製鉄所から避難したという男性は「避難できず、置き去りにされるのではないかという疑いを毎日のように抱いていました。食料やまきをどう入手し、食事をとるかが大きな問題でした」と話していました。
同じく製鉄所から避難したという女性は「製鉄所内では上の階にいる自分の親族が生きているのかさえもわからない状態で、とても怖かったです。子どもは感受性が高いので、子どもの前では泣かないようにしていました」と切迫した状況について証言していました。
そして、核兵器の使用も辞さない構えを見せるプーチン大統領を抑止するには、欧米が脅しに屈せず、より強い行動をとることが必要だと強調しました。
国連は、赤十字国際委員会とともに製鉄所やその周辺地域からの市民の避難を支援していて、これでこれまでに合わせて600人を超える市民の避難を実現させたとしています。 グテーレス事務総長は声明で「避難に必要な一時的な戦闘の停止を確保した、キーウとモスクワの指導者を含むこの避難に関わったすべての人に感謝する」と表明しました。 そのうえで「避難を希望するすべての人たちのために安全確保の努力を惜しまないよう、紛争の当事者に求める」と改めて訴えました。
このなかでロシア国営の「第1チャンネル」など、テレビ局3社について「プーチン大統領による残忍な侵略をうそで隠し、プロパガンダの道具にもなっている」などとして、アメリカの企業が広告費や中継技術、それにカメラなどの機材を提供できないようにするとしています。 また、ロシアの企業や富豪が資産を隠し、制裁を逃れることを防ぐため、アメリカ人がロシアの個人や企業に対して経営コンサルタントや会計業務などのサービスを提供することを禁止するとしています。 このほか、ロシアの軍事産業に寄与しているとして、輸出規制の対象を産業用エンジンや建設用の大型機械などにも拡大するほかロシア最大の金融機関「ズベルバンク」や「ガスプロムバンク」などの幹部を新たに制裁対象に加えるとしています。
会談の後の共同会見でトルドー首相は、ウクライナへのさらなる支援として小型の武器や弾薬などに加えて地雷の撤去作業のための資金を提供することや、新たな制裁をプーチン大統領に近い「オリガルヒ」と呼ばれる富豪らに科すことなどを表明しました。 会談に先立ってトルドー首相は、ロシア軍による激しい攻撃にさらされたキーウ近郊のイルピンを訪れ、破壊されたアパートなどを視察したほか、キーウにあるカナダ大使館を訪れてカナダの国旗を掲げ、一時的に停止していたキーウでの大使館業務を再開することを発表しました。
そのうえで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「プーチン大統領は、残忍な侵略戦争をナチスとの戦いと同じだとしているが、歴史のわい曲で忌まわしい」と強く非難しました。 そして「われわれは史上初めて非常に多くの兵器を戦地に送り、今後も続ける。自由と正義を守る」と述べウクライナへの軍事支援を続ける方針を強調しました。 5月8日はドイツにとってナチスの過去と向き合う特別な日ですが、首相の演説は異例です。 ショルツ首相としては、ロシアの戦勝記念日を前にしてウクライナを支援する姿勢を強調するとともに、国民の間で軍事支援に慎重な意見もある中で理解を求めた形です。
また、会合にあわせてイギリス政府は、ウクライナに対して新たに13億ポンド、日本円でおよそ2100億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。 砲弾の弾道を捉えるためのレーダーなどが含まれるとしています。 イギリスはこれまでにウクライナに対して15億ポンドを支援してきたとしています。
面会が行われたのはスロバキアとの国境近くのウクライナ西部の町にある国内の避難民の受け入れ施設となっている学校で、ジル氏は「この残酷な戦争を止めなければならない。アメリカの国民はウクライナの人々とともにあると示すことが重要だ」と述べました。 これに対してオレナ氏は「あなたの勇気ある行動に感謝する。私たちは皆さんの支援やアメリカの大統領のリーダーシップを感じている」と応じました。 ホワイトハウスによりますと、ことし2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、オレナ氏が公の場に姿を見せたのは初めてだということです。
ブリンケン国務長官が、この日行われたウクライナのクレバ外相との電話会談の中で伝えたということです。 アメリカはウクライナ情勢の悪化を受け、大使館の機能をいったん隣国ポーランドに移したあと、先月26日にウクライナの西部リビウで業務を再開することを発表していました。
ここでは外国メディアが正式な許可を受けて取材することが難しく、NHKは中心都市ティラスポリで8日に撮影された映像を独自のルートで入手しました。 地元当局は先月下旬、電波塔が破壊されるなど緊張感が高まっていることを受けて、毎年5月9日に行われている戦勝記念日のパレードの中止を発表していますが、市街地には当時兵士として戦った軍人たちの写真やロシアの国旗をイメージした飾りが掲げられていました。 道行く若い女性もモルドバ政府が禁止している黒とオレンジ色でデザインされたロシアの勝利の象徴「ゲオルギー・リボン」を胸につけていました。 市民の男性は「祖父が兵士として戦いました。戦勝記念日は私にとって名誉な日です」と話していました。 一方、女性は「戦勝記念日は家族にとって最も重要な祝日ですが、ウクライナの緊迫した雰囲気は隠しようもありません。この土地が危険にさらされることのないよう願いたい」と話していました。
ボノさんたちは代表作の「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」などを熱唱し、集まった人たちは体を揺らしながら静かに聞き入ったり、演奏が終わると拍手を送ったりしていました。 U2はツイッターの公式アカウントでメッセージを発表し、今回の演奏はウクライナのゼレンスキー大統領の招待で実現したと明らかにしました。 ボノさんは歌の合間「ウクライナの人々は自分たちだけでなく、自由を愛する私たち、皆のために戦っている」と語りかけ、軍事侵攻への抵抗を続けるウクライナの人たちを激励しました。
また、市民の避難が完了したとされる製鉄所について「最悪なのは、ウクライナの指導部からも国際機関からも誰も製鉄所に来なかったことだ。地下室も防空ごうも調べず、さらに民間人がいるかどうかの確認もしていない。ここにもっと多くの民間人がいる可能性はあるし、がれきの下に何十もの遺体がある可能性もある」と述べました。 そのうえで「任務の遂行を続けている兵士たちも適切な治療を受ける必要がある」と述べて、けがをした兵士たちなどについても避難が必要だと訴えました。 ウクライナのゼレンスキー大統領は7日に公開した動画で、製鉄所から女性や子どもなど300人以上が救助されたと述べたうえで「私たちは避難の第2段階を準備している。負傷者や衛生兵が対象だ」などとして、けがをした兵士などの避難も必要だという考えを示しています。
そして、ナチス・ドイツが第2次世界大戦中、ウクライナやヨーロッパ各国に行った侵略の歴史にふれたうえで「われわれの軍隊や国民はナチズムに勝利した人々の子孫なのだから、再び勝利を収める」と述べ、ロシアに屈しない姿勢を改めて強調しました。
首都キーウにある第2次世界大戦の記念碑には、8日、人々がカーネーションなどの花を持って次々と訪れ、戦争で亡くなった人たちに思いをはせていました。 このうち、会社経営者のナタリア・コニフツェワさん(76)は、「5月9日は、ソビエト時代に記念日に定められたものです。ロシアがウクライナに軍事侵攻している今の状況を考えても、5月8日こそが記念日です」と話していました。 また、東部のハルキウから来たアンリ・アボヤンさん(34)は「5月9日を記念日として祝うことはしません。私たちにとって5月8日は、みずから犠牲となり将来への希望を与えてくれた人たちへの尊敬の念を示す日です」と話していました。 一方、激しい戦闘が続く東部のマリウポリから来た男性は「なぜ戦争が始まったのか理解できません。ロシアがウクライナの人々に対して行っていることはジェノサイドです。故郷のマリウポリには両親が残ったままで、連絡もとれません」と話し、涙を流しました。
そして、資産凍結の対象におよそ140人の個人を追加したことをはじめとするロシアへの制裁措置や、ウクライナや周辺国に対する支援の実施状況を説明し、G7が連携して対応を強化していくことが重要だという認識を示しました。そのうえで、「エネルギー資源の大半を輸入に頼っている日本としては厳しい決断だが、G7の結束が何よりも重要な時だ」と述べ、今回の首脳声明も踏まえロシア産の石油を原則禁輸する方針を表明しました。
このなかで「ロシアで5月9日となっている戦勝記念日は、当時のソビエトの指導者スターリンがファシズムに対する勝利に特別な貢献をしたと誇示するために考え出した」と述べました。 そして、ウクライナでは2015年以降、ほかのヨーロッパ各国と同様に、5月9日ではなく前日の8日に記念の行事が行われていると指摘しました。 その理由については「2014年のロシアによるクリミアの一方的な併合や、ウクライナ東部での混乱を受けて、ウクライナで反ロシア感情が高まったことが背景にある」と述べました。 またビアトロビッチ氏は「プーチンは今回の戦争で、『ウクライナのナチスと戦っている』と発言している。これは、5月9日に関するソビエト時代のプロパガンダを利用しているにすぎない」と述べ、プーチン大統領がナチス・ドイツとの戦いとウクライナへの軍事侵攻を同一視するような主張を一方的に展開していると非難しました。
このうち、年金生活者のペトロ・ドロトゥさん(84)は「私の家族のうち9人が第2次世界大戦で亡くなったので、以前はこの日は大切な記念日だった。しかしそれはもう過去の話だ。残念ながらロシアとの戦争が続いている今、もはや祝うべき日ではなくなった」と話していました。 そのうえで「ロシア人たちが祝いたいなら、そうさせておけばいい。それはロシアの都合であり、ロシアの指導部の勝手だ」と述べました。 そしてペトロさんの妻のジーナさん(83)は「今では、ウクライナではほかのヨーロッパの国々と同じように、5月8日を犠牲者を追悼する日にしている」と話し、8日の日付が重要だと強調しました。 また、地元のインターネットメディアで働くジャーナリストのオレクサンドラ・ポボローズニクさん(28)は「ロシアは第2次世界大戦に勝利した日として祝うだろうが、皮肉なことだ。マリウポリの悪夢のような惨状を見れば、ロシア軍がやっていることはナチス・ドイツよりもひどいことがわかる」と批判しました。 さらに法律家のヤニーナ・ティシェンコさん(31)は「『ファシズムに勝った日』があってもいいが、今、ロシアがやっていること自体がファシズムそのものだと思う。軍事侵攻が始まった2月24日までロシアに対する敵対心はなかったが、ファシズム国家がファシズムに勝ったと祝うようなことはあってはならない」と批判しました。 一方、ロシア系住民が多く暮らし、ロシアの影響力が比較的強い東部ドネツク州出身のドミートリ・ブラトツェフさん(23)は「5月9日はロシアでもウクライナでも戦勝記念日であることに違いはない。あの戦争ではロシア人もウクライナ人も当時のドイツ軍との戦いに参加した。記念日が悪いわけではない」と一定の理解を示しました。
ガルリャモフ氏は2016年までロシア大統領府に所属していましたが、その後政権批判に転じ、ロシアがウクライナへ軍事侵攻を始める前に身の危険を感じてロシアを離れ、現在はイスラエルにいるということです。 ガルリャモフ氏は戦勝記念日に行われる軍事パレードに関して「プーチン政権下のロシアは兵器を見せつけて世界を脅し、わが軍がいかに偉大かと誇示してきた」と政権のねらいを分析しました。 そのうえで「プーチンの正当性は、自分は強く、常に相手を打ち負かし、ほしいものを手に入れるという力の概念に基づいている」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻にはこうしたプーチン大統領の考えが背景にあると指摘しました。 ただ、軍事侵攻についてガルリャモフ氏は「真に正当な戦争とは敵の攻撃に対して身を守るウクライナのほうだ。ロシアの場合は『なぜ私たちは戦っているのか』という疑問が存在する」と述べ、多大な犠牲を払って祖国を守ったとする第2次世界大戦とは根本的に異なるという認識を示しました。 そして、ウクライナ側の激しい抵抗で劣勢も伝えられる現状について「戦場で勝利できていないことがわかった今、ショックを受けている。それこそが大統領や側近が直面している喫緊の問題だ」と指摘し、プーチン政権が動揺していると分析しました。 こうした中で、プーチン大統領が「戦争状態」を宣言し、ロシア国民が総動員される可能性も指摘されていることについては「問題は戦場の人員不足ではなく、ウクライナが国際社会の支援で強くなったことだ。新兵を送り込んでも戦死者がさらに増えるだけだ」と指摘しました。 そのうえで「国民はソファーの上にいる間なら政権の行動に賛成するが、それ以上ではない。政権や愛国心のために自分を犠牲にすることは決してない」と述べ、むしろロシア国内で反戦の機運を高めることにつながるという見方を示しました。 さらに欧米などの制裁の影響が市民生活に出始めているとして「この戦争が長引けばあっという間に不人気になる」と述べ、軍事侵攻の長期化によってプーチン大統領への支持が落ち込んでいくという考えを示しました。 ただ、政権による情報統制を恐れて国民が声をあげられない現状を踏まえ「強権的なプロパガンダの成功は恐怖に基づくものだ。ナチス・ドイツでもそうだったし、ここでも同じだ」と述べ、ナチス・ドイツに勝利した日を祝うプーチン政権が、同じことを繰り返していると皮肉りました。
この中でプーチン大統領は「われわれの共通の義務はさまざまな国の人々に多大な苦痛をもたらしたナチズムの復活を防ぐことだ」と述べたということです。 また、ロシアが一方的に国家承認したウクライナ東部2州の親ロシア派の武装勢力の指導者らに対しては「ロシア軍の兵士は彼らの先祖のように、ナチスの汚物から領土を解放するためにともに戦っている。1945年と同様、勝利はわれわれのものになるという確信を示した」としていて、ウクライナへの軍事侵攻を改めて正当化し、ロシアが勝利すると呼びかけたとしています。 さらにロシア大統領府は、プーチン大統領からウクライナの市民や第2次世界大戦の退役軍人に向けたとするメッセージも掲載しました。 このなかでプーチン大統領は「私たちの共通のすばらしい休日である勝利の日を心から祝福する」とする一方で「残念ながらいま再びナチズムが頭をもたげ、野蛮で非人道的な統治を行おうとしている。私たちの神聖な義務は、『大祖国戦争』の敗北者の思想を受け継いだ者たちによる復しゅうを阻止することだ」と述べ、軍事侵攻の目的がウクライナのネオナチ集団との戦いだと主張しています。
ロシア国防省は、ことしの軍事パレードについて28の都市で実施されると発表し、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアでもロシアによる軍事パレードを行うとしています。 首都モスクワのパレードでは131の兵器が披露される予定で、なかには、アメリカのミサイル防衛網に対抗するICBM=大陸間弾道ミサイルの「ヤルス」や、ウクライナへの攻撃でも使用されている短距離弾道ミサイルの「イスカンデル」など、核弾頭も搭載できるロシア製のミサイルが登場するということです。 さらにことしは、戦後77年にちなんだ77機の戦闘機や軍用ヘリコプターなどが参加するということです。 このうちロシアの主力戦闘機の「ミグ29」は、8機が「Z」の文字を表す編成で飛行するとしていて、ウクライナへの軍事侵攻を支持する象徴となっている「Z」を用いて国民にも支持を訴える演出となっています。 また、核戦力による戦争など非常時に大統領などが乗り込み、上空から部隊を指揮することから「終末の日の飛行機」とも呼ばれる特別機「イリューシン80」も飛行することになっています。 プーチン大統領は核兵器を使用する可能性も辞さない構えを示していて、軍事パレードでは核大国であることを誇示し、ウクライナを支援するアメリカをはじめNATO=北大西洋条約機構の加盟各国をけん制するねらいもあるとみられます。
なかでもナチス・ドイツとの戦いはロシアでは「大祖国戦争」と呼ばれ、苦難の末に勝利した栄光の日と位置づけられています。 こうした歴史はロシアの学校現場でも詳しく教えられていて、5月9日はロシアの人たちがソビエト軍の功績や戦争に加わったそれぞれの祖先に思いをはせるなど、愛国心が最も高まる日とされています。 毎年この日は首都モスクワにある赤の広場で記念式典が開かれ、このうち2005年の60周年の式典には欧米を含む50か国以上の首脳が出席し、戦勝国・敗戦国を問わず犠牲者を追悼するなど、平和に向けた国際社会の結束が誓われました。 このように「戦勝記念日」は「追悼と和解」の象徴という側面もありましたが、プーチン政権は近年、この祝日を国威発揚の場として利用する傾向が強まっています。 ロシアのラブロフ外相は今月1日に公開されたインタビューで「ロシア軍は、戦勝記念日を含む特定の日にもとづいて行動を調整することはない。5月9日はいつものように厳粛に祝う」と述べ、1つの節目ともみられてきたこの記念日のあとも戦闘が継続されるという見方を示しています。
プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻を続ける理由として、ゼレンスキー政権が「ネオナチ」だと一方的に主張し、ロシア系住民を保護する必要性を強調しています。 プーチン大統領としては、ナチス・ドイツに勝利した先の大戦と重ね合わせることで、軍事作戦に対する支持を国民に訴えるのではないかという見方も出ています。 また、戦闘が長期化する中、イギリスのウォレス国防相などは、プーチン大統領が演説の中で「戦争状態にある」と宣言し、ロシアの国民を大量動員する可能性に言及しています。プーチン大統領が国威発揚を演出する式典でどのような演説を行うのか関心が集まっています。 一方、演説の後、赤の広場では1万人以上の兵士が行進し、最新兵器なども披露される軍事パレードが行われます。この中では、核戦力による戦争など、非常時に大統領などが乗り込んで部隊を指揮する「終末の日の飛行機」とも呼ばれる特別機「イリューシン80」も飛行する計画となっています。核兵器が使用される事態を想起させることで、ウクライナを軍事支援する欧米側を強くけん制する狙いもあるとみられます。 また、ロシア側は、軍事侵攻で掌握したと主張するウクライナの地域でも式典を開催する可能性が伝えられています。ロシア側が9日に行う予定の一連の行事は、軍事侵攻の見通しや、ウクライナでの支配を既成事実化させようとする動きを見る上でも重要な意味を持つとみられます。
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