そのうえで「製鉄所の敷地内での戦闘が3日連続で続いていることからも、彼らの必死さがわかる」と述べ、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の「戦勝記念日」に向けてロシア軍が戦果を急いでいると指摘しました。
そのうえで「今週、アゾフスターリ製鉄所から150人以上、マリウポリやその周辺から300人以上が人道回廊によって避難し、医療や財政的な援助など必要な支援を受けている」と述べました。 一方で「今も、ロシア軍はアゾフスターリ製鉄所への攻撃をやめていないが、まだ女性や大勢の子どもが残っており、助け出す必要がある。この地獄を想像してほしい。2か月以上も砲撃や爆撃、すぐそばで人々が亡くなる状況が続いている」と述べて、救出を急ぐ必要があると訴えました。
また、人道問題担当のグリフィス事務次長は「けさ、マリウポリとアゾフスターリから市民を避難させるため、新たな活動を開始した」と述べました。 ただ、グテーレス事務総長は「避難を成功させるため、完了するまで詳細については話さない方針だ」と述べ、詳しい内容は明らかにしませんでした。
この国際会議は、スウェーデンとともに各国に開催を呼びかけたポーランドの首都ワルシャワで5日開かれ、EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長や、各国の代表が参加しました。 会議では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説し「ウクライナの再建は第2次世界大戦後にヨーロッパの国々が再建されたときと同じように、われわれの時代と未来にとって歴史的な模範となるべきだ」と述べ、復興に向けた支援を訴えました。 そして、ポーランドのモラウィエツキ首相は、参加各国や民間企業から総額65億ドル、日本円でおよそ8500億円の支援が表明されたと明らかにしました。 集まった支援金は国内外に避難しているウクライナの人たちへの人道支援のほか、ロシア軍によって破壊された生活インフラの再建などに充てられるということです。
モルドバの政府系ガス会社「モルドバガス」のバディム・チェバンCEOは5日、NHKのインタビューに応じました。モルドバでは、消費される天然ガスのすべてが、ウクライナを経由するロシアからのパイプラインで供給されています。 そうした中で、ロシア最大の政府系ガス会社、ガスプロムは先月、ポーランドとブルガリアへの天然ガスの供給を停止しましたが、チェバン氏は「モルドバで供給が停止されるのは支払いが滞るなど商業上の理由があった場合のみだ。政治上の判断による供給停止はない」と述べ、現状ではモルドバへのガス供給に影響はないという見方を示しました。 また「モルドバガス」は、株式の半数以上をガスプロムが保有していることから、ロシアの強い影響下にあるとされていますが、チェバン氏は「株式を保有するモルドバ政府には拒否権もある」と述べ、ロシアによる経営への影響はないと強調しました。 そのうえで「2年前まではウクライナからのパイプラインのみだったが、今はルーマニアやバルカン諸国とも結ばれている」と述べ、ロシア以外からの供給網の確保も進めていると説明しました。 一方で「ガスの消費は工業分野で多く、代替が難しい」と指摘し、当面はロシアのエネルギーに頼らざるをえないという認識を示しました。
ゼレンスキー大統領はSNS上に投稿した動画の中で「ウクライナは自国の自由のためだけではなく、世界の民主主義国家の自由のために戦っている」と述べました。そのうえで「クリックだけでウクライナの防衛隊を守り、市民を救い、ウクライナを再建するための寄付ができる。ウクライナの勝利に対する貢献を私たちは忘れない」と寄付を呼びかけました。 寄付は、特設サイトからクレジットカードなどで行うようになっていて、▽防衛や地雷除去の支援、▽医療支援、▽復興支援の3つの分野から寄付する人が使いみちを選ぶ仕組みです。 寄付金は中央銀行から関係省庁に配分され、24時間ごとに用途などについての報告が公表されるということです。
この中では、東部ルハンシク州で一日の間にロシア軍による砲撃が24回あり、市民5人が死亡したと伝え、破壊されたとみられる集合住宅などの建物の写真を公開しています。 また、東部ドネツク州では、5日、クラマトルスクの中心部が攻撃を受け、住宅や学校が破壊されて少なくとも25人の市民がけがをしたとしています。 そして、キーウ州ではロシア軍の地雷によって消防車が爆発し、3人がけがをして病院に運ばれたほか、トラックを運転していた35歳の男性が別の地雷の爆発で手や足にけがをしたということです。 さらに、北部のチェルニヒウ州で、自身が暮らす住宅が3月にロシア軍による攻撃を受けた際、外にあるトイレに行っていたために命拾いをしたという64歳の男性を取材しています。男性は1か月にわたって攻撃を免れたトイレの中で足を折り曲げた状態で寝泊まりし、その後、近くの施設に避難したということです。男性は「私はずっとトラック運転手をしていて、座席で小さくなって寝ることには慣れていた」と話しています。
そのうえで「安全な避難を実現させるよう国際社会に訴える」と述べました。 さらに、この副司令官は「ゼレンスキー大統領に対し、けがをしてひどい痛みに苦しんでいる兵士たちを救出するよう訴えている。また、亡くなった兵士の遺体を収容する機会を与えてほしい」とも述べ、兵士たちの過酷な現状を訴えました。
そしてプーチン大統領が核兵器の使用も辞さない構えを示したという見方が出ていることについてルカシェンコ大統領は「核兵器の使用は容認できない。なぜなら核兵器は私たちの近くにあり、アメリカのように海を隔てていないからだ」と述べました。 またベラルーシ軍が始めた軍事演習について「すべてのイベントは自国の領土で行っていて、誰も脅かさないし、脅かすつもりもない」と述べ、ウクライナ軍の部隊を北部にとどまらせ東部に展開できないようにするねらいだという見方を否定しました。 そのうえで、ロシアとウクライナの停戦に向けた交渉について「私たちはいかなる戦争も断固として受け入れない。私はロシアの立場を知っていて、ロシアがウクライナに何を提案しているかも知っているが、なぜウクライナはこの交渉に興味を示さないのか」と述べ、進展しないのはウクライナ側に非があると主張しました。 そしてルカシェンコ大統領は、プーチン大統領がNATOとの全面的な対立を望んでいない可能性が高く、アメリカのバイデン大統領の姿勢しだいで戦闘はすぐに終わるという持論を展開しました。
イーホル・コリハイエフ氏は、ロシアがヘルソンを掌握したと主張した先月、ロシア側によって一方的に市長を解任されました。 5日、NHKのオンラインインタビューに応じたコリハイエフ氏は「市外に避難することができず、私たちは人質状態だ。ウクライナのテレビも遮断されていて市民の心理的な疲労は限界を超えている」と述べ、ロシア軍の占領下で市民は精神的にも抑圧されていると訴えました。 ともに働いていた市の職員たちは解雇されずに自宅で待機するよう命じられていますが、ロシア側に加担しないよう辞職する職員が相次いでいるということです。 またロシア側が占領の正当化のため実施するのではないかと伝えられている住民投票について「いつ行われるのかは依然として明らかになっていない」としたうえで「市民は自由なウクライナに住みたいと願っているのは確かだ」と述べ、ロシア側が結果を操作するのではないかと強い懸念を示しました。 そのうえで「われわれはロシア軍を招いたことは一度もない。ロシア軍の行動は民主主義的とは言い難い」と述べ、支配の既成事実化を進めるロシアを批判しました。
ゼレンスキー大統領「製鉄所にまだ女性や大勢の子ども」
マリウポリで約500人の避難に成功 国連
ウクライナ支援の国際会議で65億ドルの支援表明
モルドバ “当面はロシアのエネルギーに頼らざるをえない”
ゼレンスキー大統領 クラウドファンディング開始と発表
ウクライナ公共放送 現地の状況を発信
「アゾフ大隊」副司令官「ロシア 停戦の約束守らず」
ベラルーシ大統領 “長期化は想定外”
ヘルソン市長 支配の既成事実化進めるロシアを批判
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5月6日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
「ロ軍 9日までに製鉄所を掌握しようとしている」