衆議院政治倫理審査会では17日から自民党の関係議員15人に対する審査が公開で行われています。
18日は午前中、5年間に896万円の不記載があった、旧安倍派の柴山元文部科学大臣が出席しました。
柴山氏は、所属議員がノルマを上回って派閥のパーティー券を販売した場合、超過分の還付=キックバックを受けていたことについて「2013年まではノルマ以上の販売分は派閥からの寄付という形で、自分の事務所と派閥側の双方の収支報告書に記載し、法的に全く問題ない対応をとっていた」と述べました。
その上で「2014年ごろに派閥事務局から秘書に対し『今後、寄付は収支報告書に計上しないので、同様の対応をしてほしい』と要請があった。不審に思い、『本当に法的に問題ないか。従来どおり寄付として双方で計上する運用をお願いできないか』と問い合わせたが、事務局からは『法的に問題ない処理を行っている。ほかの事務所と横並びの対応を取ってほしい』との指示があった」と、収支報告書への記載をやめた経緯を説明しました。
一方、違法性の認識については、かつて派閥からの寄付をめぐり、国会で追及を受けた先輩議員が「党からの『政策活動費』として収支報告書に記載しない対応が正しい」という趣旨の答弁をしたことから、釈然としない思いを持ちながらも、法的に問題ないという整理をしたと明らかにしました。
還付を受けた資金については、パーティー券の販売でノルマに達成しない場合に備え、「預かり金」として事務所で保管していたと説明しました。
また、836万円の不記載があった関芳弘氏は、派閥から超過分を還付される仕組みを知ったのは、ノルマを達成するようになってきた2017年か2018年ごろになってからで、派閥から収支報告書に記載しなくていいという指示を受けたと説明しました。
その後、疑問に感じ、2022年春ごろに、派閥会長の安倍元総理大臣に対し「法的に問題があるのなら、運用を改めるべきではないか」と相談し、安倍氏は「賛同する。ほかの人からも聞いている。取り扱いを変えようと思っている」と応じたことを明らかにしました。
午前中はこのほか、280万円の不記載があった鈴木英敬氏も出席しました。
午後は、旧安倍派で「5人衆」と呼ばれた有力議員の1人で元政務調査会長の萩生田光一氏ら4人が出席します。
==衆院政倫審 18日に審査の7人==
柴山氏 おととしまでの5年間に896万円の不記載
柴山昌彦氏は、衆議院埼玉8区選出の当選8回で59歳。
旧安倍派に所属していました。
会社員を経て、弁護士として活動し、2004年の衆議院の補欠選挙で初当選し、これまでに文部科学大臣や党の幹事長代理などを務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととし 2022年までの5年間に896万円の収支報告書への不記載があったと党に報告し、ことし4月に「戒告」の処分を受けました。
柴山氏は、先の衆議院選挙では比例代表との重複立候補は認められませんでしたが党の公認を得て、小選挙区で当選しました。
審査会への出席については先月、「選挙で洗礼を受けた形で国会に来ており、野党に言われたからといって出席するのは筋が違う」と述べ、慎重な姿勢を示していましたが、今回、出席することになりました。
鈴木氏 おととしまでの5年間に280万円の不記載
鈴木英敬氏は、衆議院三重4区選出の当選2回で50歳。
旧安倍派に所属していました。
経済産業省の職員を経て三重県知事を10年余り務めたあと、2021年の衆議院選挙で初当選し、これまでに内閣府政務官などを務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に280万円の収支報告書への不記載があったと党に報告しています。
鈴木氏は党の処分は受けておらず、先の衆議院選挙では党の公認を得ました。
比例代表との重複立候補は認められませんでしたが、小選挙区で当選しました。
関氏 おととしまでの5年間に836万円の不記載
関芳弘氏は、衆議院兵庫3区選出の当選6回で59歳。
旧安倍派に所属していました。
銀行員を経て、2005年の衆議院選挙で初当選し、これまでに経済産業副大臣や環境副大臣などを務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に836万円の収支報告書への不記載があったと党に報告し「戒告」の処分を受けました。
関氏は、先の衆議院選挙では比例代表との重複立候補は認められませんでしたが、党の公認を得て、小選挙区で当選しました。
田畑氏 おととしまでの5年間に68万円の不記載
田畑裕明氏は、衆議院富山1区選出の当選5回で51歳。
旧安倍派に所属していました。
富山県議会議員などを経て2012年の衆議院選挙で初当選し、これまでに総務副大臣や厚生労働政務官などを務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に68万円の不記載があったと党に報告しました。
田畑氏は党の処分は受けておらず、先の衆議院選挙では党の公認を得ました。
比例代表との重複立候補は認められませんでしたが、小選挙区で当選しました。
一方、田畑氏をめぐっては、支援企業の従業員を無断で党員に登録していたなどと指摘されていて、みずからの関与は否定していますが、地元の党組織との関係が悪化しています。
根本氏 おととしまでの5年間に420万円の不記載
根本幸典氏は、衆議院愛知15区選出の当選5回で59歳。
旧安倍派に所属していました。
愛知県豊橋市の市議会議員などを経て、2012年の衆議院選挙で初当選し、これまでに国土交通政務官などを務めました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に420万円の収支報告書への不記載があったと党に報告しています。
根本氏は、党の処分は受けておらず、先の衆議院選挙では党の公認を得ました。
比例代表との重複立候補は認められませんでしたが、小選挙区で当選しました。
萩生田氏 おととしまでの5年間に2728万円の不記載
萩生田光一氏は、衆議院東京24区選出の当選7回で61歳。
旧安倍派では「5人衆」と呼ばれた有力議員の1人で、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーでした。
安倍元総理大臣に近かったことでも知られています。
これまでに党の政務調査会長や経済産業大臣などを歴任しました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に2728万円の収支報告書への不記載があったと党に報告し、党が発表した関係議員ら85人の中で3番目に多い額となりました。
問題が明らかになったことを受けて、去年12月、「5人衆」の議員などが閣僚や党幹部の役職を退くことになり、萩生田氏も政務調査会長を辞任しました。
そしてことし4月、党から1年間の「党の役職停止」の処分を受け、先の衆議院選挙では自民党から公認を得られませんでした。
このため無所属で臨み、小選挙区で当選しました。
平沢氏 おととしまでの5年間に1817万円の不記載
平沢勝栄氏は、衆議院東京17区選出の当選10回で79歳。
旧二階派では事務総長を務めました。
警察庁の職員を経て、1996年の衆議院選挙で初当選し、これまでに復興大臣や党の広報本部長などを歴任しました。
大学生の頃、当時、小学生だった安倍元総理大臣の家庭教師をしていたことでも知られています。
ことし9月の自民党総裁選挙では、石破総理大臣を支援しました。
派閥の政治資金パーティーをめぐる問題では、おととしまでの5年間に1817万円の収支報告書への不記載があったと党に報告しています。
ことし4月、党から1年間の「党の役職停止」の処分を受け、先の衆議院選挙では自民党から公認を得られませんでした。
このため無所属で臨み、小選挙区で当選しました。