文部科学省の
局長級の
幹部が
相次いで
起訴された
汚職事件で、
NHKはともに
起訴された
医療コンサルタント
会社の
元役員と
複数の
省庁の
官僚などとの
やり取りを
記録した25
時間を
超える音声データを
独自に
入手しました。
この中には
文部科学省の
前局長と
東京医科大学の
前理事長との
裏口入学をめぐる
やり取りの
ほか、
スポーツ庁の
事業で
担当の
幹部らと
何度も
接触する
様子などが
記録されていました。
NHKが
独自に
入手したのは
文部科学省をめぐる
事件で
贈賄などの
罪で
起訴された
医療コンサルティング
会社の
元役員、
谷口浩司被告(47)らが
去年4月から
9月にかけて
複数の
省庁の
官僚などとの
やり取りを
記録した25
時間を
超える音声データです。
音声データには、谷口元役員らと文部科学省や総務省など複数の省庁の少なくとも5人の官僚とのやり取りが記録されています。
このうち、去年5月10日のデータには谷口元役員のほか、東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を不正に合格させたとして先月、受託収賄の罪で起訴された文部科学省の前局長、佐野太被告(59)と東京医科大学の理事長だった臼井正彦被告(77)が東京都心の高級料亭で会食している様子が記録されています。
この中で臼井前理事長は直前の入試で不合格になった前局長の息子の試験結果を説明したうえで、「あと10点欲しかったですね」とか「来年は絶対大丈夫だと思います。ぜひうちに予約しておいでください」などと話していて、ことしの入試で息子の裏口入学を約束していたことをうかがわせる内容が記録されていました。
一方、臼井前理事長は前の年に落選した文部科学省の私立大学の支援事業の選定で便宜を図ってもらうことを佐野前局長に求めていて、前局長は申請書類の書き方について「要はどうやってだますかです」などと述べていたほか、担当の職員を大学側に紹介することを約束したうえで、「私の名前は絶対に言わないで」などと口止めする様子も記録されていました。
谷口元役員は去年4月に発足したスポーツ界のコンプライアンスの向上を目的にした団体の設立にも関わり、昨年度、スポーツ庁の事業をおよそ400万円で受注していましたが、音声データの中にはこの事業の公募が締め切られる直前にスポーツ庁の幹部らと何度も接触していた様子も記録されています。
この中で谷口元役員はスポーツ庁の幹部から提出する企画書の書き方について指南を受けていたほか、公募締め切りの前日にはスポーツ庁の幹部が「募集枠がトータル3件のところに4件出てきそうな感じ」と述べるなど、ほかの団体の募集状況を谷口元役員に事前に伝えている様子も記録されていました。
25時間を超える音声データからは、谷口元役員が官僚との接触を繰り返し、みずからが進める事業を有利に進めようとしていた実態が浮かび上がっています。
昨年度からコンプライアンス事業
相次ぐスポーツ選手や競技団体の不祥事に対して、スポーツ庁はコンプライアンスの啓発などを外部のスポーツ関連団体に委託する事業を昨年度から行っています。
この事業について、スポーツ庁は東京オリンピックを前にさらに啓発活動などを進める必要があるとして、およそ5000万円を来年度の概算要求に盛り込むことを決めました。
一方、昨年度、この事業にはおよそ2000万円の予算が計上され、公募の結果、4つのスポーツ関連団体が委託先に選ばれました。
この1つには文部科学省の一連の汚職事件で贈賄の罪で起訴された谷口浩司被告が役員だった団体も含まれ、スポーツ庁からおよそ400万円が支払われていました。
この応募に際し、当時のスポーツ庁の幹部が谷口被告に企画書の書き方を指南したり、他の団体の応募状況を事前に伝えたりする様子がNHKが入手した音声データに記録されていました。
スポーツ庁は「事実だとすれば、捜査に関わることなのでコメントは差し控えたい」と話しています。