世界の
平均気温は
この100
年余りですでに
およそ1度高くなっていて、
早ければ2030
年には、その
差は1.5
度に
達し、
極端に
暑い
日や
大雨が
増えるおそれが
高いとする
報告書を、
地球の
温暖化について
調べている
国連の
組織がまとめました。
地球温暖化について
調べている
IPCC=「
気候変動に関する
政府間パネル」は
8日、
韓国で
記者会見を
開き、
世界の
平均気温が1.5
度上昇した
場合の
影響に関する
特別報告書を
公表しました。
それによりますと、人類の活動によって世界の平均気温は、産業革命前のものと見なした19世紀後半の気温に比べて、すでにおよそ1度高くなっていて、このままいけば2030年から2052年の間に、その差は1.5度に達すると予測しています。
そして、温暖化に伴い、多くの地域で極端に暑い日が増えるほか、いくつかの地域では雨の降り方がこれまで以上に激しくなったり、大雨の日が増えたりするおそれが高いとしています。
一方で、こうしたリスクは気温の差が2度まで上昇すればさらに高まるとして、温暖化を1.5度に抑えるためには、再生可能エネルギーのほか、大気から二酸化炭素を回収する仕組みや技術を使って、2050年ごろには二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする必要があるとしています。
会見でイ・フェソン(李会晟)議長は「社会は前例のない変化を求められることになるが、気温の上昇を1.5度に抑えることは可能だ」と述べました。
報告書の内容
IPCCの報告書は、地球の温暖化に関する科学的な情報と分析を取りまとめたもので、国際社会が二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減らす取り組みを進めるうえでの根拠となります。
今回の特別報告書は、世界の平均気温が1.5度上がる場合と、2度上がる場合の比較に重点が置かれ、このうち大雨のリスクは、東アジアや北米でより高まるおそれがあるほか、海面も上昇し、小さな島や海抜の低い地域では、高潮や洪水のリスクが高まるとしています。
また、熱中症が増えるほか、主に熱帯の病気とされてきたマラリアやデング熱など、蚊に刺されることで感染する病気のリスクも高まるとしています。
このほか、特にサハラ以南のアフリカや東南アジア、それに中南米でとうもろこしや米、小麦などの収穫量が下がると見られますが、影響は気温の上昇が1.5度のほうが2度の場合よりも小さいとしています。
このため、報告書は気温の上昇を1.5度に抑えるためには、電気をつくるエネルギーの割合を石炭はゼロに近づけるとともに、再生可能エネルギーは全体の70%から85%に増やすことなどによって、二酸化炭素の実質的な排出量を2030年までに2010年の水準の半分近くにまで減らし、2050年ごろには実質ゼロにする必要があるとしています。