ただ、アメリカと中国が対立を深める中、国際社会が結束して行動することはますます難しくなっており、宣言をどう実行に移すかが課題です。この会合は21日、ことしの国連総会の主要な会合の1つとして開かれ、新型コロナウイルスなど地球規模の問題の解決に向けて国際協力の強化を目指すとする政治宣言が満場一致で採択されました。
このあと各国の演説が行われ、アメリカはトランプ大統領のビデオ演説を上映するとしていましたが、実際にはシャレー国連次席大使代行が演壇に立ちました。
シャレー次席大使代行はこの75年間、国連が果たした役割に一定の評価をする一方、「国連は透明性を欠き、専制国家や独裁国家の意図に影響されることがあまりに多い」と述べ、運営の在り方に苦言も呈しました。
一方、中国は習近平国家主席のビデオ演説を上映しました。
この中で習主席は「中国は常に多国間主義の実践者であり続け、国連を中心とした国際体制を断固として維持する」と述べ、自国第一主義を掲げるアメリカのトランプ政権を暗に批判しながら、国連を支えていく姿勢をアピールしました。
アメリカと中国という大国が対立を深める中、国際社会が結束して行動することはますます難しくなっていて、今回採択された政治宣言をどう実行に移すかが国連にとっての課題です。
国連総会では国連創設75年の記念会合に続いて日本時間の22日夜、各国の首脳演説が始まります。
ことしは新型コロナウイルスの感染対策のためホスト国のアメリカをはじめ各国の首脳は出席せず、史上初めて事前に収録したビデオを議場で流す形式で行われます。
例年、首脳演説が行われる期間中は国連本部前の道路と歩道が封鎖されますが、ことしは、警察官の姿はあるものの、ふだんと変わらずに市民がジョギングや散歩する姿が見られました。
「国連は不可欠な組織」74%が回答
国連は世界中の人々が抱える不安や国連への要望を聞くアンケート調査をインターネットを通じて行い、21日、国連創設75年の記念会合の開催にあわせてその結果を発表しました。
国連のウェブサイト上で行われたアンケートにはことし1月から今月までに世界各国から100万人以上が回答しました。
それによりますと、「人々が不安を抱え、解決を望んでいることは何か」という設問に対しては新型コロナウイルスの感染拡大による影響を反映して健康管理、安全な水の確保、衛生、という回答が多かったということです。
さらに教育格差、社会の不公平、貧困、地球温暖化という回答が続いたとしています。
また、回答者のうち87%の人がこうした課題に取り組む上で国際協力が必要だとしたほか、74%の人が国連を不可欠な組織だと答えたとしています。
国連はこの結果を各国と共有し、今後の活動と各国との協力関係を考えるうえでの参考にしたいとしています。
トルコ エルドアン大統領「安全保障理事会を改革」
トルコのエルドアン大統領はビデオメッセージを寄せ、国連がことしで創設から75年となることに祝意を示したうえで、この機会に国連の在り方を見直すよう呼びかけました。
この中でエルドアン大統領は、「国連は争いを予防することも、終わらせることもできていない。前世紀のニーズにあわせて設計された組織では現代の課題を乗り越えられないことをわれわれは目の当たりにしている」と述べました。
そのうえで「国連を強化するには、第1に安全保障理事会を改革しなければならない。70億人の運命を5か国に預けるような仕組みは公平でも持続可能でもない」と訴え、アメリカやロシアなど5か国だけが安保理の常任理事国を務めるのは不当だという考えを示しました。