大谷選手は30日の試合前に記者会見し「毎日楽しく野球をできたのがよかったと思いますが、プレーオフに行けない悔しさもあります。毎日感じるのは、まだまだうまくなれるなということです」と、大リーグ1年目のシーズンを振り返りました。
そのうえで「けがをしてしまったり出られない試合があったりしたので、悔しいところはあったと思います」と話し、右ひじのじん帯を損傷した影響でピッチャーとしては10試合の登板にとどまったことなどを悔やみました。
一方で、対戦して印象に残った選手としては、大リーグ屈指の投手でサイ・ヤング賞も獲得しているアストロズのジャスティン・バーランダー投手をあげました。大谷選手はバッターとしてバーランダー投手と5試合で対戦し、初めての対戦では4打数ノーヒットで3つの三振を奪われましたが、3回目の対戦ではホームランを打ちました。
また、ピッチャーとして対戦した相手では、大谷選手の3試合目の先発登板になった4月17日の試合で先頭打者ホームランを打たれたレッドソックスのムーキー・ベッツ選手をあげました。
大谷選手は今後、右ひじのじん帯を修復する手術を受けるため、来シーズンはピッチャーとしては試合に出場できなくなりますが、バッターとしては先に復帰して出場できる見込みで「しっかりとリハビリをして、なんとか来年にいい流れにもっていけるようにしたいです」と話していました。
新人王 受賞なるか
大リーグ1年目を終えた大谷翔平選手は、右ひじのじん帯損傷のため、目標としていたシーズンを通しての投打の二刀流でのプレーはかないませんでしたが、アメリカンリーグの新人王の有力候補となる活躍を見せました。
大リーグで新人としてプレーした24歳の大谷選手は、ピッチャーとしては10試合の先発登板で4勝2敗、防御率3.31の成績でした。
バッターとしては、ホームラン22本、61打点、打率2割8分5厘の成績でした。
また、盗塁は、日米通じて自身初めてとなるふた桁10個をマークしました。
ひとつのシーズンで登板10試合、ホームラン20本以上、盗塁10個以上を同時にマークしたのは大リーグでは大谷選手が初めてで、新たな歴史を切り開いたことになります。
このほか、ピッチャーとして4勝以上、バッターとしてホームラン10本以上の成績を同時に成し遂げたのは、野球の神様と称されるベーブ・ルース以来、99年ぶりの快挙です。
こうした記録からも、アメリカのメディアなどは大谷選手を新人王の有力候補にあげています。
一方で、エンジェルスが所属するアメリカンリーグでは、ヤンキースの2人が大谷選手と新人王を争う選手として注目されています。
選手間の競争が激しい強豪・ヤンキースで、新人ながらサードのレギュラーに定着した23歳のミゲル・アンドゥハー選手は、ホームラン27本、92打点、打率2割9分7厘と活躍しました。
また、ヤンキースのセカンドを守った21歳のグレイバー・トーレス選手は、ホームラン24本、77打点打率2割7分1厘をマークしました。大谷選手は開幕直後の4月に3試合連続のホームランをマークしましたが、トーレス選手は5月に4試合連続のホームランを打つなど強い印象を残しています。
アメリカの複数の著名なベテラン記者は、大谷選手が高いレベルで投打の両方でプレーしたことは1世紀ぶりに実現した快挙であり、それ自体がすでに新人王に値すると主張しています。一方で、強豪のヤンキースで新人ながらレギュラーを任されて好成績を残したことを重視する意見もあります。
アメリカンリーグとナショナルリーグの新人王は、全米野球記者協会の30人の記者による投票によって決まります。投票の対象になるのは、レギュラーシーズンの選手の成績で、11月中旬に両リーグの新人王が発表されます。
日本選手で過去に大リーグの新人王を受賞したのは3人で、1人目は1995年にドジャースで、13勝6敗、防御率2.54をマークした野茂英雄さん。2人目は2000年にマリナーズで、抑えのピッチャーとして37セーブをマークした佐々木主浩さん。そして、3人目は2001年にマリナーズで、242本のヒットを打ち打率3割5分をマークしたイチロー選手です。
大谷選手には日本選手で4人目となる新人王の受賞と、二刀流の選手として初めて新人王となって、大リーグに新たな歴史を刻むことに期待が高まっています。