大谷おおや翔しょう平ひら選手せんしゅ 右みぎひじ手術しゅじゅつへ 投手とうしゅ復帰ふっきまで１いち年ねん以上いじょうの見通みとおし

大谷おおや選手せんしゅは右みぎひじのじん帯じんたいを修復しゅうふくする手術しゅじゅつを受うけるように医師いしから勧すすめられ、どのような治療ちりょう方法ほうほうを選えらぶか注目ちゅうもくされていましたが、最終さいしゅう的てきに手術しゅじゅつを受うけることを決断けつだんしました。

球団きゅうだんによりますと、大谷おおや選手せんしゅは今月こんげつ30日にちのレギュラーシーズンの終了しゅうりょう後ご、最初さいしょの１いち週間しゅうかんのうちにトミー・ジョン手術しゅじゅつと呼よばれるひじのじん帯じんたいを修復しゅうふくする手術しゅじゅつをロサンゼルスで受うける予定よていで、この手術しゅじゅつを受うけるとピッチャーとして復帰ふっきするには１いち年ねん以上いじょうかかる見通みとおしです。

この発表はっぴょうのあと取材しゅざいに応おうじたエンジェルスのマイク・ソーシア監督かんとくは、大谷おおや選手せんしゅは来らいシーズン、ピッチャーとしてプレーすることはないと話はなしたうえで「ピッチングができるようになる前まえに、バッティングはできるようになる」と述のべ、来らいシーズンはバッターとしてのみプレーする見通みとおしを示しめしました。

そのうえで「投打とうだで優すぐれたプレーをしてきたので、投なげられなくなったことで喪失そうしつ感かんはあると思おもうが、それでも今こんシーズンバッターとして集中しゅうちゅうし、プレーしているのはすごいことだ」と話はなしました。

大谷おおや選手せんしゅはことし６月ろくがつに、右みぎひじのじん帯じんたいを損傷そんしょうしていることがわかり、治療ちりょうとリハビリを経へて今月こんげつ２に日にちのアストロズ戦せんでおよそ３さんか月かげつぶりにピッチャーとして試合しあいに復帰ふっきしました。

しかし、この登板とうばんのあと右みぎひじに張はりが残のこっていたため５ご日にちに検査けんさを受うけた結果けっか、じん帯じんたいに新あらたな損傷そんしょうが見みつかり、医師いしから手術しゅじゅつを勧すすめられていました。

大谷おおや選手せんしゅはこれまで、「野球やきゅうの神様かみさま」と呼よばれ投打とうだで活躍かつやくしたこともあるベーブ・ルースと重ね合かさねあわせてアメリカでも報道ほうどうされ、大リーグだいり-ぐの新あらたな歴史れきしを作つくるか注目ちゅうもくされてきましたが、二刀流にとうりゅうでの活躍かつやくは再さい来年らいねん以降いこうまでいったん持ち越もちこされることになりました。

トミー・ジョン手術しゅじゅつとは

ひじのじん帯じんたいの修復しゅうふくをはかる代表だいひょう的てきな手術しゅじゅつとして知しられるのが「トミー・ジョン手術しゅじゅつ」です。

1974年ねんにドジャースのチームドクターだった故こフランク・ジョーブ博士はかせが初はじめて成功せいこうさせ、このとき手術しゅじゅつを受うけたピッチャーの名前なまえをとって「トミー・ジョン手術しゅじゅつ」と呼よばれるようになりました。

この手術しゅじゅつでは断だん裂したり損傷そんしょうしたりしたひじのじん帯じんたいを切除せつじょし、体からだのほかの部分ぶぶんから取とったけんを移植いしょくして修復しゅうふくをはかります。

手術しゅじゅつを受うけたピッチャーは地道じみちなリハビリが必要ひつようで、多おおくの場合ばあい、試合しあいで投なげられるまで１いち年ねん以上いじょうかかっています。

大リーグだいり-ぐの日本にっぽん選手せんしゅでは、レッドソックスでプレーした松坂まつさか大輔だいすけ投手とうしゅが2011年ねん６月ろくがつに手術しゅじゅつを受うけて、大リーグだいり-ぐの試合しあいに復帰ふっきしたのは翌年よくねんの６月ろくがつでした。

現在げんざい、カブスに所属しょぞくするダルビッシュ有ゆう投手とうしゅはレンジャーズでプレーしていた2015年ねんの３月さんがつに手術しゅじゅつを受うけ、復帰ふっきは翌年よくねんの５月ごがつでした。

一方いっぽう、手術しゅじゅつのあと、バッティングの練習れんしゅうにはピッチングより早はやく取り組とりくめることから、バッターとしては先さきに復帰ふっきできるとみる医師いしもいます。

手術しゅじゅつ後ごも活躍かつやくした投手とうしゅ

「トミー・ジョン手術しゅじゅつ」を受うけたあとも活躍かつやくを続つづけたピッチャーは、日にち米べいとも数多すうたくいます。

このうち、1974年ねんに野球やきゅう界かいで初はじめてこの手術しゅじゅつを受うけ、自分じぶんの名前なまえが手術しゅじゅつ名めいについたトミー・ジョン投手とうしゅは、ドジャースやヤンキースなどで活躍かつやくした左ひだりピッチャーです。大リーグだいり-ぐ通算つうさん288勝しょうをあげ、このうち、手術しゅじゅつ後ごに勝利しょうり数すうの半数はんすうを超こえる164勝しょうをマークし、46歳さいまでプレーを続つづけた息いきの長ながい投手とうしゅとして知しられています。

また、ブレーブスで先発せんぱつ・抑おさえと大車輪だいしゃりんの活躍かつやくをみせ、90年代ねんだいにチームの黄金おうごん期きを支ささえたジョン・スモルツ投手とうしゅは手術しゅじゅつから復帰ふっき後ご、最多さいたセーブに１いち回かい、最多さいた勝しょうに２に回かい輝かがやく活躍かつやくをみせて、通算つうさん213勝しょう154セーブをマークし、トミー・ジョン手術しゅじゅつから復活ふっかつして初はじめて野球やきゅう殿堂でんどうに選えらばれたピッチャーとなりました。

また、日本にっぽんのプロ野球やきゅうでは「マサカリ投とう法ほう」で知しられる元もとロッテの村田むらた兆ちょう治ち投手とうしゅが、手術しゅじゅつ後ご、２に年間ねんかんのリハビリをへて1985年ねんに復帰ふっきし、ほかのピッチャーより間隔かんかくをあけた中なか６ろく日にちで日曜日にちようびに登板とうばんすることから「サンデー兆ちょう治ち」と呼よばれ、17勝しょう５ご敗はいの成績せいせきでカムバック賞しょうを獲得かくとく。1990年ねんを最後さいごに引退いんたいするまで通算つうさん215勝しょうまで白星しろぼしを積み重つみかさねました。

また、ヤクルトなどで活躍かつやくした荒木あらき大輔だいすけ投手とうしゅは、２に回かいのけんの移植いしょく手術しゅじゅつをへて、ほぼ４よん年間ねんかんのブランクののちに92年ねんのシーズン終盤しゅうばんに復帰ふっきし、チームの14年ねんぶりのリーグ優勝ゆうしょうと翌年よくねんの日本一にっぽんいちに貢献こうけんしました。

元もと巨人きょじんの桑田くわた真澄ますみ投手とうしゅは、1995年ねん、ダイビングキャッチを試こころみた際さいに右みぎひじのじん帯じんたいを断だん裂し、手術しゅじゅつ後ご、２に年ねん近ちかいリハビリ期間きかん中ちゅうに２に軍ぐん球場きゅうじょうで黙々もくもくとランニングを続つづけた結果けっか、走はしった後のちの芝しばがはげて道みちのようになり、「桑田くわたロード」とも呼よばれました。東京ドームとうきょうど-むのマウンドにひざまずき、プレートに右みぎひじをつけた復帰ふっき登板とうばんの試合しあいでのシーンは今いまも語かたりぐさとなっていて、10年間ねんかん、巨人きょじんでプレーを続つづけ、通算つうさん173勝しょうをマークしています。

このほか、現役げんえき投手とうしゅではソフトバンクの和田わだ毅あつし投手とうしゅが大リーグだいり-ぐ時代じだいに手術しゅじゅつを受うけ、帰国きこく後ごに15勝しょうをあげて最多さいた勝しょうに輝かがやいたほか、阪神はんしんの藤川ふじかわ球児きゅうじ投手とうしゅも同おなじように大リーグだいり-ぐ時代じだいに手術しゅじゅつを受うけ、帰国きこく後ご、今こんシーズンも含ふくめて100試合しあい以上いじょうに登板とうばんする活躍かつやくをみせています。

復帰ふっきまでどの程度ていどかかるのか

大谷おおや選手せんしゅがひじのじん帯じんたいの修復しゅうふくをはかる「トミー・ジョン手術しゅじゅつ」を受うけた場合ばあい、復帰ふっきまでどの程度ていどの期間きかんを必要ひつようとするのかをめぐって、アメリカのメディアは専門せんもんの医師いしたちによるさまざな見解けんかいを伝つたえてきました。

このうち、ロサンゼルス・タイムズは、エンジェルスやドジャースの元もとチームドクターの見解けんかいとして、手術しゅじゅつが成功せいこうし、選手せんしゅとして完全かんぜんに復帰ふっきできるのは80から90％と高たかい率りつになっていると紹介しょうかいしたうえで、ピッチャーが復帰ふっきするまでは１いち年ねんから１いち年ねん半はんが必要ひつようで、守備しゅびについてボールを投なげる野手やしゅの場合ばあいは半年はんとしから１いち年ねん、指名しめい打者だしゃの場合ばあいは早はやければ半年はんとしと伝つたえました。

そして、この医師いしの見解けんかいとして「大谷おおや選手せんしゅが投球とうきゅうをせずに、指名しめい打者だしゃだけでプレーするならば、およそ６ろくか月かげつで復帰ふっきできるかもしれない」という言葉ことばを紹介しょうかいしました。

また、この医師いしは大谷おおや選手せんしゅがバッターとして練習れんしゅうしたり、プレーしたりすることは、ピッチャーとしての復帰ふっきに向むけたリハビリに影響えいきょうしないとしています。

その理由りゆうとしては、大谷おおや選手せんしゅは右みぎ投なげのピッチャーですが、バッターとしては左ひだり打うちでバッティングでは主おもに左腕さわんに力ちからがかかるため、右みぎひじのじん帯じんたいには大おおきな負担ふたんはかからないとしています。

今季こんきの打者だしゃ出場しゅつじょうは続つづく

大谷おおや選手せんしゅは今月こんげつ５ご日にち、医師いしから右みぎひじの手術しゅじゅつを勧すすめられる診断しんだんを受うけたあともバッターとしては出場しゅつじょうを続つづけています。

エンジェルスは診断しんだんのあと、９きゅう日にちに予定よていしていた大谷おおや選手せんしゅの先発せんぱつ登板とうばんを回避かいひしましたが、バッターとしてプレーし続つづけることは可能かのうとして、指名しめい打者だしゃでの起用きようを続つづけています。

診断しんだんを受うけた当日とうじつの試合しあいでホームランを２に本ほん打うつなど、９きゅう日にちまでの１いち週間しゅうかんで打率だりつ４よん割わり７なな分ふん４よん厘りん、ホームラン４よん本ほん、打点だてん10の好こう成績せいせきを残のこし、週間しゅうかんＭＶＰえむぶいぴ-を受賞じゅしょうしました。24日にちには今こんシーズン21号ごうのホームランを打うち、新人しんじん王おう候補こうほとしても注目ちゅうもくされています。