おととし8月つき、大学だいがくの同級生どうきゅうせいだった友人ゆうじんのインスタグラムを見みて、「投資とうしに興味きょうみがある人ひと？」というアンケートに興味きょうみを示しめすと、その同級生どうきゅうせいから“高校こうこうの同級生どうきゅうせい”だという男おとこを紹介しょうかいされました。

男おとこから投資とうし先さきと説明せつめいされたのは、海外かいがいに拠点きょてんを置おいているという会社かいしゃで、「AIを駆使くしして暗号あんごう資産しさんを運用うんようするので、投資とうしすれば多額たがくの配当はいとうが出でる」とうたっていました。

穂ほ野の香こうさんは「マルチ（商法しょうほう）ですか？」と疑うたがいましたが、男おとこはそれを否定ひていしたうえ、考かんがえる時間じかんを与あたえないかのように現金げんきんを早はやく用意よういするよう迫せまりました。

貯金ちょきんのなかった穂ほ野の香こうさんは「引っ越ひっこし代金だいきんという理由りゆうにすれば消費しょうひ者しゃ金融きんゆうで借かりられる」と指示しじされ、3社しゃから合あわせて150万まん円えんを借かりて男おとこに渡わたしてしまいました。

しかし、投資とうしグループが別べつの出資しゅっし者しゃと返金へんきんをめぐってトラブルになっていることが分わかったため、返金へんきんを求もとめましたが断ことわられたということです。

その後そのご、心療しんりょう内科ないかを受診じゅしんし、「うつ病うつびょう」と診断しんだんされるなど精神せいしん的てきに不安定ふあんていな状態じょうたいが続つづき、おととし10月つき、みずから命いのちを絶たちました。

母親ははおやに宛あてた遺書いしょには「投資とうし詐欺さぎの件けんで沢山たくさん迷惑めいわくをかけ、心配しんぱいをかけてしまって本当ほんとうにごめんなさい」などと記しるされていました。

穂ほ野の香こうさんは2歳さいのときに両親りょうしんが離婚りこんし、父親ちちおやから養育よういく費ひがほとんど払はらわれない中なか、母親ははおやの苦労くろうを見みながら育そだったといいます。

社会しゃかい人じんになり、自身じしんの奨学しょうがく金きん400万まん円えんの返済へんさいも始はじまる予定よていでした。

母親ははおやは、投資とうしは自己じこ責任せきにんだとしたうえで、決けっして裕福ゆうふくではなかった家庭かてい環境かんきょうの中なかで、少すこしでもお金おかねを得えたいという気持きもちがあり、そこにつけ込つけこまれたのかもしれないと話はなしました。

穂ほ野の香こうさんが亡なくなってからおよそ1年ねん後ご、警視庁けいしちょうがグループの強制きょうせい捜査そうさに乗り出のりだし、国くにに無む登録とうろくで投資とうしを募つのったとして金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう違反いはんの疑うたがいで50代だいのメンバーらが逮捕たいほされ、その後そのご、執行しっこう猶予ゆうよ付つきの有罪ゆうざい判決はんけつを受うけました。

また、穂ほ野の香こうさんを勧誘かんゆうした20代だいの男おとこも刑事けいじ告発こくはつされ、金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう違反いはんの罪つみで略式りゃくしき起訴きそされました。

穂ほ野の香こうさんが150万まん円えんを渡わたしたあと、知人ちじんの男性だんせいとともにグループの男おとこらに対にたいし、「誰だれが誰だれにお金おかねを渡わたして、どういうルートで入はいっているか」などと言いい、出資しゅっしした証拠しょうこを預あずかり証しょうなど、書面しょめんの形かたちで提示ていじするよう求もとめています。

しかし男おとこらは、「領収りょうしゅう書しょは入金にゅうきんしたら運営うんえい会社かいしゃが出だすもので、自分じぶんたちにはできない」などと言いって応おうじません。

知人ちじんの男性だんせいが「金きんの流ながれが不透明ふとうめいすぎる」として穂ほ野の香こうさんが出資しゅっしした全額ぜんがくを返金へんきんするよう求もとめますが、「なんで？」と笑わらいながら答こたえています。

そして男おとこらは「穂ほ野の香こうさんは自分じぶん自身じしんでいろいろな人ひとに話はなしを聞きいたうえで、確信かくしんをもって、透明とうめい性せいを自分じぶんで判断はんだんした」と述のべていました。