東京医科大学の
不正入試問題を
受けて
文部科学省が
全国に81
ある医学部の
入試を
調査した
結果、
男子の
合格率が
女子を
上回る大学が
全体の
8割近くに
上ることがわかりました。
文部科学省は、
ほかの
学部の
傾向と
異なるとして、さらに
詳しく
調査することにしています。
東京医科大学の
入試で
女子の
受験生の
得点を
一律に
減点する
などの
不正が
行われていたことを
受けて、
文部科学省は
医学部の
ある全国81の
大学で
入試に関する
調査を
実施し、
4日、
中間結果を
公表しました。
それによりますと、合否判定に性別や年齢で違いを設けたり、特定の受験生に点数を加算したりするなど、現時点で不正を行ったことがあると認めた大学はありませんでした。
一方、過去6年間の合格率を男女で比較すると、女子を1とした場合に男子の合格率が高かった大学は、順天堂大学が1.67、次いで昭和大学と東北医科薬科大学が1.54、日本大学が1.49などでした。
このように男子が女子を上回った大学は合わせて63校で、全体の77%に上っていました。
文部科学省は「男女の合格率の違いにはさまざまな要因があり、一概に問題とは言えないが、ほかの学部では女子の合格率が高い傾向にある」として、今後、各大学から聞き取りをするなど、詳しい調査を実施し、来月、最終結果を公表することにしています。
合格率の男女比 男子が高かった大学
過去6年間の合格率を男女で比較すると、女子を1とした場合に男子の合格率が高かった大学は以下のとおりです。
▽順天堂大学が1.67
▽昭和大学と東北医科薬科大学が1.54
▽日本大学が1.49
▽九州大学が1.43
▽慶應義塾大学が1.37
▽大阪市立大学が1.36
▽埼玉医科大学が1.35
▽新潟大学が1.33
▽筑波大学、岡山大学、高知大学が1.32、
▽大阪医科大学が1.30などとなっています。
今回の結果について、順天堂大学は「現時点では調査結果についてのコメントは差し控えます」としています。
昭和大学は「試験の結果によるものと考えている」とコメントしています。
また、東北医科薬科大学は「男子で比較的多い浪人生の合格率が高いことが理由の1つと考えられる」としています。
日本大学は「1次の筆記試験の合格者では男子が女子より学力が高い傾向で、2次の小論文や面接の試験でも同様の傾向が表れている」と説明しています。
さらに、九州大学は「男女の区分なく合否判定を行っているため、男子の合格率が女子を上回る理由は特に把握していない」としています。
女子受験生「納得いかない」
今回の結果について、医学部入学を目指している高校2年の女子生徒は「東京医科大学のように一律に減点する方法ではないにしても、女子が入りにくい操作があるのではないかと疑ってしまいます。自分が入学制限される対象になるかもしれないという不安が大きいです。医師になりたくて頑張っているのは女子も男子も一緒なので、性別で差を付けられることは納得がいかないし、とても悔しいです」と話しました。
女子生徒は、外科医として働く母親の姿を見て医師を目指すことを決めたといいます。
女子生徒は「母は私を育てながら外科医の仕事も両立させてきたので、仕組みが整っていれば、働きながら子育てをすることは不可能ではないと思います。女性が将来、辞めるかどうかもわからないのに、最初から決めつけて落とされるのはあってはならないことで、どうしたら女性が働きやすい環境になるか工夫してほしいです」と話していました。
専門家「病床数多い大学という共通点」
医学部の入試に詳しい医学部専門予備校の武林輝代表は「医学部入試では2次試験の面接や小論文の採点方法があいまいで不透明だが、今回の結果では、そうした区別ができないため、詳細な分析はできない。ただし、今回の調査で、男子の合格率が女子より高かった大学は付属の大学病院の病床数が多く医師の数を安定して確保しなければいけないという共通点がある。女子より男子の医師が働き手なるという偏見が入試に影響していないのか、今後、個別の大学に対し、実効性のある調査が必要だ」と話しています。