男性はその後、近くにある無人島の端島に自力で泳いで上陸し、救助を待ち続けたということです。
そして、29日朝6時半ごろ、男性が、端島にある灯台付近で手を振っているのを、近くを通りかかった遊漁船の船長が発見し、通報を受けた海上保安庁の巡視艇などが1時間後に男性を救助しました。
海上保安部によりますと、男性は島に泳ぎ着いた時には体力を消耗していて、大きな声で助けを求めることもできず、28日は横になって休養していたということですが、けがはなく、29日朝、救助された後、帰宅したということです。
海上保安部は男性が海中に転落した詳しいいきさつなどについて調べることにしています。
西戸崎を出た5分後に転落か
男性は27日の午後8時に博多港を出て、8時半に志賀島に到着する渡船に乗りました。
渡船はその途中の午後8時15分に福岡市東区の西戸崎の港に立ち寄っていて、海上保安部によりますと、西戸崎を出た5分後に男性が転落したと見られるということです。
目撃した人はなく、夜間で周囲も暗かったことで、男性がどの海域で転落し、端島までどれくらいの距離を泳いだのか詳細はわかっていませんが、時間などから比較的端島に近い海域で転落したとみられます。
男性を見つけた船長「助かってよかった」
島にいる男性を見つけ、海上保安庁に通報した遊漁船の船長の岩室拓弥さん(29)は「どうしたんですかと男性に聞いたら、船から落ちたと言っていて、会社員のスーツ姿だったのでこれは本当だろうなと思った。1日半も島にいて、この時期に飲まず食わずの状況だったのは相当きつかっただろうと思う。本当に助かってよかった」と話していました。
島の周りは浅瀬で、遊漁船は島に接岸することができなかったことから、船から降りて泳いで島にたどり着いた釣り客が、男性にペットボトルの水を手渡したということで、釣り客は「男性はごくごくと勢いよく水を飲んでいた」と話していました。
端島 700mほど沖合の無人島
男性が2晩を過ごした端島は、福岡市東区の西戸崎から700メートルほど南の沖合に浮かぶ無人島です。
面積がおよそ6000平方メートルの小さな島で、船の航路の道しるべとして灯台が設置されているほかは、大部分は草木に覆われています。
島の近くでは、博多港と、志賀島や玄界島などを結ぶ渡船の航路となっているほか、漁船なども行き交っています。
また、この海域では先月までの2か月間でシュノーケリングなどに来た、合わせて3人が溺れて死亡する事故が起きています。