去年11月。東京都内のラグビースクールには小さな子どもたちが殺到していました。ワールドカップを受けてラグビー人気は一気に盛り上がりました。
しかし今月、同じスクールを訪ねると、そこに小さな子どもの姿はありませんでした。
100人近くいた幼児向けのクラスは、人数が多く感染防止対策が難しいとして2月を最後に行われていませんでした。現在、このスクールでは小中学生が日本ラグビー協会の指針に沿って練習を再開しています。
練習中には、こまめに消毒。コーチは飛まつが拡散しないように拡声機と、電子ホイッスルで指導。選手が荷物を置く際は2メートル間隔にするなど、さまざまな対策が必要になりました。
(世田谷区ラグビースクール 山田良和コーチ)
「試合前になると、みんなが集まって、小さくなって声を掛け合ってというところがあるんですが、そういうのができない。新たな対応が今、求められている」
影響はラグビー界全体に
新型コロナウイルスの影響は、ラグビー界全体に広がっています。日本代表の年内の活動は休止。中学生の全国大会も中止になりました。
元日本代表のキャプテン、廣瀬俊朗さんは、去年のラグビー人気を将来につなげるには、今こそ、競技に触れる機会を工夫する必要があると考えています。
(元日本代表主将 廣瀬俊朗さん)
「ラグビーに対する思いは火が完全に消えたわけじゃないなと思っていて、もう1度ラグビーに関心を持ってもらえるかとか、スポーツに関心を持ってもらえるみたいな所を作るのが大事」
ラグビーと触れる機会を
こうした中、ラグビーと触れる機会を確保するために草の根の活動も始まっています。今月、関東にある4つの強豪チームが合同で交流試合が行われました。全国大会が無くなった中学生のためにコーチたちが呼びかけて実現しました。
感染防止対策として入場できる家族は1人に限定。会場に入れなかった人のために試合はインターネットの動画投稿サイトを使って中継されました。
出場した選手たちは手作りの交流試合に、懸命なプレーで応えました。
(世田谷区ラグビースクール 高木涼平主将)
「いい緊張がある試合は、やっぱりいいなと改めて思いました」
“可能性、チャンスはある”
元日本代表の廣瀬俊朗さんは、こうした草の根の動きが広がればラグビーへの熱気を維持することにつながると期待しています。
(元日本代表主将 廣瀬俊朗さん)
「ラグビーももちろんコンタクトはありますけれども、それ以前のルールとか仕組みでずいぶん(感染を)防げることがあるんじゃないか、まだまだ可能性はある、チャンスはあるなって気がしています」