ジャパンライフ 元もと会長かいちょうら14人にん逮捕たいほ 詐欺さぎの疑うたがい 被害ひがい2000億おく円えんか

逮捕たいほされたのは、経営けいえい破綻はたんした健康けんこう器具きぐ販売はんばい会社かいしゃ「ジャパンライフ」の元もと会長かいちょう、山口やまぐち隆祥りゅうしょう容疑ようぎ者しゃ（78）ら男女だんじょあわせて14人にんです。

警視庁けいしちょうによりますと、山口やまぐち元もと会長かいちょうらは2017年ねん、会社かいしゃが大幅おおはばな債務さいむ超過ちょうかに陥おちいり配当はいとうの見込みこみがないのに50代だいから80代だいまでの男女だんじょ12人にんを勧誘かんゆうし、出資しゅっし金きんあわせて8000万まん円えん余あまりをだまし取だましとったとして、詐欺さぎの疑うたがいが持もたれています。

警視庁けいしちょうは山口やまぐち元もと会長かいちょうらの認否にんぴを明あきらかにしていません。

「ジャパンライフ」は、高たかいもので数すう百ひゃく万まん円えんする磁気じき治療ちりょう器きのオーナーになれば、そのレンタル収入しゅうにゅうによって年としに6％の高たかい配当はいとう金きんを得えられるとうたい、高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに出資しゅっしを募つのっていました。

しかし、多額たがくの負債ふさいがあることを隠かくして顧客こきゃくと契約けいやくを結むすんでいたことなどが次々つぎつぎと明あきらかになり、消費しょうひ者しゃ庁ちょうが4回かいにわたって業務ぎょうむの一部いちぶ停止ていし命令めいれいを出だす異例いれいの事態じたいとなりました。

警視庁けいしちょうは去年きょねん、全国ぜんこくのおよそ30か所かしょの関係かんけい先さきを捜索そうさくし、捜査そうさを進すすめてきたもので、契約けいやくを結むすんだ人ひとは全国ぜんこくでおよそ7000人にん、被害ひがい総額そうがくはおよそ2000億おく円えんに上のぼるということです。

警視庁けいしちょうは集あつめた多額たがくの資金しきんの流ながれなどの実態じったい解明かいめいを進すすめています。

山口やまぐち元もと会長かいちょう 集あつまった報道陣ほうどうじんからの問といかけには応おうじず

山口やまぐち元もと会長かいちょうは18日にち午前ごぜん7時半じはんごろ、警視庁けいしちょうの捜査そうさ員いんに連つれられて、東京とうきょう 文京ぶんきょう区くの自宅じたくから出でてきました。

グレーのスーツ姿すがたでサングラスをかけていて、ゆっくりとした足取あしどりで捜査そうさ車両しゃりょうに乗り込のりこみました。

集あつまった報道陣ほうどうじんからの問といかけには応おうじませんでした。

ジャパンライフとは

「ジャパンライフ」は1975年ねんに設立せつりつされた健康けんこう器具きぐ販売はんばい会社かいしゃで、高たかい配当はいとう金きんをうたって多額たがくの資金しきんを集あつめるいわゆる「オーナー商法しょうほう」を行おこない、経営けいえい破綻はたんする直前ちょくぜんには全国ぜんこくに80の店舗てんぽを展開てんかいしていました。

具体ぐたい的てきには、ベストやネックレスに磁石じしゃくを埋め込うめこんだものを「磁気じき治療ちりょう器き」と名付なづけ、そのオーナーになれば元本がんぽんが保証ほしょうされる上うえ、レンタル収入しゅうにゅうによって年としに6％の配当はいとう金きんを得えられるとして、高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに全国ぜんこくから出資しゅっしを募つのっていました。

その後そのご、違法いほうな訪問ほうもん販売はんばいや多額たがくの負債ふさいがあることを隠かくして顧客こきゃくと契約けいやくを結むすんでいたことなどが次々つぎつぎと明あきらかになり、消費しょうひ者しゃ庁ちょうが4回かいにわたって業務ぎょうむの一部いちぶ停止ていし命令めいれいを出だしましたが、そのたびに契約けいやくの名目めいもくを変かえて規制きせいをすり抜すりぬけ、営業えいぎょうを続つづけてきました。

しかし、3年ねん前まえの2017年ねん12月つき、資金繰しきんぐりに行き詰いきづまって銀行ぎんこう取引とりひきが停止ていし。

東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょはおととし、ジャパンライフの破産はさん手続てつづきを開始かいしする決定けっていを行おこない、現在げんざい、破産はさん管財かんざい人じんの弁護士べんごしが会社かいしゃの資産しさんの調査ちょうさなどを進すすめています。

被害ひがい額がく 1人にんあたりの平均へいきんで2800万まん円えん

被害ひがい者しゃ側がわの弁護べんご団だんなどによりますと、ジャパンライフによる「オーナー商法しょうほう」の被害ひがい総額そうがくは全国ぜんこくで合あわせておよそ2000億おく円えんに上のぼり、オーナー商法しょうほうの被害ひがい額がくとしては2011年ねんに経営けいえい破綻はたんした「安やす愚ぐ楽らく牧場ぼくじょう」のおよそ4200億おく円えんに次ついで過去かこ2番目ばんめの規模きぼとみられるということです。

また、被害ひがい者しゃは高齢こうれい者しゃを中心ちゅうしんに全国ぜんこくでおよそ7000人にんに上のぼり、1人にんあたりの被害ひがい額がくは平均へいきんで2800万まん円えんとなっています。

弁護べんご団だんは被害ひがいの救済きゅうさいに取り組とりくんでいて、ジャパンライフ側がわが不動産ふどうさんの売却ばいきゃくなどを進すすめていますが、今いまのところ税金ぜいきんの未納みのう分ぶんなどにも及およばず、集あつめた資金しきんの大半たいはんは回収かいしゅうできる見通みとおしが立たっていないということです。

ジャパンライフをはじめとする「オーナー商法しょうほう」の被害ひがいが相次あいついでいることを受うけて、消費しょうひ者しゃ庁ちょうの検討けんとう委員いいん会かいは先月せんげつ、オーナー商法しょうほうを預託よたく法ほうで原則げんそく禁止きんしにしたうえで、違反いはんした事業じぎょう者しゃには罰則ばっそくを設もうけるなど抜本ばっぽん的てきな見直みなおしが必要ひつようだとする報告ほうこく書しょをまとめています。

“山口やまぐち元もと会長かいちょうに強つよく勧すすめられ” 約やく1億おく円えん出資しゅっしした人ひとも

「ジャパンライフ」の被害ひがい者しゃの中なかには、全ぜん財産ざいさんにあたるおよそ1億おく円えんを出資しゅっししたという人ひともいます。

埼玉さいたま県けん川越かわごえ市しに住すむ小松こまつ幸男ゆきおさん（75）は10年ねんほど前まえ、知人ちじんに紹介しょうかいされてジャパンライフへの出資しゅっしを始はじめました。

元本がんぽんが保証ほしょうされる上うえ、毎月まいつき配当はいとうが支払しはらわれるといううたい文句うたいもんくに当初とうしょは疑問ぎもんを感かんじたということですが、セミナーなどで山口やまぐち元もと会長かいちょうから出資しゅっしを強つよく勧すすめられたほか、実際じっさいに配当はいとうが振り込ふりこまれたことなどから信用しんようしてしまったということです。

小松こまつさんの出資しゅっし額がくは次第しだいに膨ふくらみ、10代だいから貯ためていた定期ていき預金よきんなどを含ふくむ全ぜん財産ざいさん、およそ1億おく円えんに上のぼりました。

ところが、2017年ねん11月つきごろから突然とつぜん、配当はいとうが滞とどこおるようになり、担当たんとう者しゃに問い合といあわせても「大丈夫だいじょうぶです」と話はなすだけで理由りゆうなどの説明せつめいは一切いっさいなかったということです。

ジャパンライフはそのまま経営けいえい破綻はたんし、出資しゅっししたおよそ1億おく円えんは今いまも戻もどってこないということです。

ショックから体調たいちょうを崩くずしたという小松こまつさんは「配当はいとうの支払しはらいが続つづいていたことや、山口やまぐち元もと会長かいちょうの『絶対ぜったい、大丈夫だいじょうぶ』という言葉ことばを信しんじた自分じぶんが今いま考かんがえればバカだった。山口やまぐち元もと会長かいちょうには本当ほんとうのことを話はなしてもらい、老後ろうごのために貯ためたお金おかねを少すこしでも返かえしてほしい」と話はなしています。

“「桜さくらを見みる会かい」の招待しょうたい状じょうが印刷いんさつされた資料しりょうを示しめし勧誘かんゆう”

被害ひがい者しゃ側がわの弁護べんご団だんなどによりますと、「ジャパンライフ」は2015年ねんに当時とうじの山口やまぐち隆祥りゅうしょう会長かいちょうに届とどいた「桜さくらを見みる会かい」の招待しょうたい状じょうが印刷いんさつされた資料しりょうをセミナーなどで示しめし、顧客こきゃくを勧誘かんゆうしていたということです。

この資料しりょうには「内閣ないかく総理そうり大臣だいじんから山口やまぐち会長かいちょうに『桜さくらを見みる会かい』のご招待しょうたい状じょうが届とどきました」などと書かかれ、当時とうじの安倍あべ総理そうり大臣だいじんの顔かお写真しゃしんや山口やまぐち会長かいちょう宛あての招待しょうたい状じょう、それに受付うけつけ票ひょうの写真しゃしんが印刷いんさつされています。

これについて被害ひがい者しゃ側がわの弁護べんご団だんは「相談そうだん者しゃの中なかには、セミナーで『桜さくらを見みる会かい』の資料しりょうを見みせられ『安倍あべ総理そうり大臣だいじんから招待しょうたいされているなら』とジャパンライフのことを信用しんようしたという人ひともいた。招待しょうたい状じょうが顧客こきゃくを信用しんようさせる材料ざいりょうに使つかわれており、政府せいふの責任せきにんは重大じゅうだいだ」と指摘してきしています。

また、この招待しょうたい状じょうをめぐっては、受付うけつけ票ひょうの番号ばんごうから当時とうじ、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが招待しょうたいした疑うたがいがあるとして、野党やとう側がわが国会こっかいで追及ついきゅうしました。

これに対にたいし、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは去年きょねん12月つきの参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで「山口やまぐち氏しとは1対たい1のような形かたちで会あったことはなく、個人こじん的てきな関係かんけいは一切いっさいない」などと述のべていました。

立憲りっけん民主みんしゅ党とうの安住あんじゅう国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょうは、記者きしゃ団だんに対にたいし、「『ジャパンライフ』の商法しょうほうでは、客きゃくを勧誘かんゆうする時ときに、『桜さくらを見みる会かい』の招待しょうたい状じょうが使つかわれていた。私わたしたち野党やとうは、安倍あべ前ぜん総理そうり大臣だいじんの推薦すいせん枠わくで招待しょうたいされたものではなかったかと追及ついきゅうしてきている。その招待しょうたい状じょうが、詐欺さぎを生うむ大おおきなきっかけになったのであれば政府せいふの責任せきにんは非常ひじょうに大おおきく、菅かん総理そうり大臣だいじんには、再さい調査ちょうさをお願おねがいしたい」と述のべました。

山口やまぐち元もと会長かいちょう NHKの取材しゅざいに「答こたえられない」

NHKはことし2月つき、「ジャパンライフ」の山口やまぐち隆祥りゅうしょう元もと会長かいちょうに東京とうきょう都内とないの自宅じたく前まえで直接ちょくせつ、取材しゅざいしました。

その際さい、山口やまぐち元もと会長かいちょうは「心臓しんぞうの手術しゅじゅつをして体調たいちょうが優すぐれないので、今いまは取材しゅざいに答こたえられない」として、事件じけんの内容ないようについては語かたりませんでした。

一方いっぽう、会長かいちょうだった当時とうじに届とどいた「桜さくらを見みる会かい」の招待しょうたい状じょうが印刷いんさつされた資料しりょうが顧客こきゃくの勧誘かんゆうに使つかわれていたと被害ひがい者しゃ側がわの弁護べんご団だんが指摘してきしている点てんについては「セミナーなどでプロジェクターに映うつして紹介しょうかいしたことはある」と話はなし、招待しょうたい状じょうを勧誘かんゆうに使つかっていたことを認みとめました。

ただ、「桜さくらを見みる会かい」に招まねかれた具体ぐたい的てきな経緯けいいについては「昔むかしのことなので覚おぼえていない」と述のべるにとどまりました。