東京とうきょう五輪ごりんパラ ボランティア 大学だいがくの半数はんすうが単位たんい認定にんていを検討けんとう

文部もんぶ科学かがく省しょうもことし７月しちがつ、全国ぜんこくの大学だいがくに学生がくせいのボランティアの参加さんかを促うながす通知つうちを出だしています。

この学生がくせいのボランティアについてＮＨＫえぬえいちけいは、都内とないの国公私立こっこうしりつ138の大学だいがくにアンケートを実施じっしし、86％に当にあたる119校こうから回答かいとうを得えました。

このうち、学生がくせいのボランティア参加さんかについて大学だいがくの考え方かんがえかたを尋たずねたところ「学生がくせいの自主じしゅ性せいに任まかせる」が50校こう、「積極せっきょく的てきに参加さんかしてほしい」は48校こうで、自主じしゅ的てきな参加さんかを求もとめる大学だいがくが僅わずかに上回うわまわりました。

一方いっぽう、ボランティアに参加さんかできるよう大会たいかい期間きかん中ちゅうの授業じゅぎょうや試験しけん日びをずらすことを検討けんとうしているか聞きいたところ「その予定よていがある」などと答こたえた大学だいがくは79校こうで、全体ぜんたいの66％に上のぼりました。

さらにボランティアへの参加さんかを単位たんいとして認みとめるかどうか聞きいたところ「認定にんていする予定よていがある」と答こたえたのが亜細亜あじあ大学だいがくや日本にっぽん体育たいいく大学だいがくなど４よん校こう、「検討けんとうしている」が55校こうで、全体ぜんたいのほぼ半数はんすうの49％の大学だいがくが単位たんい認定にんていすることを検討けんとうしていました。

大学だいがく教育きょういくに詳くわしい東京とうきょう大学だいがくの小林こばやし雅之まさゆき教授きょうじゅは「ボランティアは本来ほんらい、自発じはつ的てきに参加さんかすべきものであり、災害さいがいなどのボランティアとオリンピックとではそもそも性質せいしつが異ことなる。大学だいがくが学生がくせいに対にたいし、単位たんいで誘導ゆうどうするようなやり方やりかたはのぞましくない」と指摘してきしています。

対応たいおう分わかれる大学だいがく

東京とうきょう大会たいかいのボランティアは学生がくせいの自主じしゅ性せいに任まかせるべきか、それとも、大学だいがくとして積極せっきょく的てきな参加さんかを望のぞむべきか、大学だいがくの間まで対応たいおうは分わかれました。

「学生がくせいの主体しゅたい性せいに任まかせる」と回答かいとうした49の大学だいがくのうち、武蔵野むさしの美術びじゅつ大学だいがくは「人員じんいん確保かくほのためには、大学だいがくの協力きょうりょくが不可欠ふかけつである点てんは理解りかいするが学生がくせいが参加さんかするかどうかについては、自主じしゅ的てき判断はんだんに委ゆだねるべき」としています。

桐朋とうほう学園がくえん大学だいがくは「文部もんぶ科学かがく省しょうの指導しどうで、授業じゅぎょう日数にっすうをこなすため、大学だいがくは祝日しゅくじつにも授業じゅぎょうして何なんとかやりくりしているのが実情じつじょうだ」として、授業じゅぎょうの変更へんこうやボランティアの単位たんい認定にんていは行おこなわない方針ほうしんです。

一方いっぽうで「学生がくせいに積極せっきょく的てきに参加さんかしてほしい」と回答かいとうした47の大学だいがくのうち、早稲田わせだ大学だいがくは「世界せかいのトップアスリートに触ふれることや、各国かっこくの人ひととの異い文化ぶんか交流こうりゅうは、授業じゅぎょうや留学りゅうがくでは得えられない貴重きちょうな経験けいけんとなる」としています。

また、杏林きょうりん大学だいがくは「ボランティア精神せいしんを育成いくせいし、責任せきにん感かんや対応たいおう力りょくをかんようする、またとない機会きかいになる」としています。

すでに授業じゅぎょうや試験しけんの日程にっていを変更へんこうすることを決きめた国士舘こくしかん大学だいがくは「より実践じっせん的てきでグローバルな体験たいけんと知見ちけんに触ふれる絶好ぜっこうの機会きかいにしてほしい」としています。

学生がくせいの積極せっきょく的てきな参加さんかを望のぞむ大学だいがくは

アンケートで「積極せっきょく的てきに参加さんかしてほしい」と回答かいとうした大学だいがくの１ひとつ、東京とうきょう・武蔵野むさしの市しの「亜細亜大学あじあだいがく」です。

亜細亜あじあ大学だいがくは「自助じじょ協力きょうりょく」という建けん学がくの精神せいしんを踏ふまえて、ことし１月いちがつに学内がくないにボランティア養成ようせいを進すすめるプロジェクトチームを立たち上あげました。

ボランティアの情報じょうほうを発信はっしんするためのブースを設もうけて「アジ・ボラタイムズ」という専用せんようの学内がくない誌しの発行はっこうも始はじめています。

大学だいがくはオリンピック期間きかん中ちゅうは授業じゅぎょうや試験しけんを行おこなわないことをすでに決定けっていしているほか、全ぜん学部がくぶ共通きょうつうの科目かもくとして、ボランティアへの参加さんかを単位たんい認定にんていすることも決きめています。

亜細亜あじあ大学だいがくの栗田くりた充たかし治ち学長がくちょうは「学生がくせいの間まからは参加さんかしたいが心配しんぱいの声こえも上あがっていて、彼かれらを後押あとおしする意味いみでも授業じゅぎょう日びの変更へんこうなどを決きめた。人生じんせいの中なかでも価値かちのある学まなびの場ばにしてほしい」と話はなしていました。

ボランティアサークルに所属しょぞくする学生がくせいの１いち人にんは「生いきているうちに参加さんかできる機会きかいはないだろうし、さまざまな国くにの人ひとたちと関せきわれるよい機会きかいなので、ぜひボランティアに参加さんかしたいです」と話はなしていました。

戸惑とまどう学生がくせい ネットで風刺ふうし

一方いっぽうで、国くにによるボランティア参加さんかの呼よびかけに戸惑とまどう“学生がくせい”もいます。

「東京とうきょう五輪ごりん組織そしき委員いいん会かいの皆みなさんは私わたしたち学生がくせいに、やりがいあふれるボランティアの機会きかいを与あたえて下くださろうとしている」。

風刺ふうしをきかせた書き込かきこみがネット上じょうで話題わだいとなっている早稲田わせだ大学だいがく２に年ねんの松本まつもと海月くらげさんです。

松本まつもとさんは、３さん年ねん前まえの東京とうきょうマラソンにボランティアとして参加さんかするなど当初とうしょは東京とうきょう大会たいかいを楽たのしみにしていました。

しかし、競技きょうぎ場じょうの建設けんせつなどをめぐる問題もんだいや猛暑もうしょの中なかで行おこなわれる大会たいかい運営うんえいを考かんがえると、参加さんかに違和感いわかんをもつようになったといいます。

「いまどき、『貴重きちょうな経験けいけんができる』とか『やりがいがある』とか、きれいな言葉ことばだけを言いわれてもぐっとこない。精神せいしん的てきな価値かちだけじゃなく、現実げんじつ的てきな価値かちがないと学生がくせいは集あつまらないと思おもう」。

社会しゃかい人じん学生がくせいは

こうした声こえはこんな学生がくせいの人ひとたちからも。

今回こんかいのアンケートに学生がくせいのボランティア参加さんかを「慎重しんちょうに検討けんとうしたい」と記しるした「社会しゃかい情報じょうほう大学院だいがくいん大学だいがく」です。

81人にんいる学生がくせいの９きゅう割わり以上いじょうが社会しゃかい人じんや主婦しゅふです。

29歳さいの男性だんせいは「仕事しごとと学業がくぎょうの両立りょうりつでも大変たいへんなのに、さらにボランティアとなると難むずかしいです」と話はなしていました。

川山かわやま竜りゅう二に学長がくちょう補佐ほさは「教育きょういくの質しつを確保かくほしながらボランティアに参加さんかするという両立りょうりつを考かんがえないと社会しゃかい人じん学生がくせいの参加さんかは難むずかしい」と話はなしています。

外国がいこく人じんの学生がくせいは

さらに今いまや学生がくせい全体ぜんたいの１いち割わり近ちかい外国がいこく人じんの学生がくせいからも懸念けねんの声こえは聞きかれました。

インドネシアからの留学生りゅうがくせいは「大おおきなイベントなので通訳つうやくのボランティアとして参加さんかしたいと考かんがえています。ただ真面目まじめに働はたらく日本人にっぽんじんのように１いち日にち８はち時間じかんもずっと働はたらけるか心配しんぱいです」と話はなしていました。

また、韓国かんこくからの留学生りゅうがくせいは「ピョンチャンオリンピックでは寒さむさや待遇たいぐうの面めんでボランティアがボイコットして大変たいへんな問題もんだいになりました。私わたしもボランティアとして参加さんかしてみたいですが、日本にっぽんでも同おなじような問題もんだいが起おきないか心配しんぱいです」と話はなしていました。