こうした中、兵庫県議会は5日の本会議で、ボーガンの管理を強化し犯罪の抑止につなげる新たな条例を全会一致で可決・成立しました。
条例は、ボーガンの所有者に対し、生命、身体、財産に危害を及ぼすことや動物を殺傷すること、それに公園や駅など不特定多数の人がいる場所での使用を禁止します。
さらに、ボーガンを所有する県民全員に、氏名や住所、型式などを県に届け出るよう義務づけ、違反した場合は5万円以下の過料の罰則を設けています。また、県は必要に応じて所有者や販売事業者に報告を求めたり、立ち入り調査を行ったりできるとしています。
兵庫県によりますと、こうした条例は全国で初めてだということです。
ボーガンをめぐっては、警察庁も法律で所持や販売を規制することを含めて検討を進めていて、年内に具体的な結論を出すことにしています。
専門家「もう一歩踏み込んだ定めが必要」
専門家からは、ボーガンのインターネットでの購入が増える中、さらなる規制が必要だという指摘も出ています。
警察庁によりますと、この10年間にボーガンが凶器などとして使われた事件は32件起きていて、入手経路を調べたところ83%は容疑者がインターネットのサイトで購入していたことが分かっています。
兵庫県の条例はボーガンを所持した場合に届け出を義務づけたものの、インターネットで購入した人が自主的に届け出なければ、実態を把握するのは難しいと言います。
これについて警察庁の有識者会議のメンバーで、犯罪の手口や防犯に関する調査研究を行うシンクタンクの清永奈穂所長は「できるかぎりの、ぎりぎりのところまで頑張って作られた条例だが、犯罪抑止のためには、インターネットでの販売や保管のしかたなどに関して、もう一歩踏み込んだ定めが必要だ」と述べて、国レベルでの規制が必要だと指摘しました。