など区民としてサービスを受けられるので、申請をお願いします」と話していました。
難民や
移民に関する政策に
詳しい名城大学法学部の
近藤敦教授は「
避難者がどこに
住んでいるかを
自治体が
把握したり、
支援団体が
情報を
伝えたりするうえ
でも、できるだけ
速やかに
住民登録が
行われることが
望ましい。
そのためにも
国は
在留資格を
切り替えることの
重要性を
避難した
人たちに
積極的に
情報発信して
伝えることが
重要だ」と
指摘しました。
そのうえで、「避難してきた人のサポートを家族や知人だけで担うのは非常に難しい。住民登録を速やかに行ったうえで、自治体や企業、民間団体が連絡を取り合ってその人に応じたサポートのメニューや体制を作ることが必要だ」と話しています。
受け入れ先がない人たちへの支援は
ウクライナから
避難した
人たちの
うち、
日本に
親族や
知人などの
受け入れ
先がない
人については、
政府が
一時滞在先のホテルを
確保し、
政府の
委託を
受けた
公益財団法人の「
アジア福祉教育財団」の
難民事業本部が
食事の
提供など
生活支援をしています。
ホテルに滞在中は、1日当たり1人1000円、その後は1日当たり2400円などの生活費や一時金が支給され、医療費や就労支援などにかかる費用についても必要に応じて国が実費を負担する方針です。
日本に親族などの受け入れ先がある人については、日本財団が3年間で50億円余りを拠出し生活費として年間1人100万円などが支給されます。
日本財団には、今月20日の受け付け開始から22日午後5時までに142人分の申請が出され、書類審査などを経て準備が整えば、来月以降、支給を始めるということです。
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